209:名無しNIPPER[saga]
2016/05/01(日) 23:02:01.52 ID:lwUWxol4o
―――彼女は僕が混乱している間、黙って僕を観察していたようだった。僕の混乱振り
に飽きれるでもなく、助け舟を出すでもなく、自分の話を強引に進めるわけでもない麻衣。
その表情からは何やら僕のことを見極めようとしているような冷静さが感じられた。
210:名無しNIPPER[saga]
2016/05/01(日) 23:03:26.13 ID:lwUWxol4o
もうか弱い少女の振りをする余裕は彼女にはないようだった。この告白は嘘ではない。
そう直感した僕はいろいろと混乱している自分の心を静めて、クライアントの話に没頭す
る姿勢になった。過去の経験が生きていたのか、僕は自然に傾聴する体勢に移行すること
ができたのだった。
211:名無しNIPPER[saga]
2016/05/01(日) 23:05:00.54 ID:lwUWxol4o
「あたしね、お兄ちゃんに好きな人ができたんじゃないかって思った。それでお姉ちゃんの
気持ちに応えなかったんじゃないかって」
麻衣はそう言った。いったん収まった体の震えが再び彼女を襲ってきたように見えた。
212:名無しNIPPER[saga]
2016/05/01(日) 23:05:56.14 ID:lwUWxol4o
「それでこのメールを見てどう思った?」
答えなんてわかりきっていたけど、相談役の口からではなく自分から語らせる方がコン
サルティングする上では効果的だったから、僕は作法に従って続けた。
213:名無しNIPPER[saga]
2016/05/01(日) 23:06:52.55 ID:lwUWxol4o
「・・・・・・それは」
「言いづらいなら僕が聞くよ。君は池山君に過度に依存することから卒業しようとしたそ
うだけど、お兄さんに彼女ができるのは許せるわけ?」
214:名無しNIPPER[saga]
2016/05/01(日) 23:08:49.92 ID:lwUWxol4o
「明日また部室で話そう。その時にいろいろ教えるから」
それでも麻衣と親しくなりたいという欲望、僕の中学時代の一番大切な思い出が、自分
の胸の中心にいた優自身によって汚されたという想い、そしてそれを確認したいという欲
215:名無しNIPPER[sage]
2016/05/01(日) 23:09:53.66 ID:lwUWxol4o
今日は以上です
また投下します
216:名無しNIPPER[sage]
2016/05/02(月) 21:07:31.42 ID:x/FVRnVUO
おつ
217:名無しNIPPER[saga]
2016/05/04(水) 21:07:45.21 ID:mt1lqNZYo
帰宅して風呂に入り食事を終えた僕は、自室のPCの前に陣取る前に、麻衣から転送し
てもらった優のメールをスマホからPCに転送した。
今日はいつも習慣になっている授業の予習や受験に向けた対策は諦めるつもりだった。
218:名無しNIPPER[saga]
2016/05/04(水) 21:08:21.48 ID:mt1lqNZYo
僕はスレを追っていくごとに次第に重苦しい気分に包まれていった。中学時代の優はク
ラスで浮いているわけではなかったけど、それは彼女自身の、人の話を聞き、人の相談
に乗るという努力に立脚して得た立場に過ぎなかった。だから、僕と知り合った優は、優が
密かに持て余していた、人に認められたい、人に関心を持ってもらいたい、人に話を聞い
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