211:名無しNIPPER[sage]
2018/05/19(土) 04:35:09.93 ID:+SVRfXPDO
乙
212: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/05/23(水) 17:55:10.66 ID:YsdTWoQ5O
宵闇の中で、何かが動いた。
ぴしり、と幹の割れる乾いた音。
灌木から灌木へ、素早く疾る影。
家畜小屋で牛に穀物を与えていた主人は、手を止めて辺りを見渡した。誰もいない。
213: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/05/25(金) 23:40:20.22 ID:SkvD6Y9Z0
耳障りな金切り声が、暗闇を一気に駆け抜けた。誰かが襲われている。
跳ね起きた勇者を阻むように、横から刀が突き出された。三日月の如き弧を描く刀。
死神の鎌、と言っても相違ない。
男「手を後ろに回せ。抵抗するなよ。テメェの首が惜しいならな」
214:名無しNIPPER[sage]
2018/05/28(月) 00:25:43.50 ID:5djHMLIDo
あ、そう。一生懸命頑張ってね
215:名無しNIPPER[sage]
2018/05/28(月) 13:30:59.33 ID:LZspTsuMO
見てるぞ
216: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/06/02(土) 20:13:06.39 ID:rjs6CqC/0
女盗賊「オラ、さっさと吐きな! あんたらが隠してる財宝、どこにあるんだい!」
逆さまに吊り下げられた、十数人の男女。集落の人間だ。
彼らの間を、褐色の肌の女性が鞭を片手に、行ったり来たり繰り返している。
尖った鼻に、澄んだ空色の瞳。南方系の人間か。
217: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/06/03(日) 15:05:34.32 ID:IMIN4WEW0
サウナ。
中央に焼けた岩が置いてある。
その奥には勇者と魔女が見つけた変死体。
盗賊「この死体、両手のひらに火傷の痕があるな」
218: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/06/03(日) 15:19:29.58 ID:IMIN4WEW0
地下は暗く、ひんやりと肌寒かった。盗賊が松明に火を点ける。
岩を荒く削った通路が、細長く伸びているようだ。
幅は2人が肩を寄せ合ってやっと収まる程度である。
盗賊「まさか、と思った。そんな地獄絵図がこの世に存在するのか。何かの間違いではないのか。夢を見ているのではないか」
219: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/06/03(日) 15:22:27.35 ID:IMIN4WEW0
勇者の脳裏に、夕方目にした光景が蘇った。
宿屋の主人が必死に頭を下げていた相手。
あれは高級官員などではなく、非合法の商いを取り扱う闇商人だったのだ。
渡していたのも、おそらく麻薬だろう。
220:名無しNIPPER[sage]
2018/06/06(水) 03:49:22.06 ID:bKe36NXDO
乙
221: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/06/06(水) 16:44:00.31 ID:YxEXL6rxO
盗賊「大当たりだ、魔女さんよ。俺達ハザラ族は、力のある騎馬民族でも交渉技術に長けた商業民族でもなかった」
盗賊「周囲の外敵に怯えながら小さな畑を耕す、泥臭い農耕民族だったんだ」
盗賊「金もねェ、人もねェ、住む場所もねェ。それでも、なんとか貧しいなりにやりくりできていた。瀬戸際の所でな」
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