23: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/06/14(水) 22:47:23.89 ID:6jKTh3xi0
まずは、親指用のマニキュア。
封を開けて、さて塗ろうかという、その時に。
「待って」
24: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/06/14(水) 22:47:56.92 ID:6jKTh3xi0
まただ。まただ。まただ。
偶然じゃない。偶然じゃない。偶然じゃない。
25: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/06/14(水) 22:48:37.69 ID:6jKTh3xi0
(早く、早く、逃げなきゃ、逃げなきゃ!)
何から逃げているのかなんてわかりません。
安全な場所があるのかなんてわかりません。
26: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/06/14(水) 22:49:31.37 ID:6jKTh3xi0
周囲から聞こえる悲鳴。
視界の隅に、ほんの端っこに、その物体が、今にもぶつかりそうな。
今度は頭も働きません。避けるとか、そんなことも考えられず。頭の中にはモヤばかり。
27: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/06/14(水) 22:50:10.11 ID:6jKTh3xi0
ガッッッ!!!
大きな後ろからの衝撃が、私の体を前に押しました。
地面を何度か転がるように、視界が回ります。でも、なぜか痛みは少なくて。
28: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/06/14(水) 22:50:49.13 ID:6jKTh3xi0
思えば、よくもまあ体力が続くものです。ここまで一心不乱に走ってきたのに、今度は逆戻り。
でも、そんなことは頭の片隅にもありませんでした。
どうにかしなきゃ、どうにかしなきゃ!
29: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/06/14(水) 22:51:26.69 ID:6jKTh3xi0
どれくらい走ったろう?
行きより長かったのか、短かったのか。
いやもちろん、同じ長さであることは間違いないのに。
30: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/06/14(水) 22:51:58.84 ID:6jKTh3xi0
肩で息をしつつ、周囲を見渡します。
人形があったところには何もなくて、なぜか周りには誰もいなくて。
そんな、漠然とした不安感は、ある女性の声で塗り替えられました。
31: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/06/14(水) 22:52:31.93 ID:6jKTh3xi0
「あれは、もらった人に返しちゃいました」
「え……?」
32: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/06/14(水) 22:53:10.97 ID:6jKTh3xi0
漏れ出たのは、安堵の声。
悪夢から覚めた、そんな気持ちの。
もう大丈夫だ。そう考えると、少しずつ頭が回ってくる。
33: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/06/14(水) 22:53:44.12 ID:6jKTh3xi0
「頭まで取れちゃうなんて」
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