216: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/06/02(土) 20:13:06.39 ID:rjs6CqC/0
女盗賊「オラ、さっさと吐きな! あんたらが隠してる財宝、どこにあるんだい!」
逆さまに吊り下げられた、十数人の男女。集落の人間だ。
彼らの間を、褐色の肌の女性が鞭を片手に、行ったり来たり繰り返している。
尖った鼻に、澄んだ空色の瞳。南方系の人間か。
首にかけられた黄金のネックレスが、ジャラジャラと音を立てた。
魔女「うわぁ、下品な女だね」
囁きのつもりが、どうやら女盗賊の耳に届いたらしい。
肩を怒らせ魔女の前に立つと、純白の髪をむんずと掴み、引き寄せた。
女盗賊「誰が下品な女だって? 蹴飛ばされたいのかい、えぇ?」
魔女「虫けらに蹴られたところで、痛くも痒くもないんだけど」
涼しい表情のまま、さらりと答える魔女。
女盗賊「こんの、クソアマ……!」
盗賊「その2人は勇者一行だ。手荒な真似はよせ」
女盗賊「けどよ、お頭ァ! こいつらあたしを馬鹿にして……」
盗賊「阿呆かテメェは。尋問に私情を挟むんじゃない。それに、殴れば殴るほど裏切者共は口を固く閉ざす」
魔女「……盗賊君、その裏切者って言葉。キミ達も何か事情があって村を襲ったんだろう?」
盗賊「余所者には、関係のないことだ」
魔女「もし、ボクが『財宝』の在り処を知っているとしたら?」
盗賊「一介の旅人ごときが、何を知る」
魔女「うーんとね。ボクの中で気になった場所があるんだ。ね、勇者君」
勇者「え、俺?」
魔女「キミと一緒に入ったサウナ。枯れ果てた死体が壁によりかかっていたろう? なぜサウナに死体が置いてあるんだ?」
勇者「確かに、死体を隠すには堂々とし過ぎているような気もする……」
魔女「盗賊君、人を遣り給え。いや、ボク達も一緒に行こう。この集落の真実を見届けようじゃないか」
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