85: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/04/30(日) 05:18:12.74 ID:zE7UP0Tu0
今回はここまで。
86: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/05/02(火) 04:18:00.34 ID:UUDRFckKO
「……ああ、時計を外したままだったね。見せてしまったのか、すまない。」
まるで大した事でも無いように、彼はあの微笑でそう言い放ちました。
そんなズタズタの手首を、他人事みたいに…この時少しだけ、怒りすら覚えました。
87: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/05/02(火) 04:40:31.52 ID:TkF1vjjP0
「最初の戦闘だったね…僕の乗った護衛艦は、近海での戦闘に向かっていたんだ。
その船には、あそこに赴任した頃からいた部隊が乗っていてね。
同期の仲間に、お世話になった上官や先輩。いつもの顔ぶれが揃っていたよ。
88: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/05/02(火) 04:41:31.77 ID:TkF1vjjP0
「それで…どうやって生きて帰って来たんですか?」
「そうだね…吹っ飛ばされた場所で、とっさに仲間の死体から機関銃を掴んでね。
僕はそいつを担いだまま、傾いた船首に立っていた。
89: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/05/02(火) 04:42:41.18 ID:UUDRFckKO
言葉が、出ませんでした。
ここまで脳の処理が追い付かない感覚と言うのは、初めてだったかもしれません。
…でも、折れちゃダメ。確かめなきゃいけない事は、まだたくさんあるんだ。
90: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/05/02(火) 04:43:43.10 ID:TkF1vjjP0
91: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/05/02(火) 04:45:33.25 ID:TkF1vjjP0
「…そんな所さ。大した話じゃなかったろう?『僕』の話は。」
貼り付けた笑み。
戻った一人称。
他人事みたいに笑う。
92: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/05/02(火) 04:47:02.72 ID:TkF1vjjP0
「あお、ば……?」
今は鍵を閉めています。
ここにはもう、彼と青葉しか存在しない。
93: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/05/02(火) 04:47:53.34 ID:TkF1vjjP0
壊れたあなたを見て、きっとあの人は耐えられなくなったのでしょう。
色んな人が、死んで、去って。あなたの元を過ぎて行ったのでしょう。
でも壊れてしまっていても、あなたの本質は優しい人です。
分からないのなら、与えてしまえばいいんだ。
94: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/05/02(火) 04:48:37.98 ID:TkF1vjjP0
今回はここまで。
95:名無しNIPPER[sage]
2017/05/03(水) 01:39:14.72 ID:erRfoPmA0
おつです
壮絶だし健気すぎるなあ…
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