681: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:06:17.52 ID:z5kRHM0CO
草の上にボックス型のガンケースがふたつ置かれていて、波形の表面が鈍い銀色の光を反射させている。
彼らはケースから拳銃を取り出し、弾倉を装填してからスライドを引いた。ホテルの裏口からタイルを敷いた散歩用の小道が延びていて、小道の向こうに的になる看板があった。
682: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:07:04.76 ID:z5kRHM0CO
永井「一発はずした」
永井は左手の人差し指をフレームの上に置くと、銃口をすこし下げ地面に向けた。すでに手慣れた手つきでマガジンをリリースする。その様子を驚きながら見ていた黒服がみじかく笑った。
683: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:08:10.50 ID:z5kRHM0CO
夜食を摂り、食後の作戦会議も終わった。戸崎はフォージ安全での作戦展開の許可をとったことを告げ、より詳しい施設の情報を開示した。それによって実行可能なプランが絞られ、それぞれのプランの具体的な検討に入っていった。
永井はそれらを聞きながら、ビルの十階にある、とある設備にひとり注目していた。
684: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:09:21.87 ID:z5kRHM0CO
真鍋「……永井、なんか用か?」
永井は応えず、真鍋が背中に隠している右手があるところに視線を向けた。ふたりとも黙ったまま何秒か過ぎた。
685: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:10:49.24 ID:z5kRHM0CO
気温は二十度をすこし上回るくらいで、昼時に比べるとずいぶん涼しくなっていた。おまけに夜風がおだやかに森を吹き抜けていたので、木々の心地よいざわめきが起こり、秋虫の鳴き声と重なって調べをつくっていた。
永井は低い石垣に腰掛け、ひとり考えにふけっている。
686: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:12:11.09 ID:z5kRHM0CO
佐藤要撃のためのプランは詰めの段階まできていた。戸崎がより詳細な現地設備の情報を持ってきたことから、亜人に対して有効な要撃プランを作ることができた。あとは実際の現場を見て、細かい点を修正していけばいい。永井はそう考えていた。
要撃のメインとなるのは黒服たち、やつらをどのようにして動かせばいいか、戦闘経験を積んでいるから簡単には僕の指示に従わないだろう、いや、プランの有効性を示せば動くか?
687: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:13:13.22 ID:z5kRHM0CO
平沢「おまえ、寂しいのか?」
永井「はあ!?」
688: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:14:14.31 ID:z5kRHM0CO
平沢「中野ってやつは、他人の信頼を得るのがうまい。同じ教室にいたらあいつはヒーローで、おまえはただの嫌なやつだろう」
平沢「だが、ここは学校じゃない。ここじゃあ、倫理や感情を断ち切る圧倒的な決断が必ず必要になる。本当だ。おまえはそれができる」
689: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:15:34.54 ID:z5kRHM0CO
永井「同じ失敗はしない。僕はバカじゃないから」
力のこもった、決然とした口調だった。
690: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:16:28.33 ID:z5kRHM0CO
戸崎「これが意見をまとめ作成した対佐藤の作戦要項だ。全員がしっかり頭に入れておくこと」
戸崎がクリップで留められた資料を人数分配って言った。資料を捲る面々の様子を視線で見回ると、中野が中学生が背伸びして晦渋な文章を読むときのようにページを睨んでいる。
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