118:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 01:33:56.80 ID:GJMDUn0X0
私は期待しました。人に対する二度目の期待でした。
プロデューサーさん。仮面の見えない人。
プロデューサーさんは私のことをどう思っているのですか。
119:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 01:50:56.39 ID:GJMDUn0X0
次の日、私は、隙こそあればプロデューサーさんに尋ねようの決心で、ピアスをつけ、寮を出ました。
ですが、陽の光を浴び風に吹かれ事務所へと着くころには、
私の決心はどこ吹く風で、「おはよう」とあいさつをするプロデューサーさんに、
120:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 01:52:08.96 ID:GJMDUn0X0
私の頭の中に、今日は都合が悪いです、明日にしましょう、
と聞こえの良い言葉が出回り始めたころ、電話がなりました。
プロデューサーさんの机のようで、プロデューサーさんがそのまま出ました。
121:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 01:53:56.71 ID:GJMDUn0X0
プロデューサーさんは自身の失敗ではなく、私の失敗を謝ってくれている。
そう思い始めると、あのときステージで見た、たくさんのお客さんたちの顔が、
フラッシュバックして、つらくなって、申し訳なくなって、
122:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 01:55:16.08 ID:GJMDUn0X0
やっぱり私はアイドルに向いていない。人とうまく関われない。
そんな私が光を掴もうとしたことは甚だ勘違いも激しく、
おこがましい行為だったのだと、電話のひとことひとこと、
123:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 01:56:27.80 ID:GJMDUn0X0
「やったぞ! 森久保! セカンドライブの場所と日付が決まったぞ!」
プロデューサーさんは笑っていました。
その笑顔は初めて会った時から変わらない、純粋な笑顔でした。
124:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 01:57:57.22 ID:GJMDUn0X0
「どうしてプロデューサーさんは私を見捨てないんですか、
笑わないんですか、叱らないんですか。
私は人の視線が苦手です。人の視線が怖いです。
125:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 01:58:26.74 ID:GJMDUn0X0
もう、放っておいてください。そう小さく呟いた森久保に、
プロデューサーさんは身を屈め、わざわざ机の下まで入ってきて、私の頭を優しく撫でてくれました。
「なぁ、森久保。最初に俺がスカウトしたときに言ったこと覚えているか。俺が森久保をスカウトした理由」
126:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 01:59:25.01 ID:GJMDUn0X0
「そう、勘だ。俺は森久保ならアイドルになれると信じて、アイドルにスカウトした。
あのときも言ったと思うが俺はそういった自分の勘が外れたことはないし、今でも外れていないと思っているよ。
ライブが始まる前、俺は森久保なら出来ると信じていると言った。
127:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 02:00:14.49 ID:GJMDUn0X0
温かい何かが私を満たし、溢れてきました。
それは私の涙でした。
たくさんの感情が混ざっていたはずのそれは、
128:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 02:01:27.08 ID:GJMDUn0X0
あぁ、この人は私に期待をしていない。
ありのままの私を見て、その上で出来るかどうかを判断している。
そこにあったのは、確信にも似た、信じるという行為でした。
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