43: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/01/21(日) 23:31:26.32 ID:VWwRAsjo0
入るのは私と紗枝ちゃん、そして美嘉ちゃん。
兎さんが先に立って道案内をしてくれます。
44: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/01/21(日) 23:32:42.36 ID:VWwRAsjo0
空を見上げれば、確かに月。
蒼く照らされた梢が揺れて、さわさわと音を立てています。
45: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/01/21(日) 23:35:12.62 ID:VWwRAsjo0
『――――こほっ……』
静かな夜空に、鈴を鳴らすような声が響き渡ります。
46: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/01/21(日) 23:36:06.70 ID:VWwRAsjo0
『けほっ、けほけほっ』
竜巻が生まれ、木々が風の軌道にねじ曲がります。
47: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/01/21(日) 23:36:43.63 ID:VWwRAsjo0
次の瞬間、
視界が一気に上昇しました。
――と、飛んでる!?
48: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/01/21(日) 23:37:17.37 ID:VWwRAsjo0
「ぽこっ!(美嘉ちゃん、あそこ!)」
「うん、行くよ!」
急降下姿勢。だ、大丈夫なんでしょうかこれ!?
49: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/01/21(日) 23:38:12.09 ID:VWwRAsjo0
あちこちで強くなった竜巻はもはや森すら破壊して、枝と言わず葉と言わず空にぶちまけています。
ひらひら舞う木々の残骸が宙で月を受けて、それらはまるで夜光虫のような光の靄を闇に投じていました。
50: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/01/21(日) 23:38:40.38 ID:VWwRAsjo0
鳥居をくぐった先には、意外なほど普通な家が一軒。
年季の入った立派な木造平屋と、門前に『鷹富士』の表札。
一目でわかりました。
ここが、茄子さんのおうちなんだ。
51: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/01/21(日) 23:39:23.31 ID:VWwRAsjo0
「茄子さん、茄子さん。大丈夫?」
「けほっ、こほっ……。え……?」
52: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/01/21(日) 23:40:48.05 ID:VWwRAsjo0
形のいい口元に、綻ぶような笑みが浮かんで。
ほんのり頬に朱を差して、茄子さんはしみじみと呟きます。
53: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/01/21(日) 23:41:30.03 ID:VWwRAsjo0
ありがとう、という言葉が聞こえた気がしました。
ゆったりとした風と柔らかな光に包まれて、私達の意識は遠くなっていきます。
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