55:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:44:27.86 ID:55jPn/3I0
◇◇◇
日々は、過ぎていきました。
最初は、あんまり好意的でない人も居ました。
56:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:44:59.11 ID:55jPn/3I0
私は、どこまでいけるのだろう。
私は、いつまでアイドルで居られるのだろう。
『島村卯月』は、どこまでアイドルで居られるのだろう。
57:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:46:42.63 ID:55jPn/3I0
◇◇◇
透明な大地が、地平線の果てまで広がっています。
真っ白な道が、地平線の向こうまで続いています。
その道には、沢山の分かれ道があって、それぞれが見渡せないほど遠くまで続いていました。
58:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:47:17.98 ID:55jPn/3I0
もう、いいんじゃないのかな。そう思いました。
だけど、まだいけると思いました。
みんなと一緒なら進めると思っていました。
だけど、一人になっても、進んでみたいと思いました。
59:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:47:57.83 ID:55jPn/3I0
「辛いですか?」
影法師の問いかけは容赦がなくて、『島村卯月』もちょっと困ってしまいます。
「ちょっとだけ……」
60:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:49:00.11 ID:55jPn/3I0
振り返った先には、今まで歩んできた道。
何も無かった大地に足跡を刻む。そこには、眠っていた種子が宿っていた。
私は歩み、それを起こしただけ。
61:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:49:27.26 ID:55jPn/3I0
◇◇◇
――遠い、夢を見ていました。
ええと、今は――確認しようとモニターを開くと、そこは星の海。
巨大な鉄の船と、それを見守る星の光がありました。
62:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:50:26.58 ID:55jPn/3I0
私はデビューしてから、沢山の時間が流れました。
あれから色々ありましたけど、人類――いえ、地球種と言った方がいいでしょうか。
ともかく、私たちは生きている。
そして、『島村卯月』は、今もアイドルです。
63:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:51:18.93 ID:55jPn/3I0
ヒトの世代は何度も重ねられ、私はこの世界で最も歳を重ねた知的『生命体』の一つです。
それでも、アイドルはまだ辞められない。
だって、私はアイドルが――ステージの上から見る、ファンの人たちの笑顔が好きだから。
だから、地球ではなくて他の星の人の笑顔も見てみたい。
64:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:52:17.09 ID:55jPn/3I0
終われないのは、大変だけど。だけど、ここで終わってしまうのは、もっと辛い。
だって、『島村卯月』は『アイドル』だから。歌い続けることが出来る限り、愛がある限り、そこに立ち続けることが出来るのだから。
みんなの笑顔を見るのが、好きだから――笑顔で居られる世界が好きだから、頑張ります。
65:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:53:16.69 ID:55jPn/3I0
◇◇◇
地球とは遠い惑星。蒼い肌をした原生民が、黙ってモニターを眺めていた。
「みなさーん、楽しんでますかー」
68Res/53.07 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20