540:名無しNIPPER
2020/07/02(木) 20:09:31.00 ID:xBNddiV40
ぜぇぜぇ、と肩で息をしながら、ふっと深呼吸をする。
深く息を吸い、ゆっくりと吐く事を数度。
心拍数はやや乱れているものの、先ほどよりも幾分か気分が楽になった。
それでも、あの美しい歌声が、頭の中で優しく響いてくるのは変わりなく。
悲しい曲。けれど、とても美しい曲だな、と感じたから。
つい、ぽつぽつと、私のか細い声帯はその歌を奏でてしまう。
雨音にかき消されるように小さく歌うその曲が、
誰もいない探偵事務所に反響する。
それを数度繰り返していると、その中で一番大きな音が鳴り響いた。
ピンポン、ピンポンというチャイムが二回。
お兄さんが帰ってきた合図だ。
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