216: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/01/15(金) 02:18:48.77 ID:8XG5BsF8o
◇
沈んでいく。
音も光もない中を、ただひたすらに。
もがけば這い上がれるのかもしれないけど、そんな気は起きなかった。
私は、恵まれた環境の中で育った。
家や食事に、服も、教育も。
学校と付添以外はずっと閉じ込められていたけど、生活は不自由しなかった。
人々のために手を尽くそうとする父は、私の誇りだった。
緑がかった金髪は、顔も知らない母との大切なつながりだった。
だけど、いつからか、父は私の呼びかけに応えなくなっていて。
いくら学校で努力しようが、何を為そうが、彼は無感動だった。
それどころか、母とのつながりを疎まれた事さえあった。
父と母の間に、何があったかは知らない。
ともかく私は構ってもらえないのが、見てもらえないのが辛くて、必死に彼の要求に応えようとした時期もあった。
でも、無駄だった。
父は私に押しつけるだけ押しつけて、後は関与しようともしない。
かといって有用な成果を上げなければ、早々に切り捨てられるかもしれない。
私が訴えられる価値は、彼にとって出来て当然のことを為し続ける、ただそれだけだった。
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