686: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:12:11.09 ID:z5kRHM0CO
佐藤要撃のためのプランは詰めの段階まできていた。戸崎がより詳細な現地設備の情報を持ってきたことから、亜人に対して有効な要撃プランを作ることができた。あとは実際の現場を見て、細かい点を修正していけばいい。永井はそう考えていた。
要撃のメインとなるのは黒服たち、やつらをどのようにして動かせばいいか、戦闘経験を積んでいるから簡単には僕の指示に従わないだろう、いや、プランの有効性を示せば動くか?
687: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:13:13.22 ID:z5kRHM0CO
平沢「おまえ、寂しいのか?」
永井「はあ!?」
688: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:14:14.31 ID:z5kRHM0CO
平沢「中野ってやつは、他人の信頼を得るのがうまい。同じ教室にいたらあいつはヒーローで、おまえはただの嫌なやつだろう」
平沢「だが、ここは学校じゃない。ここじゃあ、倫理や感情を断ち切る圧倒的な決断が必ず必要になる。本当だ。おまえはそれができる」
689: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:15:34.54 ID:z5kRHM0CO
永井「同じ失敗はしない。僕はバカじゃないから」
力のこもった、決然とした口調だった。
690: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:16:28.33 ID:z5kRHM0CO
戸崎「これが意見をまとめ作成した対佐藤の作戦要項だ。全員がしっかり頭に入れておくこと」
戸崎がクリップで留められた資料を人数分配って言った。資料を捲る面々の様子を視線で見回ると、中野が中学生が背伸びして晦渋な文章を読むときのようにページを睨んでいる。
691: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:17:39.02 ID:z5kRHM0CO
メールを送信しスマートフォンをポケットにしまうと、永井は掌を上に向けた。掌に意識を向けると黒い粒子が立ち昇ってきた。粒子は一条の狼煙となって夜の空の星たちのあいだを通過して、宇宙の一部になっていくように見えた。
黒い粒子は一定の間隔で上昇していた。粒子は夜の暗さから独立していて、永井の視力が許すかぎりその上昇はどこまでも確認することができた。
692: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:18:36.62 ID:z5kRHM0CO
永井がオグラにIBMを披露した際、中野は自身の問題について──IBMの発現ができない──オグラに質問していた。
オグラ「IBMを出せるようになる方法? ないな、おれの知るかぎり」
693: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:19:38.30 ID:z5kRHM0CO
ロープの端を結んで輪を作り、首に掛けられる大きさまで広げると、輪になった方とは反対の端を太い幹から伸びた腕三本分はある頭上の枝に掛けた。永井はぎゅっと引きロープを固定した。
これで、縛り首の準備が整った。
694: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:20:32.07 ID:z5kRHM0CO
中野「なあ、永井」
中野はちらっと永井のほうを向いて言った。
695: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:21:25.93 ID:z5kRHM0CO
ロシア語のメールを見たとき、アナスタシアは奇妙に思った。考えてみたらロシアにいたときは携帯電話やパソコンは持ってなかったので、こうしてキリル文字の文面を読むのはずいぶん久しぶりだった。
文章は簡潔だったが、そのぶん明瞭で文法上の謝りはなかった。
696: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:22:14.45 ID:z5kRHM0CO
永井からの返信はすぐだった。返信メールには画像が添付されていた。
スマートフォンのカメラで撮影したとおぼしきその画像には、一枚のルーズリーフが写っていた。モールス符号を視覚的に表したキリル文字の一覧表がルーズリーフに記入してある。ふたたびメールの着信。ロシア語で、北西の方角を見ろという指示があった。
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