215:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[sage]
2016/01/12(火) 02:17:44.36 ID:v4LIsVbj0
乙、毎回楽しみにしてます
ナナと二人でラーヴァナ三体は嫌な思い出
216: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/01/15(金) 02:18:48.77 ID:8XG5BsF8o
◇
沈んでいく。
音も光もない中を、ただひたすらに。
217: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/01/15(金) 02:21:01.67 ID:8XG5BsF8o
……そう、ただ、それだけ。
今まで接してきた者達と比べるまでもなく、大した境遇じゃない。
でも、私にはそれだけの事が、とてつもなく大きくて。
過去の自分をいくら否定しても、生き方は変えられなかった。
218: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/01/15(金) 02:25:26.05 ID:8XG5BsF8o
◇
――目を覚ませば、そこはアナグラの病室だった。
周囲はカーテンに仕切られていて確認できないけど、以前にも見覚えがある。
起き上がり、着せ替えられた患者衣を肌蹴させてみれば、先の戦いでの傷や痣は痕すら残っていなかった。
219: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/01/19(火) 01:36:20.33 ID:Z5yxWWDco
「やあ、ちょうどいいところに。少し話がしたくてね」
支部長室に入ると、デスクにうず高く積まれた書類の山から、榊博士が顔を出した。
220: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/01/19(火) 01:38:11.58 ID:Z5yxWWDco
「……死傷者の方たち、は」
ここまで作業を進めながら会話に応じていた榊博士が、その手を止める。
椅子から立ち上がり、私の正面まで来ると、重々しく口を開いた。
221: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/01/19(火) 01:39:55.84 ID:Z5yxWWDco
「"感応現象"を応用した"血の力"は、神機使いの意思や感情を鍵としている……」
「君の"喚起"の"血の力"は特にその傾向が強いから、従来の"感応現象"にも影響を与えやすいのかもしれないね」
「それで、その後、何か変化は?」
222: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/01/19(火) 01:41:13.68 ID:Z5yxWWDco
「人間を捕喰の対象にした後も、まるで作業みたいに……」
「……だけど、段々、喰われる人々の反応に、楽しさを見出すようになっていくんです」
自然と、顔が俯く。
223: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/01/19(火) 01:43:21.69 ID:Z5yxWWDco
「隊長君」
肩を掴まれ、顔を上げる。
そこには、神妙な面持ちの榊博士の姿があった。
224: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/01/19(火) 01:46:15.20 ID:Z5yxWWDco
その後、博士が懐からもう一枚、全く同じ形状のカードを取り出したところで、何となく見当がついた。
「……携帯同士のカード交換が、神機使い同士の精神感応に相当する、と?」
225: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/01/19(火) 01:47:40.87 ID:Z5yxWWDco
「それが原因で制限が外れて、読み取れるはずのなかった情報まで取得できるようになった……ということですね」
「2日前には傷を完治させていた君が目覚めなかったのも、突発的な変化による負荷が大きかったからだろう」
「……数値上は問題ないようだし、今の君なら大丈夫だと思うけど、なるべく気をつけてくれ」
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