92: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/05/02(火) 04:47:02.72 ID:TkF1vjjP0
「あお、ば……?」
今は鍵を閉めています。
ここにはもう、彼と青葉しか存在しない。
首を締めたのは、生存本能を分からせる為。
傷跡を舐めるのは、慈しみの感情。
それで…これは、愛情を示す為の行為。
唇を重ねて、舌を無理矢理絡めて。
切れる青葉の息と、それでも上がってくれない彼の心拍数がそこにはあって。
ずっと念願だった彼との最初の口付けは、デートの終わりなんてロマンチックなものじゃなく。
『私』から踏み込んだ、甘美で、でもひどく暴力的なものでした。
子供の頃、10針縫う怪我をしました。
その時は周りは大騒ぎで…でも青葉は痛いなんて思わなくて、冷静なぐらいで。
痛くなってきたのは、治療が終わってようやくの事でした。
後で知ったんですけど、痛覚が限界を超えると、麻痺する事ってあるそうじゃないですか?
それは心でも、同じなのかもしれませんね。
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