球磨「面倒みた相手には、いつまでも責任があるクマ」
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◆AyLsgAtuhc
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2017/08/20(日) 20:11:16.07 ID:wQv5FyAe0
「めんどうみたあいてには、いつまでも責任があるんだ。まもらなけりゃならないんだよ、バラの花との約束をね……」
(1943年出版、サン=テグジュペリ『星の王子さま』より)
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2
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◆AyLsgAtuhc
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2017/08/20(日) 20:14:41.85 ID:wQv5FyAe0
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以下略
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3
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◆AyLsgAtuhc
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2017/08/20(日) 20:18:35.83 ID:wQv5FyAe0
本日、この男が屹立している軍艦、その前甲板にて、艦長着任式が執り行われた。
以下略
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4
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◆AyLsgAtuhc
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2017/08/20(日) 20:19:59.63 ID:wQv5FyAe0
帝国海軍における二等巡洋艦の命名慣例である河川の名称が襲用され、大正天皇に奏聞し治定された、この軍艦の名は「球磨」。
この海軍大佐は、大日本帝国海軍の軍人として、「軍艦・球磨」艦長の任に就く、誉高きこの日を迎えたのである。
以下略
AAS
5
:
◆AyLsgAtuhc
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2017/08/20(日) 20:20:58.63 ID:wQv5FyAe0
『まさかの祝――人目の艦長だ。球磨も驚きだ。でもおめでたい』
以下略
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6
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◆AyLsgAtuhc
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2017/08/20(日) 20:22:35.85 ID:wQv5FyAe0
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AAS
7
:
◆AyLsgAtuhc
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2017/08/20(日) 20:25:07.00 ID:wQv5FyAe0
――――11月、0630、横須賀鎮守府停泊、軍艦・球磨、艦長室。
以下略
AAS
8
:
◆AyLsgAtuhc
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2017/08/20(日) 20:27:05.83 ID:wQv5FyAe0
唐突に顔を上げ、そして訝しげに首を傾げる大佐。
その大佐の様子に、航海長も不審げな表情を浮かべた。
以下略
AAS
9
:
◆AyLsgAtuhc
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2017/08/20(日) 20:30:04.88 ID:wQv5FyAe0
――幽霊か、はたまた、妖か。
以下略
AAS
10
:
◆AyLsgAtuhc
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2017/08/20(日) 20:31:32.13 ID:wQv5FyAe0
「……艦長?」
「ああ……すまない、久方ぶりの国外任務で何分緊張しているのだ。1100の総員集合時には顔を出す。それまではよろしく頼む」
以下略
AAS
11
:
◆AyLsgAtuhc
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2017/08/20(日) 20:33:02.44 ID:wQv5FyAe0
「……この部屋に誰か居るのか?」
「球磨も人間になれたら……っておい、そこな艦長……もしかして、この球磨の声が聞こえてるのか?」
以下略
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12
:
◆AyLsgAtuhc
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2017/08/20(日) 20:35:00.70 ID:wQv5FyAe0
「……だったらどうした、貴様はなんだ? この大日本帝国海軍が誇る軍艦・球磨に住み着く幽霊か、はたまた、妖か?」
「失敬な。この球磨こそ紛うことなき、大日本帝国海軍が誇る球磨型二等巡洋艦の1番艦、球磨だ。知っての通り、佐世保生まれだ」
以下略
AAS
13
:
◆AyLsgAtuhc
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2017/08/20(日) 20:37:12.99 ID:wQv5FyAe0
「貴様、何を言って……」
「そうだな……舟魂って知っているか? 海の民が航海の安全を願う神さまの事だ。多くの場合は女性である事が多い。まぁ、そんな存在だと思ってくれ」
以下略
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14
:
◆AyLsgAtuhc
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2017/08/20(日) 20:38:51.92 ID:wQv5FyAe0
「つまり貴様は……神か?」
「そんな大層な者ではない。球磨は『軍艦・球磨』だ。それ以上でもそれ以下でもない。最も球磨以外に似た様な存在が居るのかは知らん」
以下略
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15
:
◆AyLsgAtuhc
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2017/08/20(日) 20:40:16.79 ID:wQv5FyAe0
――そんな妖怪変化を信じてたまるか。
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16
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◆AyLsgAtuhc
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2017/08/20(日) 20:42:10.81 ID:wQv5FyAe0
「……で、貴様の目的は何だ?」
「……」
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◆AyLsgAtuhc
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2017/08/20(日) 20:43:00.65 ID:wQv5FyAe0
「……いんだ」
「……」
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18
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◆AyLsgAtuhc
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2017/08/20(日) 20:44:24.90 ID:wQv5FyAe0
そして告げられた少女の気恥ずかしそうな声色に大佐は、ふにゃりと自分自身の緊張の糸が緩んだのを感じた。
続けて軍艦・球磨たる存在は言葉を紡いだ。
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19
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◆AyLsgAtuhc
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2017/08/20(日) 20:46:57.43 ID:wQv5FyAe0
「目的は分かったが……それにしても、何故私だけ貴様の声が聞こえるのだ? 先刻まで居た航海長には聞こえなかったようだが」
「球磨にもよく分からんが、どうやらお前とは波長が合うみたいだ。嬉しいぞ、こうしてお前と話せるのは」
以下略
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20
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◆AyLsgAtuhc
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2017/08/20(日) 20:48:09.98 ID:wQv5FyAe0
「伊達に15年近く軍艦はやっていない、多少なりとも助言は出来る! 意外に優秀な球磨ちゃんって、よく言われる! 後は……そう! お前も人の上に立つ身だ、何かと孤独だろう。その孤独を枯らしてやる事も出来る!」
「私に助言なぞ必要ない。それに孤独こそ男の本懐。そんなもの犬か軟弱な余計者にでも食わせてしまえ」
以下略
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