532:名無しNIPPER
2020/07/02(木) 19:58:55.23 ID:xBNddiV40
【二人のエピソード】 ※連れて行きたい場所、日常の一コマ、未来の話など
たまには仕事帰りのお兄さんを
533:名無しNIPPER
2020/07/02(木) 20:00:49.06 ID:xBNddiV40
六月中旬。夕刻の頃。
どんよりとした空模様から、しとしとと降っている生温い雫がアスファルトを濡らす。
534:名無しNIPPER
2020/07/02(木) 20:03:00.90 ID:xBNddiV40
街並みを探偵事務所から見下ろしながら、私は一人の影を探す。
探し人は、居候先でお世話になっているお兄さんだ。
535:名無しNIPPER
2020/07/02(木) 20:04:08.16 ID:xBNddiV40
既に家事は粗方片付いており、強いて言えば夕飯をどうするか悩んでいるくらい。
いつも夕方の時間帯はテレビを見ているか、読書、勉強をしているけれど、
536:名無しNIPPER
2020/07/02(木) 20:05:45.55 ID:xBNddiV40
Someday I want to run away
(いつか私は 逃げ出したい)
537:名無しNIPPER
2020/07/02(木) 20:06:33.16 ID:xBNddiV40
「さーむでぃ……あい、うぉんと…とぅ、らなうぇい……」
538:名無しNIPPER
2020/07/02(木) 20:08:01.30 ID:xBNddiV40
私が、ずっと、ずっと考えていた事。
逃げ出して、どこかに行きたかった事。
539:名無しNIPPER
2020/07/02(木) 20:08:50.62 ID:xBNddiV40
堅い木材で頭を殴られた事を思い出すような衝撃だった。
不意に前に居た場所を思い出し、呼吸が少し荒くなる。
540:名無しNIPPER
2020/07/02(木) 20:09:31.00 ID:xBNddiV40
ぜぇぜぇ、と肩で息をしながら、ふっと深呼吸をする。
深く息を吸い、ゆっくりと吐く事を数度。
541:名無しNIPPER
2020/07/02(木) 20:10:06.57 ID:xBNddiV40
私はバタバタと慌てて玄関まで走り、お兄さんを出迎える準備をする。
お兄さんが濡れているかも知れないから、タオルを片手に持ち、ドアのチェーンを外した。
542:名無しNIPPER
2020/07/02(木) 20:11:13.24 ID:xBNddiV40
「いやー、外は思ったより降っていたけれど、大きめの傘だったから殆ど濡れなかったね。
出かける前に一緒に見ていたテレビの天気予報さまさまだよ」
「ふふ、それは良かったです」
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