38:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:29:35.30 ID:/E20kLoAo
「不合格でした」
私があんまり残念そうな顔をしていたせいかもしれない。
ありすは大人びた笑いを浮かべて、延々とオーディションの話を続けた。
39:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:30:52.53 ID:/E20kLoAo
「母も、ずいぶん残念がってましたけど、……だけど、甘いんですよ。
そうは思いませんか?」
「どうかな、先生は……」
40:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:32:17.87 ID:/E20kLoAo
「私、ひとりぼっちなんです」
オーディション以来、それはありすの口癖になった。
「先生だけですね、私の味方は……」
41:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:32:51.84 ID:/E20kLoAo
「アリスとありすで、二人ぼっち。ひとりじゃないから、寂しくない。ね?」
「――――」
ありすが言いかけたらしい言葉は、はらりとほどけて宙に舞い、口元へ幼いはにかみだけを残した。
42:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:35:10.19 ID:/E20kLoAo
「ふふっ。……ああ、すみません、時間なのでそろそろ行きます」
そう言って、ありすは腰を上げた。
すっかり長話が習慣になってしまった。
43:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:36:18.95 ID:/E20kLoAo
「あのね、パートリーダー、やってくれないかしら」
「パートリーダー」と、オウム返しにして、ありすは怪訝そうな顔をした。
「みんなのまとめ役と言えばいいのかなぁ。パートでわかれて練習することもあるでしょ?
44:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:37:15.27 ID:/E20kLoAo
「あの、いますぐ決めなくていいんだけど……」
私が楽譜を片づけようとすると、その手を遮って――ありすは顔を上げた。
「や、やります!」
45:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:37:42.04 ID:/E20kLoAo
それから、翌日。
音楽の授業で、いよいよ合唱の練習が始まろうというとき、ありすはちょっと不安そうな顔をして、私を呼び止めた。
「私で大丈夫なんでしょうか」
46:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:38:34.99 ID:/E20kLoAo
実際、彼女の心配は杞憂に終わった。
パートごとの練習中、ピアノの陰からこっそり覗くと、なんてことはない。
しゃちほこばった感じはしたけれど、きちんとクラスメイトをまとめていた。
頭のいい子なのだな、と改めて思う。
47: ◆xJHI1D1Uro[saga sage]
2017/11/09(木) 13:55:36.01 ID:/E20kLoAo
小休止を挟んで、後半戦は明日までに投下しますーン。
48:名無しNIPPER[sage]
2017/11/09(木) 14:04:19.10 ID:qqZ9lcZyo
おつ
97Res/51.78 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20