53: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/24(月) 01:06:02.97 ID:5+QeUg+W0
「……それにアンタの顔、どこかで見たことあるから、思い出しておこうかなって」
気のせいだよ、と返した私の目は、きっと泳いでいたに違いない。
私には覚えがないけど、あのフォーゲルヴァイデ家の出身である以上、
父の付添で行った会合の何れかで顔を合わせている可能性は十分にある。
出生を知れば即刻故郷に送り返す、というような人達じゃないのは分かっているけど、
私個人の身勝手な感情として、周囲に素性が知れるのはできるだけ避けておきたかった。
ひとまずエリナの課題の確認として、難度の低い掃討任務に同行する。
私にものを教えられるほどの経験はないけど、筋は悪くないように思えた。
ただ、焦りのせいなのか、防御行動の類を殆ど取ろうとしないのは頂けない。
ふと、彼女の傾向を自分に当てはめ、あの赤いアラガミとの戦いをシミュレーションしてみる。
瞬く間に悪寒が走ったので、この課題については特に強く言い含めておいた。
エリナは相変わらず気難しい態度をとっているけど、満更でもなさそうだ。
こうして、新人による新人教育という、私達の奇妙な師弟関係が始まった。
534Res/441.23 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20