53: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/24(月) 01:06:02.97 ID:5+QeUg+W0
「……それにアンタの顔、どこかで見たことあるから、思い出しておこうかなって」
気のせいだよ、と返した私の目は、きっと泳いでいたに違いない。
私には覚えがないけど、あのフォーゲルヴァイデ家の出身である以上、
54: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/24(月) 01:16:30.98 ID:5+QeUg+W0
また、その後日には、"ブラッド"によるユノの護衛任務を兼ねて、"サテライト拠点"を訪問した。
"サテライト拠点"は、外部居住区外での建設が計画されているミニアーコロジーの総称であり、
"クレイドル"と呼ばれる、極東支部の独立支援部隊がその計画を主導している。
私達が訪れた場所もその一つだけど、ここには既に生活居住区が存在しており、
55: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/24(月) 01:18:03.47 ID:5+QeUg+W0
もちろん、ジュリウスがすぐにどうにかできる問題ではない。
しかし、こうした八つ当たりを受けても仕方のない立ち位置にいるのが"ブラッド"であり、フライアだ。
そんな私達でさえ好意的に見てくれる人達はここ"サテライト拠点"にもいるけど、
当然、心の底では割り切れない部分があるだろう。
56: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/24(月) 01:21:49.23 ID:5+QeUg+W0
◇
"サテライト拠点"での一件の後、ジュリウスが本当にどうにかし始めた。
"黒蛛病"患者の極東支部への収容、専用病院の設立に、"サテライト拠点"への追加支援、設備の強化等々……
様々な案件を極東支部、フライア、本部の各方面に打診し、既に最初の一件は本部の承認を受け、実現している。
57: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/24(月) 01:24:06.37 ID:5+QeUg+W0
ノブレス・オブリージュ……"富める者は、人類の未来に奉仕する義務を負う"。
ジュリウスは裕福な家庭で産まれ、幼少期に両親を亡くした後、ラケル博士によって引き取られたのだという。
そこでも"ブラッド"に通ずる選りすぐりのエリートとして育てられた半生から、彼は特にその意識が強いのだろう。
私には耳の痛い話だけど、反対する理由もなかった。
58: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/24(月) 01:28:47.90 ID:5+QeUg+W0
私用の関係でしばらく音沙汰なくてすいませんでした
相変わらずの牛歩ペースだけどなんとか完結まではもっていきます
本筋に関係ない要素は出来るだけ削ぎ落とすつもりだったけどエリナちゃんには勝てなかったよ……
59:名無しNIPPER[sage]
2015/08/25(火) 06:08:30.09 ID:8HMsGDExO
乙
エリナちゃん可愛いからねしかたないね
60: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/26(水) 01:14:31.77 ID:SNn8TeIE0
◇
資料よし、概要把握よし、シエルとのコンタクトよし。緊張状態は……追々。
ジュリウスは本部との通信会議のためフライアへ、ギルはハルさんと共に討伐任務へ、それぞれ出向中だ。
今回の隊長代理としての仕事は簡単な近況報告だし、もうへまはしない。
61: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/26(水) 01:18:35.19 ID:SNn8TeIE0
◇
ジュリウスとギルが帰ってきた後、ナナは不調の原因の解明のため、入れ替わりでラケル博士のいるフライアへと向かった。
ラケル博士には神経学者かつ、"マグノリア=コンパス"の長として、これまでにもナナを診てきた経験があるそうだ。
私はジュリウスに事の一部始終を改めて報告し、彼がナナについて知っていることを話してもらった。
62: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/26(水) 01:22:04.07 ID:SNn8TeIE0
……失礼な話だけど、今まで診療とか薬とかとは無縁そうな振る舞いをしていたナナだけに、少し意外な成り立ちだった。
語り終えたジュリウスもそれに同調しつつ、すぐに真顔に戻った。
「とにかく、ナナの任務行動については調整を打診しよう」
63: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/26(水) 01:29:41.29 ID:SNn8TeIE0
◇
極東支部より東に位置する、雪の降り積もった廃寺地区。
嘗て隠れ里であった一帯の生態系はアラガミによって悉く破壊され、夜空には皮肉にも、流麗なオーロラ領域が形成されている。
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