勇者「よーし、いっちょ叛乱でもするか!」
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213: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/05/25(金) 23:40:20.22 ID:SkvD6Y9Z0
耳障りな金切り声が、暗闇を一気に駆け抜けた。誰かが襲われている。
跳ね起きた勇者を阻むように、横から刀が突き出された。三日月の如き弧を描く刀。
死神の鎌、と言っても相違ない。

男「手を後ろに回せ。抵抗するなよ。テメェの首が惜しいならな」

野太い男の声がする。
勇者は隣で眠っているはずの魔女に目配せした。
しかし、魔女も勇者と同様に両手を縛られ床の上に転がされている。

無言で首を横に振る魔女。
暴れるな、ということだろう。

勇者「お前達は、何者なんだ。俺を、魔女をどうする気だ」

男「こっちこそ聞きたいことは山ほどある。魔王を斃した女傑と、新たに生まれた勇者殿。お偉がた2人が、こんな場所で何をしているのかってな」

勇者(なぜ、俺と魔女の正体を知っている? まさか、先代勇者を追い落とした場所にいたのか?)

男「ところで勇者殿、その織布に包まれている物はなんだ?」

勇者「そ、それは……!」

男「よほど価値のあるものと見える。さしずめ、伝説の聖剣といったところか。面白れェ」

男は織布を剥ぎ取ると、聖剣を腰に佩いた。
素早く鞘走らせ、一颯、二颯と素振りする。

男「ただの剣にしか見えねェな。それも刃毀れしてる、なまくらだ」

勇者「やめろ、汚い手で聖剣に触るな! 盗賊野郎!」

男「盗賊野郎……か。その呼び名、最初は堪えた。遂に俺も盗賊まで堕ちたのか、と。とうの昔に慣れてしまったがな」

勇者「あ……?」

剣を鞘に収めた男は団扇のように大きな手で、もじゃもじゃの髭をしごいた。

盗賊「俺の名はシェイバニ。鉄門街道で盗賊団を率いている。まぁ、名前などあってないようなものだ。覚えてもらわずとも結構」

盗賊「テメェが外から来たことは知っている。だが、ここの釜の飯を食ったなら話は別だ。尋問を受けてもらうぜ」


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