モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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◆GPqSPFyVMNeP
[sage saga]
2016/06/17(金) 22:06:56.90 ID:Lzf9MzY5O
炎の能力者となって以来、洋子の体温は平熱でも40℃近い。自慢の美肌、起伏に富んだ肢体を流れ伝う42℃の湯も、彼女にとってはぬるま湯に等しい。
シャワーを浴びてリフレッシュ完了した今、洋子の思考は底抜けに前向きだ。降ってわいた面倒事も実際チャンス。
封筒の中身は何らかの美容セミナー案内状であり、外装の脱力感とは真逆のいやに凝ったレイアウトが、文面からにじみ出る胡散臭さをいくらか軽減していた。
無論、そういったごまかしは洋子に通用するはずがなく、むしろ彼女は腹立たしささえ感じた。
(美容には早寝早起き、ご飯と運動……毎日の努力が大切なの。ミラクルなんてあり得ないんだから!)
それは洋子自身の経験則である。美容だの健康だのを謳う商品のうち、かつて彼女の試した限りでは、満足できたものは一握りもなかった。
この手のセミナーはもっと悪質だ。黒もしくは限りなく黒に近いグレーの詐欺業者が、女性の生涯の夢をせせら笑い、搾取する、悪徳商法のロビー。見逃す理由はない。
加えて、洋子個人としても切実な事情があった。ヒーローデビューを果たして二ヶ月、未だスポンサーは付かず、ヒーロー活動で安定収入を得るには至っていないのだ。
(裏にいるのはヴィラン? ただのペテン師? どっちにしても、バーニングダンサーの名を上げるために薪になってもらうよ!)
バスタオルで髪、顔、身体と撫でるように拭う。後は己の発する熱で勝手に乾く。ヒノタマの能力は便利さをもたらすが、一方でデメリットも無視できぬものだ。
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