志希「それじゃあ、アタシがギフテッドじゃなくなった話でもしよっか」
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116:名無しNIPPER[saga]
2017/03/10(金) 21:03:07.66 ID:prvI6nFf0

いつしか眠りに落ちてしまったアタシが目を覚ましたときには、もう朝が訪れていたの。

運転席にいた彼はとっくの昔に目を覚ましていてね。そんな顔を見て、アタシはゆっくりと体を起こしたんだ。

「おはよう、志希」

いつもの彼の優しい声が耳に届いて、アタシはちょっぴりおかしくなって、笑った。

「ねえ、プロデューサー」

「どうした?」

大嫌いだったはずの彼にアタシがこうして話しかけようとしてる、それがたまらなく面白かった。だってさ。もう絶対に治らないって思っていた関係が、一夜のうちに元に戻っていたんだよ。それって、どれくらいすごいことなんだろうね。

「アタシ、がんばろうって思うんだ。オーディションも、これからのことも。ぜんぶ」

そうか、なんて運転席でハンドルを握る彼は嬉しそうに笑っていた。

そう。アタシはこのとき決めたんだよ。才能なんてものに頼らないで自分だけの力で、この世界を生き抜いてやろうってさ。

難しいことかもしれないけど、でも、不思議と諦めるって気持ちはなかったね。それよりもむしろ、こんなふうに思っていたんだ。

――やっと、新しい自分に向き合うことができたんだってね。




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