【艦これ】「泊地を継ぐもの」
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30:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 13:11:12.13 ID:5FDHqpH0O
 そう言って、私は茶封筒を空け、中に入っていた一枚の紙を取り出した。内容は次の通りであった。
「秘 発呉鎮守府柱島泊地人事部 着五神島泊地司令部少佐 五神島泊地司令部少佐及び軽巡洋艦北上に対し、次の事を遵守することを命ず。
 一、両者は兄妹関係にあるが、それを外部に分かるような行為は必ず控えること。
 二、両者はお互いを必ず信じること。
 上記を遵守できないことが判明した場合、双方の解職もあり得るので注意して職務を全うされたし。なお、本書類は自身の手帳等他人に見られない媒体に記録したのち必ず読めない状態にして廃棄する事。以上」
以下略 AAS



31:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 13:12:02.01 ID:5FDHqpH0O
「あと、北上、馴れ馴れしい話し方すると、ばれるかもだから、さ……」
「えー、これがアイデンティティだからそこはゆずれないね。まぁ、気をつけるさ」
 そういうと、北上はスマホを出して、文書をカメラで撮ると、私から離れた。私も同じくスマホで文書全体を撮って保存した。
「あ、あれ、ここにはシュレッダーないのか。仕方ない破って捨てるか」
 そう呟き文書を細かく破るとゴミ箱に捨てた。
以下略 AAS



32:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 13:12:39.86 ID:5FDHqpH0O

 それから、私は五月雨を司令室に呼んだ。
「はじめまして! あなたが新しく入ってきた北上さん?」
「そうだよー。私が噂の軽巡北上。まぁよろしくー」
 妹の階級は曹長であるから、上官である五月雨には丁寧語くらいで話すかと思ったら、悠々とタメ口を使ってきたのでびっくりした。まぁ、そこが妹らしいのだが。
以下略 AAS



33:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 13:13:39.41 ID:5FDHqpH0O

――五神島南部海域
「北上さんはこれが初出撃なの?」
「あー、そうだよー」
「すごいすごい! 私、初出撃のときは前にぐるぐる回転したり、他の子にぶつかっちゃったりしたから……」
以下略 AAS



34:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 13:15:05.84 ID:5FDHqpH0O
――十四センチ単装砲を構え対空戦闘用意。
「……きましたっ!」
「うっつよ〜!」
――十二.七センチ砲と十四センチ単装砲斉射。しかし、敵偵察機には当たらず。敵偵察機は北進し、直線方向に逃れようとした。
「逃がすものですかっ!」
以下略 AAS



35:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 13:15:37.81 ID:5FDHqpH0O
「分かってるよ。敵の思惑は私たちに偵察機を追いかけさせて背後から雷着観測雷撃をさせること。もうその手にはひっかかりませんっ!」
――五月雨、北上、雷撃を回避し、雷跡をすばやく溯る。
「なるほどね〜五月雨ちゃんかしこーい!」
「それじゃあ、爆雷投下しますよ!」
「りょーかいっ!」
以下略 AAS



36:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 13:16:08.58 ID:5FDHqpH0O

 初陣は完璧な勝利か。ひとまず安心だ。柱島に報告したら報酬として艦娘一隻でも編入できればいいのだが……。
「ただいま帰還しましたっ!」
「帰ったよ〜」
 司令室に二人が上機嫌に報告に来た。まったくかわいいものだ。
以下略 AAS



37:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 13:16:55.01 ID:5FDHqpH0O

 この日の夕飯は、五月雨がスパゲティとピザを作ってくれた。もちろん、量は四人分にしては多いなと思える量であった。
「五月雨ちゃん、これ量多くない??」
 妹も同じくして、その疑問を五月雨に投げかけた。
「明石さんが大食いだから〜」
以下略 AAS



38:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 13:17:32.63 ID:5FDHqpH0O
「私は普通かな。そもそもそんなに呑まない。司令官たる者は常に正常な判断が出来るような状態になければならないからね」
「ふーん、かっこいいこと言うじゃん」
「そういえば、北上は部屋どこに決まったんだ?」
「あー、私? 私は五月雨ちゃんの勧めで、三階の指揮所の隣の部屋になったよ〜。階段上がって左奥のとこ」
「そうそう、私が北上さんにすすめてあげたんです! 三階のあそこの部屋は広いですし、清潔感もあって眺めもいいですから!」
以下略 AAS



39:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 13:18:09.04 ID:5FDHqpH0O
 今日のスパゲティはアラビアータでこれも程よい辛さでなっかなかにうまい味であった。ピザもトマトとバジルの酸味が絶妙でうまい、えっ、私は彼女らの会話の間に入れてない? 仕方が無い。就職浪人を二年続けるとコミュ力も落ちるのだ。しかし妹は、二年浪人してもコミュ力は落ちない。女というのは喋るのが生きがいだからどっかで毎日べらべら喋ってたんだろう。
「そいえば、五月雨ちゃんって前はどこにいたの??」
「…………前に着任してた司令部ということ?」
「うん、そだよ。聞けば五月雨ちゃんも最近ここに着任してきたばかりって聞いたよー」
「――私は、八島泊地にいたよ。それで最近この司令部に編入になったの」
以下略 AAS



40:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 13:18:44.67 ID:5FDHqpH0O
「あぁ、それはね……。だって、このくらいの距離なら単独航海できるし、私のために無駄な税金使われるの勿体無いもの……」
 それを聞いていて、私は身が引き締まる思いがした。よくよく考えれば、この身の回りすべてが国民の血税で賄われているのだ。だから私たちはその見返りとして、国民を守らねばならないのである。
「なるほどー。だけど、艤装は整備費が凄く飛んでいくから、小船での移動の方が安上がりらしいよ。だからちゃんと命令通りに動けって、上官さんから伝言頼まれたよ」
「……そっか、私、また人に迷惑かけちゃった……」
「ううん、五月雨ちゃんはすごく優しいし、思いやりあるから、そんなに自分を責めることはないよ」
以下略 AAS



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