モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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176: ◆GPqSPFyVMNeP[sage saga]
2016/06/17(金) 21:56:29.88 ID:Lzf9MzY5O
ドーモ
あんまり長くないやつ投下します


177: ◆GPqSPFyVMNeP[sage saga]
2016/06/17(金) 21:59:33.35 ID:Lzf9MzY5O

「アラァ、おかえり洋子ちゃん」

 思いがけぬ声に斉藤洋子は立ち止まり、その方向を見やった。恰幅の良い白髪の婦人が、こっちヨと言わんばかりにニンマリと笑み、手招きしていた。
 日課の早朝クライムハントジョギングを終えたばかりの洋子は軽く会釈し、一瞬の思考で次にとるべき行動を選び取った。
以下略 AAS



178: ◆GPqSPFyVMNeP[sage saga]
2016/06/17(金) 22:02:36.72 ID:Lzf9MzY5O

 およそ10秒後、再びパタパタと現れた彼女は、身の丈の半分はあろうかという大きな段ボール箱を抱えていた。

「洋子ちゃん昨日留守してたでしょ? 宅配便来たけど、あんまり大荷物だからアタシの方で預かっててね、早いうちに渡せて良かったワ。あ、中身は見てないからネ、トーゼンだけど、ネ、安心なさいな」

以下略 AAS



179: ◆GPqSPFyVMNeP[sage saga]
2016/06/17(金) 22:06:56.90 ID:Lzf9MzY5O

 炎の能力者となって以来、洋子の体温は平熱でも40℃近い。自慢の美肌、起伏に富んだ肢体を流れ伝う42℃の湯も、彼女にとってはぬるま湯に等しい。
 シャワーを浴びてリフレッシュ完了した今、洋子の思考は底抜けに前向きだ。降ってわいた面倒事も実際チャンス。
 封筒の中身は何らかの美容セミナー案内状であり、外装の脱力感とは真逆のいやに凝ったレイアウトが、文面からにじみ出る胡散臭さをいくらか軽減していた。
 無論、そういったごまかしは洋子に通用するはずがなく、むしろ彼女は腹立たしささえ感じた。
以下略 AAS



180: ◆GPqSPFyVMNeP[sage saga]
2016/06/17(金) 22:10:00.01 ID:Lzf9MzY5O

 飾り気のない下着はハカクドーで5組1000円の特価品。実家から届いたばかりの仕送りから引っ張り出したTシャツとショートパンツは成長期途中に着ていた古いもので、ワンサイズ小さい。
 炎の踊り子装束を纏うたび、元の衣服は焼失する。ヒーローとして戦い暮らすことは、洋子が思っていた以上に、年頃の娘の大切な何かを犠牲にしているようだった。

「せめて、ちゃんとしたものを着られるぐらいには……」
以下略 AAS



181: ◆GPqSPFyVMNeP[sage saga]
2016/06/17(金) 22:13:15.18 ID:Lzf9MzY5O
 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 問題の美容セミナーの会場は旧東京エリア・シタマチの一画、何らかの更地に(おそらく無許可で)建てられた大規模プレハブ建造物であった。
 受付で案内状を提示すると、『美容エキス』とプリントされた袋――キャンディの試供品――を手渡された。これが記念品であろう。
 会場に集まった客の年齢層は概ね二極化しており、美容に敏感かつ社会人より時間の融通が利く思春期付近の学生と、相当額を貯め込んでいるであろう高齢者が目立つ。
以下略 AAS



182: ◆GPqSPFyVMNeP[sage saga]
2016/06/17(金) 22:16:24.80 ID:Lzf9MzY5O

 油断ならぬヒーローは目を閉じ、会場内の感情を探る。嫉妬、強欲、微かに色欲。こうした胡散臭い商売にはまり込む者は、思考さえも等しく曇っているものだ。

「ハイ、これね、皆さんにお配りしたと思いますけれど、もうお召し上がりになった方、いらっしゃいますか?」

以下略 AAS



183: ◆GPqSPFyVMNeP[sage saga]
2016/06/17(金) 22:19:37.86 ID:Lzf9MzY5O

 女は黒い泥に全身を包まれ、その姿は実際カーボン製マネキン! だが、その泥の肉体は表面が未だボコボコと脈打ち、さらなる成長を予感させる!

(これ、ヤバイでしょ! ハイーッ!)

以下略 AAS



184: ◆GPqSPFyVMNeP[sage saga]
2016/06/17(金) 22:22:44.38 ID:Lzf9MzY5O

「ヒーロー? バーニングダンサー? ……フ、フフ……ウワハハハ!」

 MC中年男は事態をようやく飲み込んだと見え、朱色のヒーローが少なくとも敵ではなく、むしろ彼を守らんとしている事実に勝ち誇るように笑った。
 その眼前50センチにバーニングダンサーのカエンチョップによって焼き切られたカースの腕の1本が落ち、彼は表情を凍りつかせて失禁した。
以下略 AAS



185: ◆GPqSPFyVMNeP[sage saga]
2016/06/17(金) 22:26:56.04 ID:Lzf9MzY5O

 踊り子の両手に朱色の装飾短剣が生み出された。ドグウ体表の怒れる無数の目に「ハイーッ!」突き刺す! 炎上! 「ウアアーッ!」
 ドグウカースは苦し紛れに腕を振り回す。バーニングダンサーはその1本に跳び乗り、勢いを利用して敵の背後に着地! 足場にされた腕は白い灰と化して崩壊!
 踊り子の両手に朱色の装飾短剣が生み出された。ドグウ体表のすすり泣く無数の鼻に「ハイーッ!」突き刺す! 炎上! 「ウアアーッ!」
 ドグウカースは苦し紛れに残り少ない腕を振り回す。バーニングダンサーはその1本を掴み、ロープアクションめいて敵の背後に着地! 勢い余ってちぎれた腕は白い灰と化して崩壊!
以下略 AAS



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