80:名無しNIPPER[saga]
2016/11/27(日) 00:03:19.89 ID:FHyQmHZuO
それが、堪らなく情けなかった。
この涙を止めるのは、この小さな手を引いて走るのは、妹を守るのは、兄である自分の役目だ。
81:名無しNIPPER[saga]
2016/11/27(日) 00:05:06.13 ID:FHyQmHZuO
父のように母のように。
或いは、妹が慕う青年。
82:名無しNIPPER[saga]
2016/11/27(日) 00:07:06.20 ID:FHyQmHZuO
喚き散らす化け物に対し、応答はない。
次の瞬間、雪積もる地面の上に、何かが倒れる音がした。
83:名無しNIPPER[saga]
2016/11/27(日) 00:08:30.11 ID:FHyQmHZuO
「もう、大丈夫だから」
二人は彼の胸に顔を押し付け、涙を流しながら何度も頷いた。
84:名無しNIPPER[saga]
2016/11/27(日) 00:10:04.00 ID:FHyQmHZuO
遺体と分かる遺体は、数える程しかない。
大半は無惨に引き千切られたか、噛み千切られたかしている。
85:名無しNIPPER[saga]
2016/11/27(日) 00:12:26.89 ID:FHyQmHZuO
徹するべきだと、哀悼自責の念を断ち切る。
絶望はこうした惨状を見せ付けることで、世界を巻き込むことで、彼を揺さぶっているのだ。
86:名無しNIPPER[saga]
2016/11/27(日) 00:16:56.19 ID:FHyQmHZuO
二人が落ち着いたのを見計らい、声を掛ける。
その言葉に反応し、先に顔を上げたのは、少女の方だった。
87:名無しNIPPER[saga]
2016/11/27(日) 00:21:12.34 ID:FHyQmHZuO
彼は微笑みながら、天を指差した。
「目が慣れてから、ゆっくり見上げてごらん」
88:名無しNIPPER[saga]
2016/11/27(日) 00:25:35.26 ID:FHyQmHZuO
「そろそろだ。陣が起動する」
術式起動の影響か、街全体が僅かに揺れる。
89:名無しNIPPER[saga]
2016/11/27(日) 00:26:54.30 ID:FHyQmHZuO
「ほら、勇者さんにお別れ言っとけ」
「……うん。ゆうしゃは、これからどうするの? いっしょにこないの?」
90:名無しNIPPER[saga]
2016/11/27(日) 00:33:42.90 ID:FHyQmHZuO
「勿論、また会えるよ」
「この夜が明けたら、きっとまた会える。だから、大丈夫」
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