12:1 ◆0NR3cF8wDM[saga]
2017/06/28(水) 21:34:09.31 ID:OXNr9JoL0
みんなには内緒の楽しみができました。
水曜は公園の歌の日!
奥の噴水近くのベンチに座って、届いてくる歌にゆっくり聴き入ります。
13:1 ◆0NR3cF8wDM[saga]
2017/06/28(水) 21:38:22.33 ID:OXNr9JoL0
最初は私だけだった秘密のコンサートも、少しずつ、本当に少しずつ聴きにくる人が増えていきます。
私と同じ年くらいの子はもちろん、スーツ姿のサラリーマンっぽい人、スーパーの買い物袋を持ったお母さんっぽい女の人、仲の良さそうなおじいちゃんおばあちゃんのご夫婦、色々な人が私と同じように週に一度の歌声を楽しみにしていたみたいです。
14:1 ◆0NR3cF8wDM[saga]
2017/06/28(水) 21:39:51.65 ID:OXNr9JoL0
♪
15:1 ◆0NR3cF8wDM[saga]
2017/06/28(水) 21:42:43.96 ID:OXNr9JoL0
変化に気づいたのは、いつだったっけ。
明るい歌が増えたのが分かって、前と同じ歌を聴いても寂しさみたいなものをあまり感じなくなって。
それまでは、どちらかといえば、俯いたり目を瞑ったりして静かに歌に身を任せる人が多かったんだけど、だんだん、顔を上げて身体でリズムを取りながら歌を楽しむ人も増えてきました。
16:1 ◆0NR3cF8wDM[saga]
2017/06/28(水) 21:46:41.00 ID:OXNr9JoL0
私にとって大きな事件が起こったのは、そんな頃のことでした。
合唱コンクール。
どこの学校でもあるのかな? クラスで歌を歌って、一番を決めるっていう行事。
誰かにとっては何でもないイベントで、誰かにとってはすごく楽しみなイベントで、誰かにとっては面倒なイベントで。
17:1 ◆0NR3cF8wDM[saga]
2017/06/28(水) 21:50:49.12 ID:OXNr9JoL0
放課後。
誰かに声をかけられる前に教室を飛び出した私は、気がつけば、いつもの公園、いつものベンチに向かっていました。
その日はいつもの歌の日ではなかったけど、ここ数ヶ月間、私にとって一人になる時間というのは、ほとんどがその場所でのことだったから。
18:1 ◆0NR3cF8wDM[saga]
2017/06/28(水) 21:55:21.85 ID:OXNr9JoL0
「……あの、」
19:1 ◆0NR3cF8wDM[saga]
2017/06/28(水) 21:56:24.84 ID:OXNr9JoL0
♪
20:1 ◆0NR3cF8wDM[saga]
2017/06/28(水) 21:59:11.95 ID:OXNr9JoL0
「いつも、このベンチで私の歌を聴いてくれていますよね?」
如月千早さん、っていうんだって。
21:1 ◆0NR3cF8wDM[saga]
2017/06/28(水) 22:03:47.44 ID:OXNr9JoL0
まとまりのない、自分でも何が言いたいのか分からない話だったと思います。
でも、千早さんは隣にいて最後まで聞いてくれました。
ただ静かに、私の悩みとも愚痴ともつかない話を受け止めてくれました。
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