志希「それじゃあ、アタシがギフテッドじゃなくなった話でもしよっか」
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110:名無しNIPPER[saga]
2017/03/10(金) 19:05:44.98 ID:prvI6nFf0

『もしも、アタシがふつーになれたなら。
休日は映画を観て、一緒にショッピングをしてさ。帰ってきたらエプロンを腰に巻いて、彼のために料理を作るの。

それで、すこし失敗した料理を笑って食べてくれた彼が、思い出したようにあのシーン、すごくよかったねって言うのをうんうん分かるよなんて頷いてさ。
以下略 AAS



111:名無しNIPPER[saga]
2017/03/10(金) 19:11:01.23 ID:prvI6nFf0

それを見た時、よーやくアタシは、これまでずっと探し続けてきた“答え”を知ることができたんだ。

つまりね。アタシが今までこんなにも辛い思いをしてきたのは、ぜーんぶプロデューサーのためだったんだよ。

以下略 AAS



112:名無しNIPPER[saga]
2017/03/10(金) 19:13:09.81 ID:prvI6nFf0

「……あはは、そう、だったんだ」アタシはそう呟くと、助手席の背もたれに体を預けた。

薬の副作用で、いちばん大事な記憶が頭から抜け落ちてしまったことは、もちろん不幸なことだったと思う。そのせいでアタシは、ずいぶんと遠回りをしてしまったのだから。

以下略 AAS



113:名無しNIPPER[saga]
2017/03/10(金) 19:29:51.62 ID:prvI6nFf0

「……どうしたんだ」誰かの声が耳に届いた。それは運転席からの声だった。

「泣いてるのか?」目を覚ました彼はアタシの方を見ていた。

以下略 AAS



114:名無しNIPPER[saga]
2017/03/10(金) 19:41:15.32 ID:prvI6nFf0

「……プロデューサー」とアタシは言った。

たぶん、アタシ達はもう取り返しのつかなくなる、その一歩手前まで来てしまっていたんだと思う。寄り集まった紐みたいに、こじれて、ほどけなくなくなって。そんなひどい有様だったんだろうね。

以下略 AAS



115:名無しNIPPER[saga]
2017/03/10(金) 20:37:15.51 ID:prvI6nFf0

――それでさ。気づいたらいつの間にか、アタシ達は車の中で、これまでの出来事を話していたの。

才能を失ったことを言ったとき、彼はずいぶんと目を丸くしてたと思う。もちろん理由は言わなかったけど、そもそも信じてくれないと思っていたものだから、彼の反応にアタシもまたびっくりしていたね。

以下略 AAS



116:名無しNIPPER[saga]
2017/03/10(金) 21:03:07.66 ID:prvI6nFf0

いつしか眠りに落ちてしまったアタシが目を覚ましたときには、もう朝が訪れていたの。

運転席にいた彼はとっくの昔に目を覚ましていてね。そんな顔を見て、アタシはゆっくりと体を起こしたんだ。

以下略 AAS



117:名無しNIPPER[saga]
2017/03/10(金) 21:31:07.31 ID:prvI6nFf0

さてさて。それじゃあ、ここからは“それから”のことを話そっか。

そうだね。まずはノートに貼られていた手紙について、先に話しちゃおうか。

以下略 AAS



118:名無しNIPPER[saga]
2017/03/10(金) 23:20:09.90 ID:prvI6nFf0

そんなことがあってから、いくらかの日が経って。アタシはオーディションにのぞんだんだ。
結果はおもしろいくらいに散々だったね。結構自分なりに頑張ったつもりだったんだけど、まあ、それも仕方ないことなのかもしれないね。

でもさ。そんなオーディションで、審査員の人たちは口々に不満を言ってきたんだけどね。そんな中で、監督だけはアタシに向かって「手を抜いているのかい」と言ったんだよ。
以下略 AAS



119:名無しNIPPER[saga]
2017/03/10(金) 23:33:46.97 ID:prvI6nFf0

――オーディション会場を飛び出した後、アタシは急いで彼のことを探したんだ。なんだか早く彼に会いたいって、そんなことばかり考えていたとおもう。

そのときはさ、なんだかいつもよりも胸が高鳴っていたような気がしたね。駆けだした足も止まらないくらいにさ。

以下略 AAS



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