62:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 23:00:15.89 ID:xy6mxyet0
「違う違う、本題はこれからだよ。それでさ、その鍵で机の引き出しあけたの。
そしたらさ――」
「なんだ?」
妹はそう言って、今度は浴衣の左裾から、正方体の紺の高級そうな小箱を取り出した。
「なんだこれ?」
63:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 23:00:48.98 ID:xy6mxyet0
妹がテンション高めな声で、私の浴衣の裾を引っ張った。
見てみると、妹は指輪が挟まれているスポンジ部を取り出して小箱の奥にあった紙を取り出した。
「なんだ? 手紙か?」
私が訊くと、妹は小さく折られていた紙を丁寧に開いた。
「これはまちがいなく手紙だねぇ。読む?」
64:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 23:01:49.65 ID:xy6mxyet0
「ふぶき、中佐への昇任おめでとう。
ボクの初めての艦娘である吹雪が二年でここまで成長するなんて出会ったときは思いもよらなかったよ。
この二年間、色々あったよね。君はその小さな身体でボクには出来ない事をたくさん成し遂げてきた。
そして、時に笑って、泣いて、怒って、喜んで、その一瞬一瞬を積み重ねるうちに立派になっていった。
それがボクには司令官としてとても嬉しかったよ。
65:名無しNIPPER[sage]
2017/08/08(火) 23:02:24.42 ID:9JaFrlOPo
気をつけてないぞ
66:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 23:02:32.92 ID:xy6mxyet0
妹が読み上げると、私は思わずため息を吐いてしまった。
「十月というと、九ヶ月前のことだねぇ。あー私は受験勉強してたわ……」
「そうだな。ということは、これは間違いなく前任司令官時代のものとなるね。
ふむふむ、なるほど前任司令官は初期艦の吹雪とケッコンした訳か……」
「お兄ちゃんは、五月雨ちゃんとケッコンするの??」
67:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 23:04:19.90 ID:xy6mxyet0
「おぉっ? これは、吹雪ちゃんと司令のツーショットじゃん??」
私も妹が持っている写真を覗く。
「本当だ……って、すごく美形でイケメンな司令官じゃないか!!」
クールで端正な顔立ち、女にも見えなくない白い肌、凛とした風格に、私は「なるほど」を思わず連発してしまった。
「何が『なるほど』なんよ?」
68:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 23:05:14.55 ID:xy6mxyet0
いやはや、しかしこの前任のイケメン司令には是非とも会ってみたいと思った。
写真を見るだけで一会の価値のある男であることが感じられた。
引継ぎの際に会えればよかったのだが、突然の異動か、外せない重要任務でもあったのだろう。
明石中佐が何も話さなかったことを見ると、大本営からの重要秘密任務といったところか。
まぁ、時間が空いたときでも、上官に取り合って頼めば会う事は可能そうにみえる。
69:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 23:06:04.39 ID:xy6mxyet0
「とりあえず、明日は柱島泊地人事部にこの事を打電しよう。このケッコン指輪を早く持ち主のとこに返してあげなければ」
「だね。でも、こんな大切なものを忘れるなんて、ちょっと変かも」
「いや、急用とか重用任務があってすぐさま異動だったのかもしれないよ。因みに他のたんすや引き出しはお前が来たときは空だった?」
「うん、空っぽ」
「じゃあそう言う事さ。引き出しの鍵がベッドから落ちてきたという事はその時は見つけられなかったって訳。
70:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 23:07:21.82 ID:xy6mxyet0
翌朝、テーブルを囲んで妹と五月雨と一緒にシリアルとシーザーサラダを食べていると、妹が五月雨に昨夜の話をしはじめた。
……ってお前から切り出したら私らの関係を怪しまれるだろ……。
「そういえばさ、私、昨夜に部屋ですっごいの見つけちゃったの」
「そうなの? それって??」
71:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 23:08:12.90 ID:xy6mxyet0
その言葉と、同時に北上から出されたケッコン指輪の小箱を見て、五月雨は口に手をあて驚いた表情をした。
そして、驚きからか少々固まっている。
「どしたの? 五月雨ちゃん、すごい驚いてるけど。やっぱりすごい発見だよね〜。こんなのそうそうある事じゃないし」
「あ、うん、これはすごい驚いちゃうよ……ぜんぜん予想できなかった……」
「そりゃそうだよ〜。私は昨日のうちに司令にも報告しておいたけど、すごく驚いてた」
72:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 23:08:53.46 ID:xy6mxyet0
五月雨は頬を赤めてそう言った。
恥ずかしそうにする態度に私は思わず「かわいい」と小さく呟いてしまった。
よく分からない理由ではあるが、まぁ、少しくらいは貸してあげてもよいだろう。
「そ、そうか。午後には柱島に連絡するから、昼食頃には返してほしい」
私はそう言って、五月雨に指輪や手紙が入った小箱を渡したのであった。
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