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P「あいつらに会いたい」
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172 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/23(金) 12:56:52.61 ID:vTqC38JC0
楓「心ここにあらず」
アナスタシア「心……アラズ?」
幸子「どうしたんですか、急に。また新しい駄洒落でも?」
楓「プロデューサー、最近物思いに耽ることが多いと思って」
愛梨「あ、それ、私も思いました。この前、私が目の前で着替えてたのに、
プロデューサーさん、ずっとこっちを見てるだけで」
卯月「み、見てる、だけ……? ///」
未央「そっか、プロデューサーも男の子だもんね。
とときんの生着替えを目前にしてついに自制心が……」
アナスタシア「なるほど、それが『心アラズ』なんですね。
プロデューサー、エッチです……」
莉嘉「Pくんのエッチー!」
杏「違うっつの。プロデューサーの目には入ってなかったってことでしょ」
愛梨「うん、いつもみたいに注意されなかったんだよね。
なんだか私が着替えてることに気づいてないみたいだった。
ちょっと心配かも」
173 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/23(金) 13:00:54.98 ID:vTqC38JC0
まゆ「実はまゆも気になっていました」
幸子「うわっ!!」
楓「あら、まゆちゃん」
まゆ「ごめんなさい幸子ちゃん、驚かせてしまったかしら」
幸子「い、いえ……、ボクは別に驚いてなんか……」ドキドキ
未央「さっちー、裾引っ張らないで。伸びる伸びる」
まゆ「だからまゆ、直接プロデューサーさんに訊ねてみたんです。そしたら――」
P『ありがとな、まゆ。いつも俺のことを気にかけてくれて』
まゆ「――と、優しく語りかけてくれるプロデューサーさんの
慈しむような眼差しにまゆはもう……!」
杏「なんだ、ただの惚気か」
まゆ「いえ、この後続きがありまして――」
P『だがもう少し待ってくれないか。もう少し、一人で考えたいんだ。
これは俺が自分で決めないといけないことだから……』
まゆ「――いえる時がきたら必ずみんなにはいうと、そう仰っていました」
愛梨「自分で決めないといけない……」
楓「十中八九、記憶障害のことでしょうね」
174 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/23(金) 13:02:43.14 ID:vTqC38JC0
幸子「まさか、記憶を取り戻すのを諦めるとか、そういうことじゃないですよね?」
一同「…………」
幸子「どうして誰も否定してくれないんですか!」
未央「ご、ごめん。そうじゃないって思いたいけど……」
幸子「そうだ! 今度みなさんで一緒に
プロデューサーさんと思い出巡りしてみませんか?」
幸子「ボクたちプロデューサーさんとは数え切れない思い出があるんだし、
一つ一つ巡って記憶が戻るか確かめてみましょうよ!
さすがはボク! ナイスアイディア!」
杏「残念だけどそれ、バッドアイディア」
幸子「へ? どうしてですか」
杏「すでに杏が同じ話を持ちかけて断られてるから」
幸子「え……」
杏「シークレットライブが終わったら連休くれるっていうから、
その時になったら一緒にどうかって誘ってみたんだけど」
アナスタシア「ダーティシトー! 驚きです!
まさかあの杏がプロデューサーのためとはいえ、
自分の休みを減らしてまで協力しようとは……」
まゆ「明日は槍が降るかしら」
楓「いえ、杏ちゃんならきっと“飴”が降るわね」
杏「なんでみんなして未央と同じ反応するんだよ! そんなに意外か!?」
175 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/23(金) 13:03:55.91 ID:vTqC38JC0
莉嘉「やっぱPくん、
うちに来てなにも思い出せなかったのがショックだったのかなぁ」
未央・卯月(げっ……)
楓・アナスタシア・幸子・愛梨・まゆ「…………」
楓・アナスタシア・幸子・愛梨・まゆ「うちに来て?」
まゆ「莉嘉ちゃん、どういうことかしら。
プロデューサーさん、莉嘉ちゃんのご実家へ行かれたことが?」
莉嘉「んーん、来たのは寮の方」
愛梨「あれ、でも確かうちの寮って男子禁制じゃなかったっけ。
男性スタッフは別だとか?」
楓「いえ、そんな例外はないはず」
アナスタシア「莉嘉、どういうことか説明してくれますか」
未央「あー、待って、それは私たちから――」
……
…
176 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/23(金) 13:07:01.13 ID:vTqC38JC0
楓「――なるほど、そんなことが」
幸子「まったく、油断も隙もありませんね、城ヶ崎姉妹は。
どうしてそんな大事なことを今まで黙っていたんですか」
アナスタシア「美嘉をかばったんですね」ムスッ
未央「あはは、まあ、その……、
すでにしぶりんから散々絞られた後だったし、
これ以上責められるのも酷かなって」
未央「現に今の話を聞いてまゆちゃん飛び出して行ったし……。
しぶりんに続いてまゆちゃんだよ? 美嘉ねえ搾りかすになっちゃうよ……」
アナスタシア「それは美嘉の自業自得です。
私だって美嘉に一言いわせてほしいくらいなんですから。
莉嘉も、寮の規則はきちんと守らないといけません」
莉嘉「ゴメンなさい……」シュン
杏(珍しくアーニャが怒ってる……)
愛梨「やっぱりプロデューサーさん、記憶取り戻すの諦めっちゃったのかな……」
幸子「そう決めつけるのは早計だと思います!
日をあらためてもう一度誘ってみましょうよ。
もしかしたらなにか都合があって断られたのかもしれませんし」
杏「どうかな。結局もっともらしい理由つけて断られるのが落ちな気がする。
少なくとも思い出巡りに乗り気じゃないのは確かなんじゃないかな」
楓「杏ちゃんのいう、
『莉嘉ちゃんたちの部屋を訪れた本当の理由』も気になるわね。
話を聞く限り、プロデューサーが探しているものは、
そもそも記憶ではない可能性も出てきたみたいだし」
莉嘉「記憶じゃないなら、なにを探してるの?」
杏(……)
楓「いえ、憶測で語るのはやめましょう、きりがないわ。
『必ずいう』とプロデューサーがいっていたのなら、
その言葉を待ちましょう」
楓「それより、こうなってくると別の問題も出てくるわね」
未央「別って?」
楓「これこそ憶測で語りたくはないけれど、
もしプロデューサーが本当に記憶を諦めるとしたら、
それを私たちは受け入れることができるかしら」
愛梨「それは……」
楓「気持ちの整理をつけなければいけないのは、プロデューサーだけじゃないわ」
卯月(……)
177 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/23(金) 13:08:46.89 ID:vTqC38JC0
凛「プロデューサー、志希見なかった」
P「いや、見てないけど……、その花束は?」
凛「志希に渡す約束してて」
P「志希に?」
凛「志希が香水作ってるのは知ってるでしょ。その実験材料にって」
P「ああ……、でもどうして凛が花を?」
美嘉「凛の実家、花屋」
P「花屋? 凛が?」
凛「今、似合わないって思ったでしょ」
P「そんなことないよ。よく似合ってる」
凛「……//」
P「けど、これだけきれいに咲いているのに、
実験材料にされるのもなんだかもったいない気がするな」
凛「は、花が完全に開ききってるのは売れないから処分するしかなくて、
それなら香水作りに役立ててもらった方がこっちも助かるっていうか……」ゴニョゴニョ
P「なるほど、お互いに得ってわけか。
もしかしたらまだ事務所には来てないのかもしれないな。
電話してみたらどうだ」
凛「さっきした。音信不通」
蘭子「ふむ、おそらく彼の錬金術師は真理を求め、
虚空の狭間へといざなわれたのかもしれない」
P「……つまり?」
美嘉「失踪したってこと」
P「失踪?」
美嘉「たまに誰にもなにもいわず、ふらっと消えるんだよ。
行き先聞いても適当に濁して教えてくれないし、
ま、いつものこと」
P「教えてくれない……」
178 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/23(金) 13:10:08.70 ID:vTqC38JC0
まゆ「あら、こんなところにいらしたのね、美嘉ちゃん。探したわぁ」
美嘉「ああ、まゆちゃん、お疲れ。アタシになにか用事……で、も……」
まゆ「ええ、とぉっても大事なお話があるの。二人きりで」
美嘉「え、ちょっと、なんなのその意味深な笑顔は? アタシなんかした?」
まゆ「うふ、ご自分の胸に聞かれてみては? 美嘉ちゃんお借りしても?」
凛・蘭子・P「どうぞ……」
美嘉「え、え、なに、ホントなんなの!?
待って、今考えるから! 考えるから! ねぇ、ねぇったら!」
ズルズル…… ガチャッ バタン――
蘭子「まゆちゃん、目が笑ってなかった……」
P「……凛、その花束、俺が預かるよ。
俺も志希には用事があるし、ついでに渡しておくよ」
凛「別にいいけど……、行き先わかるの?」
P「いや、まあその……、とにかく色々あたってみるよ。
偶然会えるかもしれないし」
凛「……わかった、お願い」
………
……
…
179 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/23(金) 13:11:13.66 ID:vTqC38JC0
ガラガラガラ ガシャン……
P「志希? 志希いるか」
P「……ん」
志希「zzz」
P「……」
P「志希、おい、志希、こんなところで寝てたら風邪ひくぞ」ユサユサ
志希「ん……」
志希「……あれ、なんでキミがここにいるの。てゆーか、どーやって入った?」
P「お前なあ、この前ここのスペアキー、俺に渡したろ」
志希「あぁ、そーだったぁ、そーだったぁ……」モゾモゾ
志希「……」
P「志希?」
志希「…………すぅ……」
P「お前は杏か」
180 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/23(金) 13:12:30.80 ID:vTqC38JC0
P「ほら、コーヒー」
志希「ふわぁ、サンクス……」ムニャムニャ
P「徹夜か」
志希「まーね。調合してたら寝落ちってよくあるパターン。
でもキミにここのスペアキー渡しておいて正解。
これからはキミが起こしに来てくれるから安心して寝坊できるね。
これ、依存性の兆候」
P「そういうことならこのスペアキーは返すぞ」
志希「あー、ウソウソ、ちゃんと自分で起きるよぉ。……タブン」
P「はぁ……。それよりその格好、微妙に目の毒だから着替えてくれないか」
志希「ん、別に見たいなら見てもいいけど。
大丈夫、訴えたりしないよ? そーゆーの面倒だし」
P「愛梨もそうだが、志希はもう少し男への警戒心を持った方がいい」
志希「無防備な姿をさらすのは愛梨ちゃんもあたしもキミの前だけだよ。
この意味わかるでしょ?」
P「信頼してくれるのは嬉しいが……」
志希「ちなみにここは10歳くらいからふっくらと……、キョーミない?」
P「……いいから着替える」
181 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/23(金) 13:13:44.60 ID:vTqC38JC0
志希「――で、その花束はなに? あたしへのプレゼント?」
P「ああ、これは――」
志希「もしかしてあたしにプロポーズ?
にゃふふぅっ! キミもケッコー古風なんだね、嫌いじゃないよ?
いいでしょー、謹んでお受けしま――」
P「凛からのプロポーズだよ、ほら」ポフッ
志希「おわっと。……あー、そっかー。今日もらう約束してたんだった。
そーだったー、そーだったー。あとでお礼いっとかなきゃ」
P「俺からのプレゼントはこっち」
志希「なにこれ、台本?」
P「おめでとう、志希。この前の舞台のオーディション、
志希のやりたがってた役に決まったぞ」
志希「ほんとに? 嬉しいっ!」
P「“百年牢に閉ざされた聖女”か。
よくもこんな難しそうな役に挑戦しようと思ったな」
志希「……まーね」パラパラ
志希「きっとこの人、牢から出てさぞビックリしただろうね。
町並みは変わってるし、誰も知らないし」
志希「どんな、気持ちなのかな……」
P「……」
182 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/23(金) 13:16:37.48 ID:vTqC38JC0
――バンッ!
未央「うわっ、ビックリしたぁ……って、ゲッ! 美嘉ねえ……」
美嘉(誰よ! まゆちゃんに寮のこと話したのは! 超怖かったんだから!)
未央(ええっと、それはその……)
莉嘉(ゴメンなさい、お姉ちゃん……)
美嘉(莉嘉、またアンタか! あれだけ誰にもいうなっていったじゃない!)
アナスタシア「美嘉、なにをコソコソと話しているんです。内緒話ですか」
美嘉「へっ? べっ、別に? なんでもないですけど?」
アナスタシア「プロデューサーが美嘉たちの部屋に行ったことなら、
もうみんな知っていますよ」
美嘉「なっ!」
幸子「その様子だとまゆさんにだいぶ絞られたようですね」
美嘉「〜〜っ! もぉっ! なんなのよ!
どうしてアタシばかりこんなに責められなきゃいけないわけ!?
アタシそんな悪いことした!?」
幸子「したでしょ」
アナスタシア「しましたね」
美嘉「だってプロデューサーと二人きりだったわけじゃないんだよ!?
やましいことなんかなにもしてないのに!
かなり健全なお付き合いだったのにぃ!」
幸子「いや、プロデューサーさんを部屋に入れた時点ですでにやましいですから」
アナスタシア「抜け駆けした罰です」
美嘉「抜け駆けって……、じゃぁ訊きますけど?
二人は人にはいえない、プロデューサーとの思い出がないってわけ?」
幸子「……」サッ
アナスタシア「ヤ、ヤーニェズナーユ……」
美嘉「あーっ! 顔逸らした! ロシア語で誤魔化した!
二人だってやっぱあるんじゃない!」
莉嘉「ハイハイ! アタシもある! Pくんと二人だけの思い出! たっくさん!」
杏「莉嘉ちゃん、ノリノリで自己申告しなくていいから。ややこしくなるから」
未央「……私もある。プロデューサーと二人だけの思い出」
杏「ちょっと未央まで……」
未央「けどさ、諦めちゃったらそれは私一人だけの思い出になるってことだよね?」
未央「だってそうでしょ?
どんなに大切な思い出でもプロデューサーは永遠に思い出せないまま。
二度と過去の共有ができない……」
杏「……」
美嘉「……なに、なんの話、諦めるって」
……
…
183 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/23(金) 13:18:28.93 ID:vTqC38JC0
美嘉「――プロデューサーの様子が変なのはアタシも気にはしてたけど……」
美嘉「……凛はこのこと知ってるの」
未央「知らない……、と思う」
美嘉「じゃあ、凛にはこのまま黙っておくこと。来週にはシークレットライブがあるんだし」
美嘉「あの子、ああ見えて脆いところあるし、
プロデューサーのことに関しては殊更敏感なんだから、
教えるにしても終わってからじゃないと……」
美嘉「それにアンタたちも、プロデューサーが記憶を諦めるって
まだ決まったわけじゃないんだからあまり深刻に考えない。
そんな暗い顔してたら凛に悟られる」
美嘉「未央、アンタは一番のムードメーカーなんだから、
こういう時こそ明るく振る舞ってみんなを元気づけなさいよ。
アンタから明るさ取ったらなにが残るわけ」
未央「私から明るさを取ったら……」ハッ!
未央「クール・ビューティー・未央ちゃんの完成……?」
杏「ないわー」
卯月「……」
幸子「あの、卯月さん」
卯月「……え」
幸子「大丈夫ですか。さっきからずっと黙り込んでいますけど」
アナスタシア「卯月も『心アラズ』ですか」
卯月「えっと、あの、その、なんでもないです、なんでも……」
杏(……?)
卯月「そうだ、私、お仕事があるのでそろそろ行きますね」
ガチャッ バタン……
杏「……どーしたの、卯月ちゃん」
幸子「さぁ……」
アナスタシア「あれは『なんでもある』時の『なんでもない』ですね」
184 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/23(金) 13:22:15.33 ID:vTqC38JC0
卯月「……」ツカツカ
楓『もしプロデューサーが本当に記憶を諦めるとしたら、
それを私たちは受け入れることができるかしら』
未央『どんなに大切な思い出でもプロデューサーは永遠に思い出せないまま、
二度と過去の共有ができない……』
卯月「私って薄情なのかな……」
P「誰が薄情だって?」
卯月「ひゃあっ!」ビクッ
卯月「……あ、プロデューサーさん」
P「悪い、そんなに驚かれるとは思わなかった。
卯月はこれからデレラジの収録だったか」
卯月「あ、はい。実は今日のパーソナリティ、私一人なんです。
一人の収録って初めてだから少し緊張しちゃって……、えへへ」
P「そっか。それじゃあ、卯月の緊張がほぐれるよう、これをあげよう」スッ
卯月「……飴ですか」
P「実は杏のために買ってきたんだ。杏、飴が好物だって聞いたから、
それなら飴を出しに仕事のモチベーション向上を図ってみようかと」
卯月(あ……)
P「さすがに食べ物につられる年齢じゃないのはわかってるけど、物は試しで」
卯月「それ、前のプロデューサーさんも同じことをしていました。
駄々をこねる杏ちゃんに飴と引き換えにしてよく交渉を……」
P「そ、そっか。まあ、同じ人間だしな。考えることも一緒か、はは」
卯月「口には出さないけど、杏ちゃん、その一連の流れが好きだったみたいです。
今はそれがなくて少し寂しそうで。だからきっと喜んでくれると思います」
卯月「……けど、やっぱり寂しくなると思います」
P「どうして?」
卯月「プロデューサーさんが、思い出したわけじゃないから」
P「……」
卯月「……あ、ご、ごめんなさい! 私、なんてことを……」
P「いや……、きっとそのとおりだ」
卯月「……」
185 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/23(金) 13:22:58.30 ID:vTqC38JC0
P・卯月「あのさ」「あの!」
P・卯月「あ……」
P・卯月「どうぞ……」
P・卯月「……」
P・卯月「あはは……」
P・卯月「……」
P「俺の記憶が戻らないっていったらどうする」
卯月「プロデューサーさん、記憶、諦めるんですか」
P・卯月「……」
……
…
186 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/23(金) 13:25:57.08 ID:vTqC38JC0
P「……そっか、みんな不安がってるか」
卯月「……」
P「本当は凛のシークレットライブが終わったら
話そうと思っていたんだが、そうもいかないか」
卯月「じゃあ……」
P「そうだな、結果的に俺は記憶を諦めることになる」
卯月「……!」
P「この前の定期検査で医師にいわれたよ。
ここまで月日が経って記憶が戻らないとなると
もはや戻る可能性はないだろうって。
おそらく俺の記憶は一生このままだろうって」
卯月「……」
P「すまなかったな。
今まで色々協力してくれたのにこんな結果になってしまって。
みんなにはまた辛い思いを……」
卯月「あ、あの、私たちのプロデュース、やめたりしないですよね……?」
P「……正直、怖い」
卯月「怖い?」
P「もう、みんなが望む前の俺には戻れない。
だけど俺はこれからもこの飴のように、
記憶が変わる前の俺がしたことと同じことを繰り返すだろう。
なまじ記憶が違うだけの同じ人間だしな」
P「その都度みんなには寂しい思いをさせることになる。
きっと今までだって何度もあったんだろ」
P「俺がそばにいるだけでみんなを苦しめる……。
そんな俺を、みんなは受け入れてくれると思うか」
卯月「……」
187 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/23(金) 13:27:55.28 ID:vTqC38JC0
卯月「正直にいうと、私はそんなにショックじゃないんです」
P「え……」
卯月「自分でも不思議なんです。
私にも前のプロデューサーさんとの思い出は沢山あります。
どれもかけがえのない大切な私の記憶です」
卯月「今思い出しても心が温かくなって元気が出てくるような……。
プロデューサーさんにとってもそんな記憶だったらいいなって、
えへへ……」
凛『私にとってかけがえのない大切な記憶だから、
プロデューサーにとってもそうだったらいいなって』
P「……」
卯月「でも、もしプロデューサーさんが記憶を諦めるとしたら、
私はそれをすんなりと受け入れられる気がしたんです」
卯月「……実際、そのとおりでした」
P「だからさっき、自分が薄情だって……」
卯月「……」コクッ
卯月「寂しいと感じたこともそんなにないから、
余計にみんなとの温度差を感じちゃって……」
卯月「だからみんなが私みたいに受け入れられるかどうかはわかりません。
だけど一つだけ、確かなことがあります」
卯月「私もみんなも、プロデューサーさんと絶対に離れたくはないです」
卯月「それだけは、確かです」
P「……」
P「少し、話し込んでしまったな。そろそろ切り上げよう、ラジオに遅れる」スッ
卯月「あっ……」
P「卯月、このことは俺から話すまでみんなには黙っていてくれるか」
卯月「は、はい」
P「……卯月は薄情なんかじゃないよ。薄情な人間はそんな風に思い悩んだりしない」
P「優しい子だよ、卯月は」
卯月「プロデューサーさん……」
P「あ、もしかして卯月だったか。俺と千川さんの話を聞いていたのは」
卯月「話? なんの話ですか」
P「いや……、知らないならいいんだ」
P(……)
…………………
………………
…………
……
188 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/23(金) 13:29:17.87 ID:vTqC38JC0
つ
づ
き
は
よ
る
で
す
189 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/23(金) 14:57:19.87 ID:oTE6wCjDO
しまむぅ〜 ナデナデ
190 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/23(金) 19:40:49.19 ID:RFnWBlsF0
トレーナー「――オッケー、いいでしょう。
みんな、この短期間でよくここまで形にできた。
さすがは第一線で活躍するアイドルたちといったところかしら」
幸子「フフン! 当然ですよ、ボクにかかればこのくらい」
美嘉「ま、半端な出来じゃ自分が許せないし」
トレーナー「ふふ、そうね。
本会場でゲネプロができなかったのは悔やまれるけど、
その分、明日の最終リハできっちり詰めていきましょう」
凛「……あの、私からも」スッ
凛「みんな、あらためて本当にありがとう。
私のわがままにここまで真摯に付き合ってくれて」
未央「しぶりん、礼をいうのはまだ早いんじゃないの。本番は明日なんだから」
アナスタシア「そうですね。感謝の言葉は全てが終わってからまた聞かせてください」
楓「雑炊は締めにあるから美味しいのよ」
美嘉「なんの話……」
凛「うん、明日はよろしくお願いします」ペコ
トレーナー「それじゃあ、今日はここまで。
みんな、お疲れさま。明日は頑張ってね」
一同「ありがとうございました!」
………
……
…
191 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/23(金) 19:42:22.50 ID:RFnWBlsF0
――ガチャッ
凛「お疲れさまです」
ちひろ「あら、凛ちゃん、お疲れさま」
凛「ちひろさん、プロデューサーはまだいる?」
ちひろ「プロデューサーさんなら……」
P「……」スースー
凛(寝てる……)
ちひろ「もう少ししたら先行してアリーナへ向かうから、
今のうちに寝てもらっているの。
現地に着けば明日が終わるまで寝れないでしょうし」
ちひろ「もしかしてプロデューサーさんに用事でもあった?」
凛「ううん、なんとなく顔が見たかっただけ」
凛「……無理、させちゃってるよね」
ちひろ「明日のライブを成功させるためだもの、多少の無理も今は仕方ないわ。
みんなの仕上がりはどう?」
凛「バッチリ。みんなのおかげで最高のステージになりそう」
ちひろ「そう、よかったわね」
凛「明日のステージ観たらさ、プロデューサー、思い出してくれるかな」
ちひろ「……今日はもう帰った方がいいわ。明日に備えて早めに身体を休めないと」
凛「うん、でももう少しだけここにいてもいい? もう少しだけ、ここに……」
P「……」スースー
…………………
………………
…………
……
192 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/23(金) 19:43:55.76 ID:RFnWBlsF0
未央「アリーナよ、私は帰ってきた!」
莉嘉「きたーっ!」
蘭子「今宵、灰かぶりの娘は蒼穹の歌姫に生まれ変わるのだ!」
志希「のだーっ!」
美嘉「アンタらうっさい。
なんで主役の凛よりアンタたちの方がはしゃいでんのよ」
未央「いやぁ、だって、こんなにも早くアリーナに戻ってこれるとは
思ってもみなかったから、もう嬉しくて嬉しくて」
志希「アドレナリンが過剰分泌しますな!」
莉嘉「しますな!」
愛梨「なんだか思い出すなぁ。一人でここに立ったのが懐かしい」
蘭子「あの日のことを忘れたことはないわ……」フッ
未央「お、初代・二代目シンデレラガールが語る!
どうでしたか、一人で立つアリーナのステージは?」
蘭子「ククク、緊張しすぎて吐きそうだった」
未央「……」ガクッ
愛梨「私も。人生の中で一番緊張したかも。
でもここから見る景色は本当に最高だった。きっと一生忘れない」
幸子「……そっか。
シンデレラガールになれば、この景色全部ひとり占めにできるんだ……」
「…………」
美嘉「俄然、ヤル気が出てきわね。次のシンデレラガールの座に就くのはアタ――」
未央「私だーっ!!」
莉嘉「アタシだーっ!!」
志希「志希ちゃんだーっ!!」
幸子「ボクだーっ!!」
美嘉「……ア、アタシだー……」
まゆ「なにを叫ばれているんです」
愛梨「えーと……」
蘭子「栄光を掴む魂の咆哮!」
まゆ「……?」
………
……
…
193 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/23(金) 19:45:35.16 ID:RFnWBlsF0
凛『渋谷凛です、今日はよろしくお願いします』
『よろしくお願いしまーす。ではマイクテスト始めまーす』
P「……」
――ツンツン
P「……?」クルッ
楓「お疲れサマー……」
P「お、お疲れさまぁ……」
194 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/23(金) 19:46:48.17 ID:RFnWBlsF0
楓「これ、差し入れです」
P「ああ、ありがとうございます。
『エナドリ』……、栄養ドリンクですか」
楓「うちの事務所が製薬会社とコラボして作った栄養ドリンクです。
なぜかちひろさんが監修されているみたいです」
P「へえ、千川さんが」
楓「一度飲んだら“やめられない、とめられない”と評判なんですよ」
P「それは……、栄養ドリンクとしてどうなんですか」
楓「栄養は取れてるみたいだからえーよー」
P「……」
楓「ふふ、私、プロデューサーのその
どう反応したらいいかわからない表情を見るのが好きなんですよね」
楓「でももっと好きな表情があるんです。なんだと思います?」
P「……さあ」
楓「それは――」
――ニュッ
P「うぇっ?」
凛『――アー、アー、チェック・ワン・ツー……』
『はい、オッケーでーす。では歌お願いしまーす』
楓「プロデューサーの笑顔です」
P「……」
195 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/23(金) 19:47:55.76 ID:RFnWBlsF0
楓「いけない、いけない。“笑顔”は卯月ちゃんの専売特許でしたね」
楓「……私、凛ちゃんには感謝しているんです。
今日のシークレットライブに出演させてくれて」
P「どうしてですか」
楓「今日の主役は凛ちゃんで私たちはあくまでサポートする立場ですが、
アイドルとしての本分がなくなったわけではありません」
楓「アイドルとは人々に希望や勇気を与え、笑顔にさせることができる存在であり、
それこそが全うすべきアイドルの本分である、と私は考えています。
誰かさんの受け売りですけど」
楓「今日でいえば私が凛ちゃんをサポートすることで
会場に来てくださったお客さんたちを笑顔にすることができれば、
私はアイドルとしての本分を全うすることができたというわけです」
楓「ですが今日、笑顔にすべきはお客さんだけではあらず」
楓「プロデューサー、あなたもです」
P「……」
196 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/23(金) 19:49:18.75 ID:RFnWBlsF0
楓「私、プロデューサーが記憶障害に陥ってから今日まで、
プロデューサーの心からの笑顔って久しく見ていないんです」
楓「プロデューサーの心情を察すればそれは当然のことだと思います。
未だ記憶の回復の兆しもない現状では、
心から笑うことなんてできないですよね」
楓「だけど今夜の私たちは魔法使いです。魔法使いならば
プロデューサーを魔法にかけ、笑顔にすることもできるはず」
楓「今夜くらい、全てを忘れ、夢のようなひと時を……」
P「……楓さん」
楓「悔しいですが、私一人の力では
今のプロデューサーを笑顔にすることはできないみたいです」
楓「ですが一人では無理でも、私たち13人の力を合わせればきっと……。
凛ちゃんもそう思ったから私たちに出演を依頼したのではないでしょうか」
楓「それに最も身近にいる人を笑顔にできないでアイドルとは名乗れませんからね。
私のプライドにかけて、プロデューサーを心からの笑顔にしてみせます」
P「……ありがとうございます、期待しています」
楓「はい、期待していてください。
それにしてもプロデューサーの頬触っちゃった。
みんなに自慢しちゃおっと」
P「え、それ自慢になるんですか」
………
……
…
197 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/23(金) 19:50:23.86 ID:RFnWBlsF0
幸子「あ、プロデューサーさん!
ズルいじゃないですか、楓さんに頬を触らせて!
ボクにも触らせてくだいさいよ!」
未央「そーだ、そーだー! 不公平だー! 私にも触らせろーっ!」
莉嘉「アタシも触りたーい!」
志希「唇で触らせろー」
杏「人、それをキスという」
まゆ「志希さん? どさくさに紛れてなにをいっているのかしら?」
P(本当に自慢になってる……)
P「なんていうか、みんな、いつも通りだな。緊張してないのか」
美嘉「もちろんしてる。でもいい緊張感だよ」
アナスタシア「そうですね。適度な緊張感は実力を引き出すために必要ですから」
P「頼もしいな」
愛梨「でも凛ちゃんは違うと思います。きっと――」
蘭子「彼の魂は今、瘴気にあてられ、渦巻く混沌の闇を彷徨っている……」
P「……つまり、極度の緊張状態にいる、という解釈であっているか?」
愛梨「あってます」
蘭子「さあ、行くがよい。彼の魂を救済せよ。導きの矢を放て。
さすれば闇に一筋の流星が降り注ぎ、光の道が開かれるだろう……!」
P「……つまり、俺に凛の緊張を和らげろ、という解釈であっているか?」
愛梨「あってます」
P「わかった。じゃあ、行ってくるよ」
198 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/23(金) 19:51:22.44 ID:RFnWBlsF0
P「凛、入るぞ」コンコン
ガチャッ――
P「……ん」
卯月「お疲れさまです、プロデューサーさん」
P「お疲れ、卯月もいたんだな」
卯月「はい。では私そろそろ戻りますね。凛ちゃん、また後で」
凛「うん、ありがと」
ガチャッ バタン
P「なにを話してたんだ」
凛「まぁ……、他愛のない話」
199 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/23(金) 19:52:30.82 ID:RFnWBlsF0
P「緊張してるか」
凛「まぁ、それなりに。なに、励ましにきてくれたの」
P「そのつもりだったけど、思ったより平気そうだな」
凛「伊達にライブをこなしてませんから。
それに今日はみんながいるし、それだけでも大分違う。
一人だったら……、きっと震えてた」
P「そっか、いい仲間を持ったな」
凛「うん……。
だからプロデューサーの励ましの言葉は必要ないかな。
なんか効かなそうだし」
P「そ、そっか……」
凛「ふふ」
凛「……」
P「どうした」
凛「ううん、なんでもない。プロデューサー、ありがとう」
凛「プロデューサーのおかげで無事今日を迎えることができた。
一時はどうなるか不安でいっぱいだったけど、万全を期してライブに臨める。
ちゃんと私の期待に応えてくれたよね」
P「それが俺の仕事だからな」
凛「今度は私が応える番……。
ねえ、プロデューサー、私のことちゃんと見ててね?
私、キラキラ輝いてみせるから」
P「ああ、もちろん。凛の輝く姿をこの目に焼き付けるよ」
凛「もう、忘れないでね」
………
……
…
200 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/23(金) 19:56:09.69 ID:RFnWBlsF0
P「――時間だ。みんな、準備はいいか」
莉嘉「オッケー☆」
愛梨「いつでも行けます」
幸子「むしろ待ちくたびれましたよ」
P「……」
P「魔法使い諸君、今夜はシンデレラをよろしく頼む。
みんなの魔法で最高のステージにしてあげてほしい」
楓「合点承知の助」
蘭子「今こそ我が魔翌力を解放し、『蒼の世界』を創造してみせようぞ!」
美嘉「あとはアタシたちに任せてプロデューサーは安心して見ててよ。
ばっちり凛をサポートしてくるからさ」
志希「凛デレラや、
零時で魔法が解けてしまうからそれまでには帰ってくるんじゃよ」
凛「いや、そんな長いことライブやんないし」
楓「さぁ、えんじ……凛グになりましょう、凛グに」
凛「円陣でいいから。わざわざいい直さなくていいから」
アハハ ゾロゾロ……
201 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/23(金) 19:56:56.45 ID:RFnWBlsF0
未央「しぶりんデレラ、掛け声の前になにかひと言」
凛「普通に呼んで、普通に」
凛「……みんな――」
愛梨「あ、そういえば凛ちゃん、シンデレラガールおめでとう」
凛「今さら!?」
愛梨「今度お祝いのケーキ焼いてくるね」
凛「え、あ、ありがとう……」
幸子「凛さん、余裕を見せてられるのも今のうちですよ!
すぐに追いついてやりますから!」
凛「な、なに急に」
未央「玉座に座ってられるのも今のうちってことよ!」
アナスタシア「そうです、せいぜい首を洗って待っていることです」
杏「アーニャ、それ意味わかっていってる?」
美嘉「ストップ。今はアンタたちの思いの丈を主張する場じゃないから。
凛、どうぞ」
凛「え、あ、うん」
202 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/23(金) 19:57:51.16 ID:RFnWBlsF0
凛「みんな、ケガにはくれぐれも気をつけて」
一同「……」
凛「……」
一同「……?」
凛「……あ、以上です」
一同「……」ガクッ
203 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/23(金) 19:58:43.34 ID:RFnWBlsF0
未央「しぶりんさぁ……」
凛「なに、大切なことでしょ」
未央「そりゃ大切だけど! 大切なことだけども!
もっとこう……! 私たちを鼓舞する言葉をさぁ!」
凛「鼓舞する必要ないくらい、もうみんな十分ヤル気じゃん」
美嘉「じゃあ、今日のライブにかける思いを語るとか」
凛「それ散々インタビューで答えたし」
未央「なんで!? なんでこれからって時にそんな冷めてんの!?」
凛「いいじゃん。今の私冷静ってことでしょ。
そういう未央こそもう少し落ち着きなよ」
未央「ぬわぁにぃっ!!?」
幸子「……なんていうか」
まゆ「締まらないわね」
卯月「あはは……」
204 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/23(金) 20:00:21.12 ID:RFnWBlsF0
楓「凛ちゃん、グダグダ筆頭の私がいうのもなんだけど、
こういう時はきちんと締めた方がいいと思うの」
アナスタシア「凛、楓にいわれてはお終いですよ」
杏(さらっとひどいことをいう)
凛「わ、わかった……」
凛「……」チラッ
P(……ん?)
凛「私は……決めた。私は過去よりも今を選ぶ。みんなはどうする」
卯月(……)
志希(……)
美嘉「なにそれ……、どういう意味?」
凛「別に。なにも」
凛「今日という日が誰かにとって、一生の思い出になるような、そんなライブにしたい」
凛「そのためにも、みんなの力を貸してほしい」
蘭子「フッ、その言葉を待っていた……!」
未央「ほんとだよ。最初からその言葉つけといてよ」
205 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/23(金) 20:01:14.61 ID:RFnWBlsF0
凛「じゃあ、みんな、手を出して。いい? いくよ……」
凛「すぅ……」
凛「ハナコ!!」
一同「ワンッ!!!」
206 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/23(金) 20:02:01.44 ID:RFnWBlsF0
P「……」
P「……え、なにそれ」
卯月「ハナコちゃん。凛ちゃんの飼ってるワンちゃんです」
莉嘉「ワンワン!」
志希「ニャンニャン!」
凛「可愛いよ。今度見せたげる」
P「そ、そっか。
まあ、それで気合が入ったというならなにもいうまい……」
P「……よし! それじゃあ、みんな、行ってこい!」
一同「はい!」
ワァァァァァ……
…………
………
……
…
207 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/23(金) 20:03:11.84 ID:RFnWBlsF0
TSU DU KI HA A SHI TA
208 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/23(金) 20:32:26.60 ID:HxqXtf8Xo
乙
209 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/24(土) 11:29:48.13 ID:xhiTvAeR0
>>200
すみません訂正
×蘭子「今こそ我が魔翌翌翌力を解放し、『蒼の世界』を創造してみせようぞ!」」
〇蘭子「今こそ我が魔翌力を解放し、『蒼の世界』を創造してみせようぞ!」
210 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/24(土) 11:31:55.24 ID:xhiTvAeR0
さらに訂正。なんかバグった
〇蘭子「今こそ我が魔翌力を開放し、『蒼の世界』を創造してみせようぞ!」
211 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/24(土) 11:33:08.25 ID:xhiTvAeR0
なんじゃこりゃあ!
「まりょく」 ね 「まりょく」!
212 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/10/24(土) 11:55:26.20 ID:qNbe7Y/DO
魔力
さがった?
213 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/24(土) 11:59:43.57 ID:xhiTvAeR0
↑それです
なんかわからないけど「魔 力」と入力すると字の間に「翌」が入る
214 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/10/24(土) 12:56:36.98 ID:kK1nec1f0
ここでは「魔力」に限らず特定の単語はネタ変換されるようにデフォルトでなってるから、それを避けたい場合はメル欄に「saga」と入力する
SSでよく使われる単語に複数ネタ変換があるので、SS投稿する時は基本「saga」は入れておくのが無難
仮にsage投稿したいのならメル欄に「sage」と「saga」を両方入れる
215 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/24(土) 14:18:09.69 ID:qNbe7Y/DO
ほかにもかな子……もとい、唐翌揚げもなりましたね
216 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/24(土) 14:28:22.15 ID:Ly69cmxAo
何が引っかかるのか忘れたなー
下品な単語もいくつか引っかかったはず
217 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/24(土) 14:55:15.22 ID:xhiTvAeR0
ほえー知らなかったサンクス
218 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/24(土) 14:56:28.12 ID:xhiTvAeR0
あ、続き夜書きます。昼書けなくてごめんなさい
219 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/24(土) 17:01:03.13 ID:qNbe7Y/DO
ttps://nktools.jp/vipservice/filter/list.html
ほかにはこんなんあるから、暇なら見たってや
あと、ガンバレ
220 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/24(土) 17:39:44.12 ID:Ys5IIeNT0
テスト
魔力魔力魔力魔力蘭子魔力魔力魔力魔力魔力魔
221 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/24(土) 17:43:38.56 ID:LimSifu9O
蘭子混ぜるなし
222 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/24(土) 19:29:20.28 ID:Ys5IIeNT0
大丈夫そうだ
あらためて
>>106
と
>>200
の蘭子の台詞にある「魔翌力」は「魔力」です
↓から本編続き
223 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/24(土) 19:31:19.44 ID:Ys5IIeNT0
未央「――えー、では、私、本田未央が
センエツながら乾杯の音頭を取らせていただきます」
美嘉「“僭越”とか絶対意味わかってないでいってるよね、アレ」
幸子「間違いない」
未央「そこ! 聞こえてる!」
杏「おーい、早く乾杯させろー。腕疲れたー」
未央「ウオッホン! ではあらためまして、
三代目シンデレラガール・渋谷凛さんの
シークレットライブ成功を祝しまして、か――」
莉嘉・志希「かんぱ――い!!」
一同「かんぱーい!」
未央「……」
未央「……か、かんぱーい!」
ワー パチパチパチ……
224 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/24(土) 19:32:24.95 ID:Ys5IIeNT0
凛「……」
P「凛」
凛「プロデューサー」
P「どうした、今日の主役がそんな隅っこに縮こまって。さすがに疲れたか」
凛「まあね。無事終わって気が抜けちゃったのかな。
あまり動きたくないんだよね」
P「杏みたいなことをいう」
凛「ねぇ、私たちのステージどうだった」
P「何度同じことを聞くんだよ。さっきも答えただろ」
凛「いいじゃん。何度だって聞かせてよ」
P「……最高のステージだったよ」
凛「ほんとに?」
P「ああ」
凛「一生の思い出になった?」
P「なったよ」
凛「もう忘れない?」
P「忘れないって」
凛「絶対だよ? 絶対に忘れないでね。
今日のことも、これからのことも、ずっと」
225 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/24(土) 19:33:43.68 ID:Ys5IIeNT0
美嘉「うえっ、辛っ! ちょっと志希ちゃん、
アタシのピザにめっちゃタバスコかけたでしょ!」
卯月「わぁ、ケーキの種類沢山ありますね」
愛梨「いっぱい動いた後だし、
今日くらいカロリー気にしないで食べちゃってもいいよね」
楓「……んぐっ……んぐっ……」グビッ グビッ
楓「はぁ……、黒ビール美味しい……」ウットリ
226 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/24(土) 19:34:15.25 ID:Ys5IIeNT0
P「……卯月から聞いたのか」
凛「……」
P「そっか。凛だったんだな、俺と千川さんの話を聞いていたのは」
227 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/24(土) 19:36:23.93 ID:Ys5IIeNT0
P「……凛、俺は――」
凛「ねぇ、プロデューサー、ここから再出発しない?」
凛「CGプロ所属アイドルにとって『シンデレラガール』は
目指すべき到達点だけどゴールじゃない。
辿り着けばそこはもう通過点の一つでしかなくて、
道はまだずっと続いてる」
凛「次の到達点『トップアイドル』を目指して
私たちはここからまた始めの一歩を踏み出す。
今日がその再出発を飾るに相応しいと思わない?」
P「……俺は、相応しいのか」
P「俺は記憶を諦めるよ。もう凛の知る過去の俺には戻れない」
凛「私の知るプロデューサーってなに?」
凛「私の知るプロデューサーは、いつも一生懸命で、無理ばかりして、
時々抜けてるところがあって、時々カ、カッコよくて……。
まぁ、そんな人。それは今も昔も変わらない」
凛「過去に戻れなくても過去がなくなるわけじゃないから。
記憶を分かち合えないのは寂しいけど、私は覚えてるからそれでいい」
P「凛……」
凛「だからここで降りるなんていわないでよ。
約束したよね? 私から目を背けないって」
凛「輝きの向こう側へ、連れていってくれるんでしょ?」
P「……」
P「今度、一緒に海に行くか」
凛「え、海……」
P「凛がよければだけど」
凛「う、うん、いいよ。行く」
凛「…………//」
228 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/24(土) 19:38:16.68 ID:Ys5IIeNT0
未央「しーぶりん! お疲れ!」
凛「……! お、お疲れ」ビクッ
未央「プロデューサーもお疲れ! 二人でなに話してたの?」
凛「ふふ、ないし――」
P「今度一緒に海に行かないかって。未央やみんなも一緒にどうだ」
凛「はっ!?」
未央「行く行く!
みんなー、今度プロデューサーが海連れてってくれるってー」
莉嘉「えっ、海ー? やったー!」
アナスタシア「スパシーバ。それは楽しみです」
蘭子「灼熱の業火が我が身を焦がすであろう。ネプトゥーヌスの加護が必要ね」
幸子「青い海、白い砂浜、水も滴るイイ幸子……が、
見たいということですか。フフン、仕方ないですね。
まぁ、プロデューサーさんも頑張られたことですし?
ご褒美にボクが文字通り一肌脱い――」
杏「どこの海ー? 私、人の少ないとこ希望ー」
まゆ「いつ行かれるご予定ですか。
それまでに準備しておきたいことが」
美嘉「アタシも新しい水着欲しいんだよねー」
キャッ キャッ
凛「……」
P「ん、どうした、凛」
凛「べっつにー。どうせそんなことだろうとは思ってたし。
ほんっとそういうところだけは変わらないんだから。フンッ」スッ
P「お、おい、なにそんなに怒ってんだよ……」
凛「楓さん、私にもビールちょうだいよ」
楓「え……」
P「コラ――ッ!!」
………
……
…
229 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/24(土) 19:39:14.18 ID:Ys5IIeNT0
莉嘉「…………」ウト ウト
美嘉「莉嘉? どーしたの、眠い?」
莉嘉「……」コクリ
P「そろそろお開きにするか。仕事組は明日も早いし」
美嘉「ほら、もうちょっとだけ頑張って起きてな。
アタシ、眠ってるアンタを部屋までおぶりたくないからね」
P「その時は俺がおぶって部屋まで送るよ」
美嘉「(そんな羨ましいこと)ダメ、絶対」
P「え?」
230 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/24(土) 19:40:04.49 ID:Ys5IIeNT0
P「みんな、あらためて今日はお疲れさまでした。
みんなの力、見させてもらったよ。最高のステージだった」
未央「へっへーん、どんなもんよー! 私たちの力思い知ったかー!」
アハハ
P「ああ、思い知ったよ。
俺はこんなにもすごいアイドルたちをプロデュースしていたんだな……」
P「……」
美嘉「プロデューサー?」
P「……みんなに聞いてほしいことがある」
P「俺の、記憶は――――…………
――――――――――――――――
――――――――――――
――――――――
――――
――
231 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/24(土) 19:41:39.15 ID:Ys5IIeNT0
P「ほら、起きるんだ杏。撮影に遅れる」
杏「うえぇ、プロデューサーがかわりに行ってきてよ」
P「俺が行ったって替え玉にもならないぞ」
杏「大丈夫、大丈夫。プロデューサー結構甘いマスクしてるから
それなりに女性ファンがつくと思うよ。自信持っていってらっしゃい」
まゆ『あら、プロデューサーさんのファンならまゆ一人で間に合ってますよ』
杏「……え、まゆちゃんの声? どっから聴こえた?」
P「俺のデスクの下だ。誰の影響か、なぜか最近居座っている」
232 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/24(土) 19:43:25.25 ID:Ys5IIeNT0
ガチャッ
蘭子「闇に飲まれよ!」バーン
(お疲れさまです!)
アーニャ「お疲れさまです」
P「お疲れ、二人とも」
アーニャ「杏と交渉中ですか」
蘭子「眠れる妖精を覚醒させるには虹の欠片が必要よ」
(飴は用意してありますか)
P「もちろんだ。まゆ、俺のデスクの――」
まゆ『一番下の引き出しですね。すぐお持ちします』
杏「……なにその阿吽の呼吸」
アーニャ「アウンの呼吸?」
幸子「息がピッタリということですよ。
プロデューサーさん、ボクたちそろそろ出ますね」
P「ああ、行ってらっしゃい。頑張っておいで」
志希「よし、行ってこい!」
P「お前もだ。幸子、志希の手綱をしっかり握ってるんだぞ」
幸子「任せてください。
ボクと志希さんの阿吽の呼吸で完璧に仕事をこなしてきますよ!」
志希「キャー、幸子ちゃんステキッ! 呼吸させてっ!」ガバッ
幸子「うわっ!?」
志希「もー、幸子ちゃんってば、
こんなイイ匂いさせてあたしを誘惑するんだから!
あ、リンス変えた?」
幸子「は、離して〜!」
ズルズル…… ガチャッ バタン
杏「……早速、弄ばれてるがな」
蘭子「狂気の錬金術師を制御できるのは我が友だけよ」
(志希さんをコントロールできるのはプロデューサーだけだから)
まゆ「プロデューサーさん、お持ちしました」
P「ありがとう。……さて、杏」
233 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/24(土) 19:45:32.84 ID:Ys5IIeNT0
ガチャッ
莉嘉「Pくん、ただいまー!」
美嘉「ただいまぁ……」
P「おかえり。今日は次から次へと入れ替わり立ち替わりだな」
莉嘉「……? なんの話?」
P「こっちの話だ。どうだった、遊園地ロケは」
莉嘉「ちょー楽しかった! またやりたい!」
美嘉「はぁ……、アンタ仕事そっちのけで楽しむんだから、
ほんと軌道修正するの大変だったわ」
P「はは、美嘉と一緒で正解だったみたいだな」
莉嘉「ハイこれ、みんなにお土産!」
まゆ「……あら、これって」
アーニャ「アー、飴ですね」
美嘉「あれ、なんかビミョーな反応? このチョイス、マズかった?」
杏「いやぁ全然。最高のチョイスだよ。ねぇ、プロデューサー?」ニヤリ
P「……」
美嘉「あ、もしかして今、交渉中?」
莉嘉「杏ちゃん、飴返して!」
杏「貰ったものは返せませーん」パクッ
莉嘉「あっ!」
杏「あーっ、お土産の飴美味しいなー!
あ、プロデューサーなんだっけ? 飴ならもう杏の口の中だから、
プロデューサーのその飴は明日の交渉のためにとっといてよ」
P・莉嘉「ぐぬぬ……」
234 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/24(土) 19:46:41.18 ID:Ys5IIeNT0
美嘉「ゴ、ゴメン、タイミング悪くて……」
P「いや、美嘉たちはなにも悪くない。……仕方ない」ヒョイ
杏「うわっ、なにすんのさ」
P「強制連行だ。杏は軽いしな。このまま下のスタジオまで担いでいく」
杏「おぉ、これは中々に楽だ。うむ、苦しゅうない。これなら……」
一同「…………」
杏(圧がすごいな……)
杏「……やっぱりいい。ちゃんと自分で行くから下して」
P「お、やる気になってくれたか」スッ
杏「う、うん、まぁ……、じゃあ、ぼちぼち頑張ってきます」
ガチャッ バタン
P「よし、うちの問題児たちを無事に送り出せたな」
まゆ「お疲れさまでした」
楓「……」
楓「……!」ティン
235 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/24(土) 19:47:31.50 ID:Ys5IIeNT0
愛梨「プロデューサーさん!」
P「どうした、愛梨」
愛梨「助けてください、楓さんが大変なんです!」
P「楓さんが?」
愛梨「いきなり『ヒラメと板で閃いた!』とかいって」
P「いつもの楓さんじゃないか」
愛梨「ソファーに寝転がったんです!」
P「それは……大変なのか」
愛梨「私たちこれからリハがあるんです。
なのに楓さんったら杏ちゃんみたいになっちゃって。
とにかく来てくれませんか?
私じゃどうすることもできなくて……」
P「……問題児がまだ残っていたか」
236 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/24(土) 19:49:23.73 ID:Ys5IIeNT0
楓「…………」グダー
P「これは見事なまでにだらけきっているな。
確かに杏を見ているようだ」
P「楓さん、起きてください。リハに遅れますよ」
楓「……」チラッ
楓「私をその気にさせたいのなら、お酒を持ってきてください」
P「これから仕事をする人に酒なんか出すわけないでしょ」
楓「あー、二日酔いで頭が痛いから動きたくないなー」
P「それは自業自得です」
楓「誰かお姫さま抱っこで会場まで運んでくれないかなー」
P「愛梨、できそうか」
愛梨「む、無理です!」
楓「今をときめくアイドル高垣楓をプロデュースしている殿方が、
お姫さま抱っこで会場まで運んでくれないかなー」
P「バカいってないでさっさとリハに行きなさい」
楓「プロデューサー、最近、私に塩対応すぎやしません?」
P「俺がまともに取り合うと却って楓さんを助長させますからね。
ほら、愛梨が困ってますよ。困らせるのは俺だけにしてください」
楓「……わかりました。行きます、行けばいいんでしょ。(ダッ)フーンだ。
そのかわり、また飲みに付き合ってくださいね。行きましょう、愛梨ちゃん」
愛梨「はい、それでは行ってきます」
P「行ってらっしゃい」
ガチャッ バタン
まゆ「いいなぁ。まゆもプロデューサーさんと一緒に
素敵なバーでお酒を嗜んでみたいわ」
P「まゆが大人になったらな。さて、俺も仕事に戻るか」
237 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/24(土) 19:50:09.67 ID:Ys5IIeNT0
P(凛のシークレットライブから2か月が経った)
P(あの日、俺はみんなに記憶を諦めることを告げ、
みんなは俺の意思を受け入れてくれた)
P(俺はこの世界で、CGプロのプロデューサーとして生きていくことを選んだ)
P(充実した日々……、欠けていたものが満たされていく)
238 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/24(土) 19:50:39.88 ID:Ys5IIeNT0
P(いつしか、765プロを思い出すこともなくなっていた)
239 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/24(土) 19:53:10.69 ID:Ys5IIeNT0
きりがいいので終わる
240 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/24(土) 20:00:39.82 ID:Ly69cmxAo
乙やで
241 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/24(土) 20:13:16.31 ID:qNbe7Y/DO
あとどれぐらい?
もしこれで終わるならそれでもいいけど、スパイスっているかな……って
242 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/24(土) 20:49:47.29 ID:v8wPVEfxo
チュッ
243 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/24(土) 21:05:16.02 ID:Ys5IIeNT0
とりあえず第一部 完
あとどれくらいかわからない
明日は投稿お休み
結構疲れた
これからは夜だけ投稿にする
244 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/24(土) 21:06:58.31 ID:Ly69cmxAo
いいとこ折返しよな
明日休みかー 乙
245 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/25(日) 19:50:55.10 ID:QygB30BxO
おつかれー
楽しませてもらってます
246 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/26(月) 20:18:26.67 ID:j3ttDkno0
卯月「ミュージカル?」
P「ああ。前の定例ライブを担当してくれた演出家さんを覚えているか。
その方がみんなのことを気に入ってくれて、この話を持ちかけてくれたんだ」
幸子「ボクたちに目をつけるとは、
その演出家さんはなかなか見る目がありますね」
P「この中でミュージカル経験があるのは未央だけだろ。
みんなのステップアップに繋がるいい機会になると思うんだ」
未央「うんうん、音楽、歌、踊り、演劇……、
ミュージカルには沢山の娯楽が含まれてるからねぇ。
技術を磨くには持ってこいだよ」
志希「しつもーん。ミュージカルの演目は?」
P「実はまだ決めてない。
だからもしやりたい演目があるなら教えてほしい」
P「既存のものでもオリジナルのものでも構わない。
演目を決める上でみんなの意見を参考にしたいと思っている」
蘭子(オリジナル?)キラーン
凛「やりたい演目……っていわれても、
ミュージカル自体、私はあまり詳しくないし」
愛梨「私もあまり知らないかなぁ」
P「あまり難しく考えなくていい。好きな映画とかドラマとか、
ジャンルを挙げてくれるだけでもいいから」
247 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/26(月) 20:20:23.77 ID:j3ttDkno0
未央「こういうの考えるのらんらんが得意なのでは?」
杏「蘭子ちゃんならさっきから夢中でノートに書き綴ってるよ」
蘭子「ロストアルテミスと呼ばれる月の崩壊から、
約百年余り経過した復興暦107年の地球。
そこには地球に降ってくる砕けた……」サラサラ
アーニャ「これは大作になりそうです」
莉嘉「はい! アタシ恋愛ものがやりたい!」
美嘉「恋愛? そしたら男性役が必要だけど……、幸子ちゃんとか?」
幸子「今、一人称が『ボク』だからと安易に挙げたでしょ」
莉嘉「男役はPくんがやればいいよ」
P「お、俺?」
美嘉「なんでプロデューサーが……ってゆーか、
男役もそもそもプロデューサーは“男”じゃん」
莉嘉「アタシとPくんはちょー愛しあってて、
でもミブンが違うせいで悪い人に色々邪魔されちゃうの。
でー、アタシが毒リンゴ食べて死んじゃうんだけど、
ガラスの靴履いたら生き返って最後は結婚してハッピーエンド!
ってゆー話は?」
美嘉「却下」
楓「なんか色々混ざってるわね」
248 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/26(月) 20:22:18.09 ID:j3ttDkno0
杏「話はともかく、仮にプロデューサーが舞台に立ったらブーイング間違いなしでしょ」
愛梨「でも、プロデューサーさんが相手なら私もその話やってみたいな〜、なんて。えへへ」
まゆ「プロデューサーさんがお相手してくれるというのなら、
まゆもそのお話を推薦します」
蘭子「コ、コホン。致し方ない。
仮初の舞台とはいえ婚姻の儀を執り行うというのなら、
彼と魂の契約を交わした私が相手をしなくてはならないわね……///」
(私もそのお話やってみたいな〜)
未央「あれっ、さっき自分で書いてた話は!?」
幸子「ボ、ボクも立候補してあげてもいいですよ!
別にプロデューサーさんとのラブストーリーなんて
ぜんっぜん興味ありませんけど?
女優としての演技の幅は広げたいですし?」
卯月「わ、私もそのお話やってみたいです///」モジモジ
莉嘉「え〜〜っ! これ莉嘉が考えた話だよ?
Pくんとカケオチするの絶対アタシなんだから!」
杏(結婚するんじゃなかったんかい)
楓「現実的な案はすぐ出そうにないわね」
P「ま、まあ、今月末に会議を開く予定だから
それまでに考えておいてくれればいいよ。
……一応いっておくが、俺の出演はなしだからな」
ちひろ「みんな、そろそろ時間よ。
第2スタジオで撮影を始めるから準備してちょうだい」
ハーイ ゾロゾロ
アーニャ(プロデューサー)クイクイ
アーニャ(今夜、晴れるそうです。約束どおり屋上で……)
P(ああ、わかった)
凛「アーニャ、行くよー」
アーニャ「はい、ではまた」
凛「なに話してたの」
アーニャ「アー……、少し仕事のことで」
…………
………
……
…
249 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/26(月) 20:22:55.40 ID:j3ttDkno0
アーニャ「――そうです。
周りに明るい星がないから見つけやすいと思いますよ」
P「あー……、わかった。あれが『ペガススの四辺形』か」
アーニャ「見つけましたか。そこから南へいくと『みずがめ座』があります。
これは少し見つけるのが難しいかもしれません」
P「みずがめ座……みずがめ座……」
250 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/26(月) 20:25:00.23 ID:j3ttDkno0
P「しかし、東京の空でもこんなに星が綺麗に見えるものなんだな」
アーニャ「今日の星空指数は今年で最高値です。
こんな夜は滅多にありませんよ。まさに“僥倖”です」
P「また難しい言葉を覚えたな。それも台本に載っていたのか」
アーニャ「ダー。他にも難しい言葉、沢山ありました。
“邂逅”とか“静謐”とか“闇に飲まれよ”とか」
P「最後のは絶対載ってなかったろ。映画の撮影はどんな調子だ」
アーニャ「トルードナ……、とても大変です。
私の役『舶来の英国人』は日本語がとても上手。
アー……、リューチョー? に話せる設定です」
アーニャ「役を演じながら言葉を途切れさせずに話すのは難しい。
NG、沢山出してしまいます」
アーニャ「ですが、大変だけど楽しい。
スタッフも役者のみなさんも優しいです。
アーニャが上手く演じられるよう、導いてくれます」
アーニャ「だから私も周りの期待に応えられるように、最後まで精一杯頑張ります」
P「ああ、アーニャならできるよ」
P「それにしても綺麗な夜だな。満月もよく見える」
「いいえ、今宵の月は待宵月ですよ、あなた様」
P「……!」クルッ
アーニャ「どうしました?」
P「いや、今の……」
アーニャ「ふふ、そうです。今のも台詞の一つです」
アーニャ「アー……、プロデューサー? お腹空きませんか。
実は今夜のためにボルシチを作ってきました」
アーニャ「ロシアにいた頃、グランマがよく作ってくれました。
アーニャの思い出の味、プロデューサーにも知ってほしくて……」
アーニャ「グランマのようにはいきませんが美味しくできたと思います。
……食べてくれますか」
P「あ、ああ、それはもちろん」
P(……)
…………………
………………
…………
……
251 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/26(月) 20:26:05.07 ID:j3ttDkno0
『はぁっ!?
誰もこんなゴスロリ衣装の真なんか見たくないわよ!
少しは需要ってものを考えなさいよ!』
『なんだと〜! たとえ少ない需要でも応えてやるのがプロってものだろ!』
『アンタ、自分でも需要がないってこと自覚してんじゃない!』
『ふ、二人とも落ち着いて……』
『雪歩は黙ってて!』
『ひえぇ〜』
『あっ、プロデューサー聞いてくださいよ!
伊織がこの衣装ボクに似合わないっていうんです! そんなこと――……
P「はっ……」
P「……」
P「…………夢」
………
……
…
252 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/26(月) 20:26:44.93 ID:j3ttDkno0
卯月「『プロジェクト・ピンクチェックスクール』……」
凛「『プロジェクト・トライアドプリムス』……」
未央「『プロジェクト・ポジティブパッション』……」
志希「『プロジェクト・LiPPS』?」
未央「なにこれ」
P「5人それぞれの新ユニットだ」
未央「へー、新ユニット……」
卯月・凛・未央「……」
卯月・凛・未央「……え」
253 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/26(月) 20:28:31.54 ID:j3ttDkno0
P「アイドル部門挙げての新プロジェクトが発足されたんだ。
その一環として新ユニットの結成。
俺の担当アイドルからはここにいる5人が選ばれている。
詳細は手元の資料を参照のこと」
志希「はーい」ペラッ
未央「え、ち、ちょっと待ってよ! 新ユニットって……、
じゃあ、ニュージェネレーションズはどうなんのさ!」
P「もちろん続けてもらう。
ニュージェネレーションズの解散となればこのプロジェクトに賛同しなかったさ」
凛「じゃあ、プロデューサーはこのプロジェクトに前向きなんだ」
P「まあ……、悪い話じゃない。
三人の力量ならユニットの掛け持ちでも十分やっていけるだろうし、
ソロ活動が主だった志希たちにはユニットを組ませる絶好の機会だ」
P「それに新たな可能性を模索するためにも、
俺と違う環境下で動いてみるのも一つの手だ」
未央「『俺と違う環境』?」
凛「ここ、書いてあるでしょ」
未央「……あれっ! ユニットの担当がプロデューサーじゃない!?」
P「俺はこのプロジェクトに関しては一切のノータッチだ。
これ以上仕事を増やすなと上からきつく止められている」
凜「まぁ、そうなるよね」
P「どうだろう、当然不安もあるだろうが――」
254 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/26(月) 20:28:58.89 ID:j3ttDkno0
美嘉「不安しかないよ……」
255 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/26(月) 20:30:12.29 ID:j3ttDkno0
未央「お、おお、美嘉ねえ。そういえばいたんだね」
P「不安しかないって?」
美嘉「このメンバーだよ! メ・ン・バー!」
P「……? LiPPSのメンバーになにか問題があるのか」
美嘉「大アリだよ! プロデューサーはこの三人のことなにも知らないから!」
P「三人?」
未央「へー、美嘉ねえ、志希にゃんと同じユニットなんだ。
どれどれ、LiPPSのメンバーは……」
卯月・凛・未央「……あぁ」
美嘉「ほらっ! こういう反応が返ってくるの! このメンバーは!」
P「そんなにまずいのか」
凛「別にまずくないよ。
ただユニット内での美嘉のポジションが確定したってだけ」
未央「そそ、美嘉ねえにピッタリな“苦労人”というポジションが」
P「要は志希並みに一癖も二癖もあるアイドルが揃っているということか」
志希「シッケーな! あたしのどこに癖があるってゆー!」
美嘉「どの口がいう……」
256 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/26(月) 20:31:16.90 ID:j3ttDkno0
P「しかしこの三人、うちの事務所でもかなりの実力者だろ。
一人は次期シンデレラガールの最有力候補だと聞いている。
正直、許されるなら俺がこのユニットをプロデュースしたいくらいだ」
凛「……」ムッ
志希「美嘉ちゃん、あたしたちとユニット組むのそんなにイヤ?」ウルウル
美嘉「う……、べ、別にイヤだなんていってないでしょ。
ユニット組むこと自体には賛成。折角のチャンスだもん、やるよ」
P「志希も参加する方向でいいんだな」
志希「うん、やる。面白そーだし」
P「卯月たちは……すぐには答えられないか」
卯月・凛・未央「……」
P「まずは三人でよく話し合ってほしい。
返事は今週末までに聞かせてくれればいいから」
………
……
…
257 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/26(月) 20:32:05.29 ID:j3ttDkno0
未央「どうする? 二人はプロジェクトに参加したい?」
卯月・凛「……」
未央「実は私は参加もアリかなーって思ってるんだけど……」
凛「え……」
未央「ほ、ほらっ、
別にニュージェネがなくなるわけじゃないんだしさ、
プロデューサーのいうとおり、
私たちならユニットの両立もちゃんとできると思うし……」
未央「……ごめん! 正直にいう。実は新ユニットにかなり惹かれてる」
未央「ポジティブパッションのコンセプトが私にピッタリな気がするんだよね。
メンバーも顔見知り……っていうか友達だし」
卯月「……私のユニットもそうです」
凛「……私のも」
258 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/26(月) 20:33:21.82 ID:j3ttDkno0
未央「多分だけどプロデューサー、
プロジェクトにはノータッチとかいってたけど、
本当はユニットの編成に色々手回してたんじゃないかな」
卯月「それ、私も思いました。プロデューサーさん、
『悪い話じゃない』なんて歯切れ悪そうにいっていましたけど、
本当は私たちにプロジェクトに参加してほしいんじゃないでしょうか」
凛「参加してほしい理由ってなんだろ」
未央「そりゃぁ、いってたじゃん。新しい可能性を模索するためだって」
凛「じゃぁ、プロデューサーの下では
その新しい可能性を模索することはできないのかな」
未央「や、そんなことはないだろうけど……」
卯月「なにか他に理由があると?」
凛「……ううん、ごめん。私がそうこじつけたいだけかも」
凛「いいよ、私も参加する。正直、私も新ユニットには興味があった」
卯月「じ、実は私も……」
未央「あは、なんだ。やっぱり二人も乗り気だったんじゃん」
凛「ごめん、未央。いつもいいにくいことを先陣切っていってくれて」
未央「いやぁ、これでも一応ニュージェネのリーダーですから」
未央「……ユニットの両立、頑張ろうね」
卯月「はい、頑張ります!」
凛「うん、頑張ろう。
プロデューサーがトライアドプリムスをプロデュースしたくなるように」
未央「あーん、やっぱりさっきのプロデューサーの言葉気にしてたー」
…………………
………………
…………
……
259 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/26(月) 20:33:56.83 ID:j3ttDkno0
続
き
は明日
260 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/26(月) 20:41:42.10 ID:/MqivtMDO
乙
次元連結システムの暴走か?
261 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/27(火) 08:28:24.08 ID:06WLivMso
乙
262 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/27(火) 20:37:32.47 ID:Ahx16JAs0
幸子「へぇ、新ユニット」
莉嘉「いいなぁ、アタシもユニット組みたい」
杏「zzz……」スヤァ
美嘉「プロジェクトは今後も継続していくみたいだから、
莉嘉たちにもまだまだチャンスはあるかもね」
まゆ「でもプロデューサーさん、
このプロジェクトチームからは外されてるんですよね」
莉嘉「えっ、そうなの?」
美嘉「これ以上仕事増やないよう、上から止められてるんだってさ」
志希「本人はやりたそーだったけどね」
莉嘉「Pくんが担当してくれないならやっぱいい……」
幸子「――と、いいそうな凛さんが参加するのはちょっと意外ですね」
まゆ「そうかしら。ユニットの担当が違うというだけで、
プロデューサーさんの担当から外されるわけではないのでしょ。
ユニットに魅力を感じれば、まゆだって参加していたと思うわ」
美嘉「プロデューサーがLiPPSをプロデュースしたいっていってたから、
それで火が付いたんじゃないかな」
志希「あれ凛ちゃんを焚きつけるためにわざといったよねー」
美嘉「本当にそう思われるくらいのユニットにはしたいけどね」
263 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/27(火) 20:40:34.26 ID:Ahx16JAs0
まゆ「それにしてもどういう選考基準なのかしら。
プロデューサーさんの担当アイドルから5人も選ばれるなんて」
美嘉「それ、アタシも気になってた。偶然選ばれたとは思えない人数だし」
幸子「うーん、やっぱりあの噂本当なのかな」
美嘉「噂って?」
幸子「プロデューサーさん、昇進の話があるらしいです」
志希「へー、そりゃめでたい」
莉嘉「ショーシンって?」
志希「プロデューサーが今よりもえらーい立場になるってこと」
莉嘉「Pくんが今より偉くなるとなんになるの?」
美嘉「……なんだろ。部長? になるのかな。
管理職であることは間違いないだろうけど」
幸子「噂では執行役員になるのではないかと」
美嘉「まさか……。さすがにありえなくない?」
まゆ「どうかしら。記憶障害になられたとはいえ、
プロデューサーさんの業績や会社への貢献度を考えれば
ありえなくもない話……かもしれない」
264 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/27(火) 20:42:28.59 ID:Ahx16JAs0
莉嘉「役員ってすごいの?」
志希「すごいよー。
莉嘉ちゃんが都内でヘラクレスオオカブトを発見しちゃうくらいすごい」
莉嘉「ちょーすごいじゃん!
その話が本当だったらみんなでPくんをお祝いしてあげようよ!」
幸子・まゆ・美嘉「…………」
莉嘉「あれ、どーしたの、みんな黙っちゃって」
志希「仮にその話が本当なら、
プロデューサーはアイドルのプロデュースを辞めちゃうってこと」
莉嘉「えっ、なんで?」
美嘉「役員はアイドルをプロデュースすることが仕事じゃない。
会社全体の管理とか方針を決めることが仕事なの」
志希「つまり今回のプロジェクトはその足掛かりってことなんでしょ。
プロデューサーの担当アイドルの数を徐々に減らしつつ、
プロデュース業からもゆるーくフェードアウトさせるっていう」
幸子「まぁ、あくまでも噂なので本当かどうかは本人に確かめてみないと……」
莉嘉「……」
――ガチャッ
P「おつか――」
莉嘉「Pくん、辞めちゃやだ!!」
P「え……」
265 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/27(火) 20:44:08.98 ID:Ahx16JAs0
P「――耳が早いなあ。確かに昇進の話はあったよ。断ったけどな」
美嘉「断った?」
P「少なくともみんなをトップアイドルにするまでは、
この仕事を辞めるわけにはいかないからな」
莉嘉「じゃあ、これからもPくんは莉嘉のプロデューサーでいてくれるの?」
P「もちろん」
莉嘉「よかったぁ!」
美嘉「よく断る気になれたね。役員なんて大出世じゃん。
なりたくてもなれるものじゃないのに」
P「正直、揺れた部分もあったよ。社長にはかなり食い下がられたし」
P「けど、結局はこの仕事が好きなんだろうな。
経営側に回るより、現場で働いている方が性に合ってる」
志希「あは、キミらしい答え」
幸子「でもまさかプロデューサーさんがそこまで評価されていたなんて、
一担当アイドルとして鼻が高いですよ」
まゆ「まゆもプロデューサーさんが誇らしいです」
266 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/27(火) 20:46:33.66 ID:Ahx16JAs0
――ガチャッ バン!
未央「プロデューサー!」
P「未央? どうした、そんな血相変えて」
未央「プロデューサー、961プロにヘッドハンティングされたって本当!?」
P「えっ」
凛「プロジェクトに私たちが選ばれたのは担当を変更するためだったってこと!?」
卯月「お願いです、961プロに行かないでください!
私たちにはプロデューサーさんの力が必要なんです!」
267 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/27(火) 20:47:34.57 ID:Ahx16JAs0
――ガチャッ バン!
蘭子「プロデューサー!」
(我が友よ!)
P「ら、蘭子? どうした、標準語になってるぞ」
蘭子「プロデューサー、事務所辞めるって本当なの!?」
(組織を抜けるとは真か!?)
P「えっ!」
愛梨「独立して新しい事務所を構えるって……」
アーニャ「パジャールスタ……、お願いです、辞めないでください。
アーニャ、プロデューサーにまだなにも……」
莉嘉「Pくん、やっぱり辞めちゃうの!?」
杏「ふあぁ、さっきからなに騒いでんの……」
P「……」
268 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/27(火) 20:49:50.16 ID:Ahx16JAs0
未央「へ? 昇進?」
P「断ったけどな。どうも噂に尾ひれがついたみたいだな」
凛「尾ひれどころじゃない噂のねじれ方だよ……」
蘭子(な、なんだ……)ホッ
蘭子「……!」ハッ
蘭子「クッ、私としたことがブラフを掴まされていたようね!」
(やった! “ブラフ”って言葉、一度使ってみたかったんだよね♪)
卯月「プロデューサーさんなら本当にありそうな話だから
思わず信じちゃいました」
杏「火のない所に煙は立たぬ。
実は過去に961プロからそういう話が本当にあったりして」
P「まさか。961プロが俺を引き抜くなんてありえないよ」
杏「どうして?」
P「あそこはプロデューサー制を取ってないんだ。
それにうちと961プロの因縁についてはみんなも知ってるだろ」
杏「因縁?」
莉嘉「Pくん、ほんとに、ほんとーに、辞めたりしない?
ずっとアタシたちのプロデューサーでいてくれる?」
P「ああ。みんなが望んでくれる限り、ずっとそばにいるよ」
莉嘉「絶対だよ? 指切りだからね?」
蘭子「わ、我とも契りを交わそうぞ!」
まゆ「まゆともいたしましょう」
キャッ キャッ
杏(……)
269 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/27(火) 20:51:26.91 ID:Ahx16JAs0
P・楓「かんぱーい!」
カーン
楓「……んぐっ……んぐっ……」グビッ グビッ
楓「はぁ……、五臓六腑に染み渡る。やはり仕事の後の一杯は格別ですね」ウットリ
P「本当に美味しそうに飲みますよね、楓さんは」
楓「いつ酒造メーカーからCMのオファーがくるかわかりませんからね。
こうして日々お酒を飲んでは表現力を磨いているわけです。
そう、いわばこれは鍛練なんです」
P「そうですか」
楓「……んぐっ……んぐっ……」グビッ グビッ
楓「ふぅ、なんて厳しい鍛練。……あ、すみませーん、大ジョッキ一つ」
P「……」
270 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/27(火) 20:52:52.43 ID:Ahx16JAs0
楓「――時にプロデューサー、実は折り入って相談したいことが」
P「旅行の件なら駄目ですよ」
楓「ひどい、話を切り出す前から断るなんて……!」
P「なんといわれようとも駄目なものは駄目です。二人きりで旅行なんて」
楓「……」フフン
P「なんですか、その得意げな顔は」
楓「要は記者にバレなければいいんですよね。
私、ティンときました。これを見てください」スッ
P「……“オクトーバーフェスト”?」
楓「本場ドイツのビール祭りです」
楓「私のお酒好きはもはや公然の秘密、不覚にも世間に知れ渡ってしまいました」
P「不覚もなにも秘密になんかしたことないでしょ」
楓「それを逆手に取り、私たちはこのオクトーバーフェストに
さも仕事をしているかのような体裁で参加するのです」
P「つまり海外ロケと見せかけた海外旅行」
楓「さすがはプロデューサー。話が早い」
P「駄目です」
楓「さすがはプロデューサー。断るのも早い」
271 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/27(火) 20:54:44.53 ID:Ahx16JAs0
P「楓さんのスケジュールに海外ロケを挟める余地なんてありませんよ」
楓「挟める余地がないのなら作ればいいのです。仕事をキャンセルして」
P「ですから、キャンセルできる仕事がないといっているんです。
楓さんだって自分が無理をいっていることは十分わかってるでしょ」
P「第一、あなたは大の方向音痴なんだから、
海外旅行なんて許可できるわけないでしょ。都内ですら迷うのに」
楓「え……、上京して間もないころは確かに迷いましたけど、
今は迷うことなんてそんなに……」
P「なにをいっているんです。
駅から事務所までの最短距離の道のりだって
この前ようやく覚えられたばかりじゃないですか、あず……」
P「…………」
楓「アズ?」
P「あ、いや……」
楓「小豆……、小豆島……、安土城……、あず……」
楓「あずさ」
楓「……という特急列車が確か昔ありましたよね」
P「……」
…………………
………………
…………
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