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P「あいつらに会いたい」
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72 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 14:46:10.74 ID:TfgXVv+K0
美嘉「あ、プロデューサーたちが来たよ」
莉嘉「Pくん、こっちこっち!」
楓「お疲れさまです、プロデューサー」
幸子「お疲れさまです!」
P「ああ、お疲れ」
ちひろ「わあ、可愛い! 見てください、プロデューサーさん。
ハート形のチョコレートケーキですよ」
P「へえ、すごいな。これを十時が?」
愛梨「えへへ、プロデューサーさんに食べてほしくて頑張って作っちゃいました」
美嘉「ほらほら二人とも、立ってないで座った座った」
愛梨「それじゃあ、みんな揃ったし、食べよっか」
莉嘉「いただきまーす!」
楓「いただきマングローブ」
73 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 14:47:56.30 ID:TfgXVv+K0
ちひろ「ん〜、美味しい!」
美嘉「うん、美味しい」
莉嘉「美味しいよ、愛梨ちゃん!」
愛梨「ありがとう」
愛梨「プロデューサーさんはどうですか」
P「……美味しいよ。まるでパティシエが作ったみたいだ」
楓「そういってくれると嬉しいです」
幸子「えっ、なんで楓さんがいうんですか!?」
P(そういえば、十時はケーキ作りが趣味なんだっけ……)
P「十時はケーキ以外にも作れるものがあるのか」
P「……たとえばクッキーとか、ドーナツとか」
愛梨「うーん、作れないこともないと思いますけど、
リクエストがあるならなにか作ってみましょうか」
P「い、いや、別に作ってほしいわけじゃないんだ。
ただ、聞いてみたかっただけで……」
莉嘉「アタシ、オムライスが食べたい!」
愛梨「オムライス!? お菓子じゃないんだ?」
楓「じゃあ、私は芋焼酎」
愛梨「芋焼酎!!? つ、作れるかな……」
幸子「愛梨さん、真に受けなくていいですから」
美嘉「あはは」
P(……)
P(時々、この子たちに春香たちの面影を重ねてしまう)
P(似ているんだ。春香たちに、765プロの光景に)
P(この子たちと一緒なら、
きっとなにか手掛かりが掴めるんじゃないかって、そう思ったんだが……)
74 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 14:50:22.43 ID:TfgXVv+K0
莉嘉「じゃーん! Pくん、見て見て!」
P「この写真は?」
莉嘉「Pくんと一緒に写ってるの色々持ってきたの! なにか思い出せるかなーって」
美嘉「色々っていうか……、これうちにあったの全部じゃない?」
愛梨「わぁ、沢山あるね」
莉嘉「これは一緒にカブトムシを取りに行った時の写真でー、
こっちがライブ打ち上げの時の写真」
ちひろ「あら懐かしい。これ、莉嘉ちゃんの初ライブの時の写真じゃない」
幸子(プロデューサーさんと腕組んでる。羨ましい……)
愛梨「あ、これって去年のクリスマスパーティーの時のだよね。
ふふ、プロデューサーさん、口の端にクリームがついてる」
75 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 14:52:45.76 ID:TfgXVv+K0
楓「……これは?」
莉嘉「それはPくんがうちに来――」
美嘉「莉嘉! それは誰にも見せちゃダメだって前に……」
P「……」
美嘉「プロデューサー? どうしたの」
莉嘉「Pくん、なにか思い出せた!?」ガタッ
P「……いや、特にはなにも」
莉嘉「そっかぁ……。あ、そーだ!」
莉嘉「とっておきがあるんだった! Pくんのケータイのカバー取ってみて」
P「俺の?」カパッ
P「……これは」
幸子「ツーショットのプリクラじゃないですか! いいなぁ!」
楓「頬くっついてるわね」
愛梨「プロデューサーさん、照れてる……」
莉嘉「デートした時に撮ったの!
アタシのスマホケースにもおそろいのが貼ってあるんだよ、ほら」
幸子「デ、デ、デ、デェェトォ!?」
美嘉「なにそれ!? アタシそんなの全然聞いてないんだけど!」
莉嘉「……あっ、ヤバッ! これ誰にもいっちゃいけないんだった!」
美嘉「莉嘉! 詳しく説明しなさいよ!」
キャー キャー
P「……」
ちひろ「プロデューサーさん、大丈夫ですか。さっきから少し様子が……」
楓「うわの空でスカイ?」
P「い、いえ、そういうわけでは……」
楓「……」
楓「あの、プロデューサー、今のはですね、
うわの空の『空』と英語の『スカイ』をかけていまして……」
幸子(ダジャレに気付かなかったプロデューサーさんに楓さん自らが解説してる……!)
……………………
………………
…………
……
76 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 14:55:46.87 ID:TfgXVv+K0
トレーナー「それじゃあ10分間休憩しましょうか」
凛「はぁ、はぁ……」
凛「……」
トレーナー「待ち人来ず、といったところかしら」
凛「え……」
トレーナー「さっきから扉の方ばかり気が向いて、いつもよりダンスが散漫だったわよ」
凛「……すみません」
トレーナー「プロデューサーさんが恋しいのもわかるけど、
覚えることは山ほどあるんだからもっとダンスに集中してほしいわね。
知った曲だからと高を括っていると痛い目見るわよ」
凛「べ、別に恋しいとかっ……」
トレーナー(とはいうものの、
プロデューサーさんがまだ一度もレッスンに顔を出してこないのも問題よね)
トレーナー(記憶障害に陥ったと聞いたけど、
それなら尚のこと、凛ちゃんのダンスを見て知ってほしいのに……)
……………………
………………
…………
……
77 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 14:57:25.37 ID:TfgXVv+K0
アナスタシア「見てください、プロデューサー。
ズヴェズダ……満天の星が輝いています」
アナスタシア「これが全てつくりものだなんて思えません。
まるでドーム全体が宇宙に包まれているよう……」
アナスタシア「プラネタリウムは初めてですが、私、とても気に入りました。
プライベートでもまた来たいです」
P「アナスタシアは星が好きなのか」
アナスタシア「……プロデューサー」
アナスタシア「ミーニャ・ザヴート・アーニャ」
アナスタシア「私のことは“アーニャ”と呼んでください、と前にもいったはずです」
P「あ、ああ。そうだったな、すまない」
78 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 14:59:05.15 ID:TfgXVv+K0
アナスタシア「……星は好きですよ。綺麗でしょ」
アナスタシア「前はよく天体観測をしていました。プロデューサーと二人で」
P「俺と?」
アナスタシア「ダー。よく晴れた日には事務所の屋上で」
アナスタシア「二人だけの秘密なんですから、みんなには内緒ですよ」
P「トップシークレットだな」
アナスタシア「トップシークレット? ふふ、そうですね。トップシークレットです」
P(……)
アナスタシア「プロデューサー、星に願いませんか」
P「願い?」
アナスタシア「プロデューサーの記憶が戻るように」
P「……けどこれは、本物の星じゃない」
アナスタシア「本物の星だって願いを叶えてくれるとは限りません。
ちょっとしたおまじないだと思って、さぁ」
P「……そうだな」
アナスタシア「……」(プロデューサーの記憶が戻りますように……)
P「……」(765プロのみんなにまた会え……)
P「……」
P(こんなことしたって……)
アナスタシア「プロデューサー」
P「ん?」
アナスタシア「いつの日か、また二人で天体観測をしましょう」
P「……撮影が始まる。そろそろ戻ろう」
アナスタシア「…………はい」
………
……
…
79 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 15:00:10.05 ID:TfgXVv+K0
トレーナー「ストップ。凛ちゃん、また同じところで間違えてる。
そこは卯月ちゃんがいないんだから下がる必要はないの」
凛「す、すみません……」ハァ ハァ
トレーナー(……些細なミスの連続。目に見えてモチベーションが下がってきてる)
トレーナー(あまりいい傾向じゃないわね。リハも予定より遅れだしているし)
トレーナー(普段は大人びて見えるけど、その精神は歳相応に幼い。
当然よね、まだ15歳の女の子だもの……)
トレーナー「もう一度、同じところからいくわよ」
凛「はいっ」
凛「……」
凛(今日も来ない……)
………
……
…
80 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 15:01:14.10 ID:TfgXVv+K0
ガチャッ
凛「お疲れさまです」
ちひろ「あら、凛ちゃん、お疲れさま」
凛「ちひろさん、プロデューサーはいる?」
ちひろ「プロデューサーさんならアーニャちゃんの付き添いで出てるけど、なにか用事?」
凛「ううん、いないならいいの。ちょっと寄ってみただけだから。じゃあ……」
ガチャッ バタン……
ちひろ「……?」
凛「……ばか」
……………………
………………
…………
……
81 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 15:02:20.53 ID:TfgXVv+K0
まゆ「プロデューサーさん、少し寄り道しませんか」
P「寄り道?」
まゆ「はい。時間は取らせませんから、お願いします」
P「……どこに行けばいい」
…………
P「ここって……」
まゆ「ゲームセンターです」
P「……」
まゆ「さあ、入りましょう」
82 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 15:04:02.89 ID:TfgXVv+K0
P「意外だな。佐久間はあまりこういうところには来ないと思っていたが」
まゆ「そうですね、ゲームはあまり嗜みませんね」
P「じゃあ……」
まゆ「これです」
P(プリクラ……)
まゆ「うふ、まゆとも一緒に撮っていただけますか、プロデューサーさん?」
P「知っていたのか、プリクラのこと」
まゆ「もちろんです。プロデューサーさん、莉嘉ちゃんとデートをしたそうですね。
その時にプリクラを撮ったとか」
P「……らしいな」
まゆ「まあ、莉嘉ちゃんはまだ子どもだし、
まゆの中ではそのデートはノーカウントですけど」
P(俺から見れば、佐久間だってまだ子どもなんだけどな……)
まゆ「けど、まゆは大人げないと思いつつも莉嘉ちゃんに嫉妬しちゃいました。
だって恋人のように写るお二人の姿を見せられたら……ねえ?」
P「……」
まゆ「まゆもプロデューサーさんに抱きしめられながら写りたいわぁ。
そしたら今回のことは不問にしてあげられる気がします」
P「不問もなにも、俺にはまったく身に覚えがないんだけどな」
まゆ「……」
P「あ……、す、すまん」
まゆ「いえ、まゆも軽率でした。ごめんなさい……」
P「……抱きしめるのは無理だが、一緒に撮るだけじゃ駄目か?」
83 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 15:06:20.43 ID:TfgXVv+K0
P「背景はこのリボンのでいいのか」
まゆ「はい……、あら」
まゆ「プロデューサーさん、ネクタイが曲がってます。まゆが直してあげる」
P「い、いいよ、自分で直すって」
まゆ「恥ずかしがらなくていいですよ。将来的にはまゆが毎日やってあげるんだから」
P「それは、どういう意味でしょうか……」
まゆ「そのままの意味です。なんの遠慮もいりません。
なんなりと申し付けていいんですからね。
貴方のためならまゆはなんだってするんだから」
まゆ「……そうよ。あの掛け替えのない日々を取り戻すためなら、なんだって……」
P「佐久間……」
まゆ「プロデューサーさん、過去が消えることは決してありません。
プロデューサーさんがCGプロで過ごされた日々は確かに存在していたんですから」
まゆ「だから、諦めないでください。記憶は必ず戻ります」
P「……」
まゆ「ネクタイ直りましたよ。さあ、撮りましょう。ほら、笑って」
P「……ああ」
『3・2・1……』
――カシャッ
P(渋谷と同じ、この子もきっと気付いてる)
P(俺が本当に取り返したいものは別のものだということに)
P(彼女たちが知る俺の過去と、俺が知る俺の過去には明らかな齟齬がある)
P(俺の知る過去は全て765プロの記憶)
P(ありもしないCGプロの記憶を取り返すことなんてできやしない)
P(だが、それをなんて伝えればいい?
本当のことを話せば彼女たちは信じてくれるのか)
P(結果的に、俺はこの子たちを騙している)
P(プリクラに写る俺の笑顔はあまりにも不器用で、とても笑っているようには見えなかった)
……………………
………………
…………
……
84 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 15:08:40.87 ID:TfgXVv+K0
未央「ふいぃ、やっと終わったぁ。この衣装あっつい……」
卯月「わ、私もぉ、中ぐっしょりですぅ……」
P「二人ともお疲れ。それを着替えたら中庭でインタビューを始めるから」
未央・卯月「はーい」
P(……こんなことをしていていいのか。
未だ、765プロの痕跡一つさえ見つけられずにいるというのに……)
P(だが、手は尽くした。もはやなにをどうすればいいのかわからない)
P(どうすれば、俺は……)
卯月「そういえば、凛ちゃんの様子はどうですか」
P「……様子?」
卯月「凛ちゃん、今はライブリハがあるから私たちとは別スケジュール組んでるじゃないですか。
それで最近全然会えてなくて」
未央「SNSとかで近況報告はしてるんだけど、
しぶりんって自分からはあまり語らない方だから」
未央「プロデューサー、しぶりんとはリハでいつも顔を合わせてるでしょ。
そのへん、色々知ってんじゃないの」
P「……いや、俺は――」
卯月「あ、どうせなら中庭に行くついでに凛ちゃんのリハを見に行きません?」
P「え……」
未央「そういえば通り道にあるもんね、トレーニングルーム。なら、行って確かめてみよっか」
P「ち、ちょっと待ってくれって。
二人はこれからインタビューがあるんだから記者を待たせては……」
未央「大丈夫、大丈夫。
ちょこっと見るだけだからさ、そんなに時間は取らせないって」
卯月「お願いします、プロデューサーさん」
P「いや、しかし……」
未央「ほらほら、着替えるんだからプロデューサーは出ていく!」グイグイ
ガチャッ バタン
P「……」
85 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 15:10:10.64 ID:TfgXVv+K0
トレーナー「こなれてくると小さく纏めようとするのは凛ちゃんの悪いクセよ。
ステージには凛ちゃん一人で立つんだから、もっと大きく動かないと」
凛「は、はい……」ハァ ハァ
ガチャッ
凛(……あ)
卯月(凛ちゃーん)フリフリ
未央(やっほー、しぶりーん)
凛(卯月、未央……)
P「……」
凛(プロデューサー……。そっか、二人が連れてきて……)
トレーナー(よかった、やっと来てくれた。これで凛ちゃんも……)
トレーナー「それじゃあもう一度、頭から通してやってみましょうか」
凛「はい!」
86 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 15:11:17.32 ID:TfgXVv+K0
トレーナー「ワン・ツー・スリー・フォー・ファイブ・シックス・セブン・エイト!」
凛「〜〜♪」
トレーナー(……悪くない。やっといつもの凛ちゃんに戻ったみたい)
未央「いい感じだね、しぶりん」
卯月「はい、ソロアレンジで踊る凛ちゃんかっこいいです!」
P「……」
P(なにやってんだろ、俺……)
凛(プロデューサー……?)
P「……」
凛「……っ」ギリッ
トレーナー(り、凛ちゃん?)
卯月「……あれ、なんだか凛ちゃんの動きが……」
未央「う、うん、なんか、あきらかに……」
……
…
87 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 15:12:35.89 ID:TfgXVv+K0
トレーナー「凛ちゃん、今のダ……、ち、ちょっと凛ちゃん?」
ツカツカ――
凛「プロデューサー、どうだった。私のダンス」
P「……え。あ、ああ……、よかったんじゃないか?」
凛「……」
未央「えっ、ち、ちょっとプロデュ――」
凛「いい加減にしてよっ!!!」
P「……!!」ビクッ
凛「ちっともよくなんかないよっ!! どこをどう見たらそうなるわけ!?
わざと手を抜いて踊っていたのがわからない!?」
P「え……あ……」
凛「ようやく来てくれたと思ったらなにも見てないじゃん!
こんなの来てないのと一緒だよ!!」
卯月「り、凛ちゃん、落ちついて……」
凛「私を見てよ! プロデューサーのアイドルは私なんだよ!!」
凛「ナムコプロなんて……!
そんな居もしないアイドルなんかにいつまでも囚われないで!」
未央「しぶりん!!」
凛「……!」ハッ
P「…………」
P「……悪い、二人とも、インタビューには二人だけで行ってくれ」クルッ
未央「プロデューサー!」
卯月「プロデューサーさん!」
ガチャッ バタン……
未央「しぶりん、いいすぎだよ……」
凛「……」
88 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 15:14:04.19 ID:TfgXVv+K0
P「……」
P(もう限界だ。なにを信じればいい、なにが本当の記憶なんだ)
P(いつかは渋谷たちと別れの時がくる。
彼女たちに感情移入をしてはならないと敢えて距離を置いてきた)
P(だが、本当にそうなのか?)
P(城ヶ崎に見せてもらった写真、そこに写るのは紛れもなく俺自身だった)
P(佐久間はいっていた。俺がCGプロで過ごした日々は確かに存在していた、と)
P(今でも鮮明に思い出せる765プロの記憶……。あれは全て、俺の妄想だったのか)
P(俺がいつも食べていたのは春香の作ってくれたお菓子じゃなくて、
十時が作ったケーキだったのか)
P(夜空を一緒に眺めたのは、貴音じゃなくてアナスタシアだったのか)
P(765プロは……俺の夢だったのか……)
89 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 15:14:37.67 ID:TfgXVv+K0
続き夜
90 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 20:03:26.89 ID:WLf+yO4T0
シュッ
P「うわっ! ……って、一ノ瀬?」
志希「……にゃはっ」
志希「いい香りでしょー、これ。あたしがブレンドしたお手製の香水。
リラックス効果のある成分が入ってるの。キミにあげる」
P「あ、ありがとう……」
P(……)
志希「もっと肩の力を抜きなよ」
P「え……」
志希「そんな強張ってちゃ疲れるでしょ。最近のキミ、ずっとそんな調子だよ」
P「……」
志希「気楽にいきなよ。そんな暗い顔してないで、希望を志さなきゃ」
91 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 20:05:06.62 ID:WLf+yO4T0
P「……希望なんて志せない」
P「わからないんだ。俺が本当に取り返したいものはなんだったのか。
なにを失くして、なにが欲しかったのか。どこを探して、誰を捜せばいいのか」
P「俺には、もう……」
志希「……そっか。キミは今、旅の途中なんだね」
P「旅……?」
志希「そそ。きっとさ、キミは今欲しいものが見つからなくて、
色んなところを旅してる最中なんだよ」
志希「でもさ、たまには旅もいいもんだよ。
そこで思いがけない薬品が手に入っちゃったり、
面白そうな実験材料見つけちゃったり。
それがいつか、キミの欲しかったものに変わるかもしれない」
志希「だからさ、今この状況に絶望しないで。
きっと……、ううん、キミなら絶対に見つけ出して取り戻すことができるから」
志希「そしてその時が、あたしたちの……」
P「一ノ瀬?」
志希「……みんな心配してる。記憶が変わる『前』のキミじゃなくて『今』のキミを」
志希「それだけは、嘘じゃない」
P「……」
P(……そうだよな。いつか、きっと……)スクッ
P「ありがとう、いちの……志希! 香水、大事に使わせてもらうよ!」ダッ
志希「いってらっしゃーい」
志希「……」
92 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 20:06:14.47 ID:WLf+yO4T0
タッタッタッタッ……
P(……馬鹿だ、俺は)
P(765プロ……、いや、自分のことばかりで渋谷たちを蔑ろにして目を背けて)
P(たとえ僅かな時間でも、彼女たちと接してきて感じていたはずだ)
P(CGプロのアイドルたちは765プロのアイドルたちに引けを取らないほど、
アイドルとしての情熱を持ち合わせていることに)
P(765プロのプロデューサーであろうとも、CGプロのプロデューサーであろうとも、
俺のやるべきことはなに一つとして変わらない)
P(アイドルを輝かせる、それが俺の仕事なんだ)
P(それにこのままでは765プロのみんなに顔向けできない)
P(春香、千早、美希、765プロのみんな……、もう少しだけ待っていてくれ)
P(今、ここで、やるべきことがあるんだ。だから……!)
93 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 20:07:29.19 ID:WLf+yO4T0
P(いた……!)
P「待ってくれ!」
凛「……っ」ビクッ
P「はぁ……はぁ……」
凛「……」
凛「……プロデューサー、さっきは、その――」
P「すまなかった!」
凛「……え」
P「君のいうとおり、俺は自分のことばかりで君たちのことをなにも見ていなかった。
自ら担当を戻しておきながら、その責任をなにも果たそうとしなかった。
プロデューサーとして、失格だと思っている」
凛「……」
P「君は俺に失望しただろう。どれだけ傷つけたかもわからない。
謝っても謝りきれない」
P「だけど、それでも、できることなら……」
P「どうか、もう一度だけチャンスをくれないか」
P「シークレットライブ、必ず君の望むステージにプロデュースしてみせる」
P「君の……凛の輝くその瞬間を、この目で確かに見たいんだ」
凛「プロデューサー、今、名前……」
P「このとおりだ、頼む……」
凛「……」
94 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 20:08:17.48 ID:WLf+yO4T0
凛「顔を上げてよ、プロデューサー」
P「……」スッ
凛「一つ、約束して」
凛「もう二度と、私から目を背けないで」
P「……あ、ああ! もちろん!」
凛「それじゃあ、今までのことは全部水に流してあげる」
P「ありが――」
凛「いっておくけど、次はないからね?」ジロリ
P「は……はい……」
凛「ふふ」
凛(やっと呼んでくれた、名前……)
凛「あっ、あのさ、一つ、ライブのことで提案があるんだけど……」
95 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 20:09:32.23 ID:WLf+yO4T0
卯月「凛ちゃんのシークレットライブに私たちが?」
P「ああ。みんなにはサポートメンバーとして
バックダンサーやコーラスを担当してもらいたい」
P「急な話ですまない。俺のせいでスケジュールが押し気味なんだ。
すぐにでもリハを始めてもらわないと当日に間に合わない」
P「みんなにはかなりの無理強いをさせることになると思う。
だが、それを承知で頼みたい。
どうか、凛と一緒にステージに立ってくれないか」
未央「そりゃあ、しぶりんの晴れ舞台なんだし、
私にできることがあれば喜んで協力するけど、でも……」
美嘉「本当にいいわけ?
凛がシンデレラガールに選ばれた記念ライブなんだよ。
定例ライブとは訳が違うのに、それをアタシたちが出たりして……」
楓「ライブの構成を変えてまで私たちを出す意味がわからないわ。
それこそ定例ライブになればみんなが出るんだし」
アナスタシア「なにか理由があるんですか、凛」
96 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 20:10:27.74 ID:WLf+yO4T0
凛「プロデューサーに見せてあげたいの。私たちの本当のステージを」
まゆ「プロデューサーさんに……」
凛「確かにシンデレラガールに選ばれたのは嬉しかったし、
ずっと待ち望んでいたシークレットライブだけど、
でもそれは全て、プロデューサーに恩返しをしたかったからなの」
P「……」
凛「今の私があるのは全てプロデューサーのおかげ……なんて、
そんなことをいっても今のプロデューサーに覚えがないのはわかってる」
凛「それでも私はプロデューサーに感謝してるし、
これからも一緒にトップアイドルを目指していきたい」
凛「だからそのためにも、プロデューサーには知っておいてもらいたいの。
私の……私たちアイドルが、どれだけの力を持っているのか、
それをシークレットライブで証明したい」
幸子「凛さん……」
凛「私の勝手なわがままだってわかってる。でも定例ライブまで待てない」
凛「お願いみんな。どうか、私と一緒にステージを……」
97 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 20:12:10.41 ID:WLf+yO4T0
愛梨「……私、凛ちゃんの気持ちよくわかる」
愛梨「私もシンデレラガールに選ばれた時、同じことを思ったもん。
これでやっと、プロデューサーさんに恩返しができるって」
蘭子(……)
愛梨「だから、私も凛ちゃんと一緒のステージに立ちたい」
幸子「やれやれ、仕方がないですね。このボクが出演してしまったら、
ボクの抑えきれないカワイイオーラで凛さんのファンを
たちまちボクのトリコにしてしまうかもしれませんが、
それでもというのならボクも出――」
莉嘉「はいはい、アタシも出る! ライブできるなんてチョー楽しみ!!」
志希「もちろんあたしも出るよ。ライブなんて刺激的なことを
みすみす逃すほど志希ちゃんは我慢強くないのだ!」
幸子「……ボクも――」
未央「私だって出るよ! ここで協力しなきゃ、
ニュージェネの名が廃るってもんよ! そうでしょ、しまむー!」
卯月「はい! 島村卯月、精一杯、凛ちゃんのお手伝いをさせてもらいます!」
まゆ「プロデューサーさんのためというのなら、まゆも喜んで協力するわ。
まゆだってプロデューサーさんに本当のステージを見せてあげたいもの……」
美嘉「ま、アタシたちを知るにはライブを見てもらうのが一番だしね。
いいよ、その話、アタシも乗った」
楓「……そうよね。私という人間を知ってもらうことはとても大切なことよね……」
未央「かえ姉さま……?」
楓「私も協力するわ。
プロデューサーとは一刻も早く、お酒を飲める間柄に戻りたいですもの」
未央「ええっ! そんな理由!?」
アナスタシア「私も……、私のことをプロデューサーに知ってもらいたいです。
私がどれだけプロデューサーを信頼して、感謝しているのか、
その想いを胸に、私も凛と一緒のステージに立ちたいです」
凛「みんな、ありがとう……」
98 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 20:12:50.87 ID:WLf+yO4T0
P(……おや)
杏・蘭子「……」
P「杏と蘭子はどうだ。凛と一緒にステージに立ってくれるか」
杏「……っ、は、はい!
杏も協力させてもらいます! いえ、させてください!」
蘭子「わっ、私も精一杯頑張ります!」
P「あ、ああ、ありがとう……?」
P(……)
99 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 20:14:30.28 ID:WLf+yO4T0
幸子「ハイハイハイ! ボクも出ます!! ボクも出ますからね!?」
幸子「いっておきますけど!
ボクがステージに立つのは凛さんのためであって、
プロデューサーさんのためではないんですからね!
そこのところ、くれぐれも勘違いしないでくださいよ!」
P「ああ、わかってるよ。よろしく頼むな、幸子」
幸子「……」
P「どうした?」
幸子「い、いえ、その……、
プロデューサーさんに名前を呼んでもらうの、なんだか久しぶりだなって……」
未央「あ、ほんとだ。そういえばさっきもしぶりんのこと
“渋谷”じゃなくて“凛”って……」
未央「……はい、プロデューサーに問題です! 私は一体誰でしょーかっ!」
P「誰って、未央だろ」
未央「も……、もう3回呼んで?」
P「なんで」
莉嘉「PくんPくん、アタシはアタシは?」
P「莉嘉」
愛梨「じゃあ、私は?」
P「愛梨」
卯月「そ、それじゃあ、私は誰でしょうか!」
P「卯月……って、なんだこの流れ……」
まゆ「プロデューサーさん、どうか、愛を込めて私を呼んでみてください」
キャッ キャッ……
アナスタシア「プロデューサー、元気が出たみたいですね」
美嘉「だね。ようやくらしくなってきたって感じ。
これで記憶も戻ってくれたらいいんだけど」
美嘉「ねぇ、凛のおかげなんでしょ。プロデューサーが元気出たのって」
凛「……違う、私じゃない」
美嘉「凛じゃないの?」
凛「私はなにもしてない。プロデューサーが元気になった理由は私にもわからない」
美嘉「ふぅん、そうなんだ」
凛(……)
楓「プロデューサーは以前、私のことを“カエカエ”と呼んでいましたよ」
P「カ、カエカエ? 本当ですか!?」
幸子「そんなわけないじゃないですか……」
志希「にゃははっ!」
……………………
………………
…………
……
100 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 20:16:06.37 ID:WLf+yO4T0
美嘉『みんなーっ、楽しんでるーっ?』
オーディエンス『イェ――ッ!!!』
P「……」
ちひろ「よいしょ、っと。蘭子ちゃん分はこれで全部です」ドサッ
P「ありがとうございます」
ちひろ「それにしても本当に観るんですか、アイドルたちのライブ映像を全て。
一人分だけでもかなりの量ですよ」
P「ダンスの癖、歌の声質……、少しでも彼女たちの特徴を把握しておきたいんです。
ライブまで残り僅か。今更こんなことしたって
付け焼刃程度の知識にしかならないかもしれませんが、
それでも彼女たちの力になれるなら……」
ちひろ「ふふ、なんだか記憶が変わる前のプロデューサーさんに戻ったみたいですね」
P「変わる前?」
ちひろ「ええ。アイドルたちのことがなによりも大切で、
彼女たちを輝かせるためならどんな労力も惜しまない。
そんな人でしたよ、プロデューサーさんは」
P「……そうですか。それが、前の……」
ちひろ「でも、無理はもう絶対に駄目ですからね。
私の目が光るうちは徹夜なんてできないと思ってくださいよ」
P「はは、肝に銘じておきま――」
蘭子『フハハハ! 我が下僕たちよ!
今宵は漆黒の炎に焦がれ、魂が燃え尽きるまで宴を祝おうぞ!』
オーディエンス『ワァ――ッ!!!』
P「……」
……………………
………………
…………
……
101 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 20:17:34.00 ID:WLf+yO4T0
美嘉「……そう? ここはアタシたちのコーラスを入れるより、
凛がソロで歌った方がイイと思うんだけど」
P「俺もそう思う。それに今の構成だと凛だけのパートが少なすぎる。
これは凛のためのライブなんだから、
あくまでも美嘉たちはサポートメンバーとして考えないと」
凛「それは……わかってるけど、
でもソロで歌うのはCパートまでとっておきたいなって……」
ガチャッ
蘭子「闇に飲まれよ!」バーン
美嘉「蘭子ちゃん、お疲れー」
凛「お疲れさま」
P「お疲れ、蘭子」
蘭子「闇に飲ま……っ」ハッ!
P「やみにのま?」
蘭子「…………れます」
P(闇に飲まれます?)
………
……
…
102 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 20:19:31.21 ID:WLf+yO4T0
『今日のラジオゲストはCGプロのアイドル、
アナスタシアちゃんと神崎蘭子ちゃんです』
アナスタシア『よろしくお願いします』
蘭子『ククク……、福音を鳴らす聖なる暗室に招かれたこと、ここに感謝する』
『え、えっと……』
アナスタシア『ラジオのゲストに呼んでくれてありがとう、といっています』
『い、いえ、こちらこそ……』
P「……」
『――それじゃあ、その衣装は蘭子ちゃんが自分でデザインしたんだ』
蘭子『いかにも。我がグリモワールに記された堕天の衣。
天啓を授かり、幾つもの生贄を捧げ、
遠き過ぎさりし欠けた月の夜、ついに精製することができた……』
『え、ええと……』
アナスタシア『そうです、私のスケッチブックに描いた衣装です。
一生懸命考え、沢山お手伝いをして、
先月ようやく完成させることができました、
といっています』
『へ、へえ、そうなんだ……』
P「……」
P(なにをいってるのか、さっぱりわからない……)
………
……
…
103 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 20:21:01.94 ID:WLf+yO4T0
P「――それじゃあ、俺は杏の撮影現場に向かうけど、
蘭子は事務所に戻って引き続きみんなとリハを」
P「撮影が終わり次第、俺も杏と一緒に事務所に戻るから、
そしたらみんなでライブ衣装のチェックをしような」
蘭子「は、はいっ」
P「……蘭子が着ているその衣装は自分でデザインしたものなのか」
蘭子「え、あ、はい、そうです」
P「へえ、すごいじゃないか。よく似合っているよ」
蘭子「あ、ありがとうございます……」
P「蘭子は自分の特性をきちんと把握しているんだな。
衣装や言葉遣いにそれがよく反映されている」
蘭子(うっ……)ギクッ
P「特に言葉遣いは類を見ないというか、
俺には蘭子がなにをいっているのかわからないけど」
蘭子(う゛っ……)グサッ
P「でも、それがきっと蘭子の魅力なんだろうな。
蘭子が二代目シンデレラガールに選ばれた理由がわかる気がするよ」
蘭子「……」
蘭子(なにをいってるのか、わからない……)
………
……
…
104 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 20:22:11.86 ID:WLf+yO4T0
「それではCGプロさん、また機会があればよろしくお願いします」
P「こちらこそ、今日はありがとうございました」
杏「ありがとうございました!」
P「……さて、俺たちも事務所に戻るか」
杏「はい!」
…………
P「すまなかったな、杏。この数日、撮影の連続で疲れたろ。
リハもあるから仕事量を極力抑えてはいるんだが、
現状、維持するので精一杯なんだ」
杏「いえ、このくらい平気です!
杏はまだまだ働けます! 馬車馬のように働けます!」
P(馬車馬……)
P「そ、そっか。
まあ、無理を強いてる立場だから無理をするなとはいえないけど、
でも本当に限界を感じたら我慢せずにいってくれよ」
杏「お気遣いありがとうございます。けど、大丈夫です。
杏はアイドルのお仕事が大好きですから、
毎日が充実して疲れを感じる暇もありません」ニコッ
P「……そっか。そういってくれるとプロデューサーとして嬉しく思うよ。
杏のそのひたむきな姿勢は俺も見習わないといけないな」
杏「……いえ」
………
……
…
105 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 20:23:30.52 ID:WLf+yO4T0
蘭子「わぁ……!」キラキラ
P「どうかな、“魔法使い”がコンセプトになってるんだけど」
アナスタシア「なるほど。凛が“シンデレラ”なら、私たちは“魔法使い”なんですね」
未央「結構、本格的に“魔法使い”してるデザインだよね。
らんらんなんかは特に好きでしょ、この衣装」
蘭子「ら、らんらんいうでない!」
P「気に入ってくれたか、蘭子」
蘭子「ふぇ? ……あっ、はい。とても素敵な衣装だと思います……」モジモジ
卯月「すごいです、これ! スカート生地がフワフワです!」
まゆ「腰のリボンがいいアクセントになってますね」
莉嘉「お姉ちゃん見て見て、このちっちゃな三角帽子カワイイ!」
志希「楓さん、ステッキにマイクがついてるよ!」
楓「まぁ、それはそれは、なんて……」
楓・志希「素敵なステッキ!」ドッ
幸子(いうと思った……)
キャッキャッ……
106 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 20:24:59.76 ID:WLf+yO4T0
美嘉「へぇ、このブレスレット、呪文が彫ってあんだ。結構凝ってんじゃん」
蘭子「呪文……」
アナスタシア「どうしました、蘭子」
蘭子「……我らで呪文をつくり、
それを簡易刻印として身体に刻みつけるのはどうだろうか」
P(……?)
アナスタシア「ハラショー。それは素晴らしいアイデアだと思います」
美嘉「うん、イイと思うよ。まぁ、蘭子ちゃんの趣味全開の呪文にすると、
シンデレラに登場する魔法使いのイメージからは逸脱しそうな気もするけどね」
P「えっと……、蘭子はなんていったのかな」
蘭子「あ、その――」
美嘉「タトゥーシール。呪文をみんなでデザインしてさ、
それを腕とか顔につければ面白くないか、ってことでしょ」
蘭子「う、うむ。いかにも……」
P「なるほど、タトゥーシールか。それはいいアイディアだな。
グッズにもできそうだし、検討の余地があるよ」
アナスタシア「よかったですね、蘭子」
蘭子「しかし刻印だけではこの衣に眠れる真の力を呼び醒ますことは適わない。
我らが魔翌力を注ぎ込み、共鳴させることができればあるいは……」
P「……つまり?」
蘭子「あぅっ、つまり――」
アナスタシア「みんなでアイディアを出し合えばもっと衣装がよくなる、
そういいたいのですね、蘭子」
蘭子「そ、そのとおり……!」コクコク
P「そうだな。まだまだ改善の余地はありそうだ。
他に気付いたことがあればみんなも――」
蘭子「衣を漆黒から蒼へ染め上げ、背中に銀の十字の紋様を入れれば……」
美嘉「いや、だからそんな魔法使い、シンデレラには登場しないって」
P「……」
P(……今まで気付かなかったが)
P(蘭子、俺と他の子たちとでは話し方も表情もまるで違うんだな……)
…………………
………………
…………
……
107 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 20:26:36.61 ID:WLf+yO4T0
「では、次回も杏ちゃんを起用する方向で話を進めたいと思います。
日程は決まり次第、追って連絡します」
P「はい、よろしくお願いします」
「そういえば最近の杏ちゃん、らしくないですけどなにかあったんですか」
P「らしくない?」
「なんていうか、仕事熱心というか」
P「……仕事熱心が、らしくない?」
「ああ、いえ、すみません。
決してCGプロさんのアイドルを乏しているわけではありませんよ。
ただ、杏ちゃんはそういうタイプではなかったでしょ」
「手を抜けるところは抜いて、おさえるべきところはしっかりおさえる。
いかに自分を動かさないようにまわりを上手く転がしていたじゃないですか」
「まだ17歳であんな処世術を覚えるなんてむしろ感心してしまいますよ。
業界内にもファンが多いんですよ。できるサラリーマンの手本みたいだって」
P(……)
…………………
………………
…………
……
108 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 20:27:22.51 ID:WLf+yO4T0
P(どういうことだ……)
P(俺の知る杏は何事にも真摯に精力的に取り組む、それこそ仕事熱心な女の子)
P(だが、それとまるでかけ離れた人物像……、
どちらが本当の杏なのか、今の俺にその判断が下せない)
P(知らないことが多すぎる。俺は杏のなにを知っている?)
P(俺はまだ杏の表層、それも一部分しか知らない。
心の機敏を、僅かな違和感を察することなんてとてもできない)
P(彼女たちをプロデュースするようになってふた月と少し。
彼女たちと真剣に向き合うようになったのはつい先日のこと)
P(今まで杏たちを知る機会はあっても、自らそれを放棄してきた。
今更後悔したって遅すぎる)
P(これが春香たちのことだったら目敏く気付けたんだろうけどな……)
109 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 20:28:37.47 ID:WLf+yO4T0
まゆ「どうしました、プロデューサーさん。浮かない顔して」
P「え……」
まゆ「なにかお困りですか。まゆでよければお話しください。
必ず貴方の力になれるわ。だからどうか、一人で抱え込まないで……」
P「ああ、いや、そんな大袈裟なことじゃないんだ。少し気になることがあって」
まゆ「気になること、ですか」
P(……まゆに杏のことを聞いてみても大丈夫だろうか)
まゆ『まゆは大人げないと思いつつも莉嘉ちゃんに嫉妬しちゃいました。
だって恋人のように写るお二人の姿を見せられたら……ねえ?』
P(この子に他の子の話題を口にするのは避けた方がいい気がする……)
まゆ「もしかして、杏ちゃんのことですか」
P「……!」
まゆ「やっぱり」クスッ
P「ど、どうしてわかった?」
まゆ「まゆはプロデューサーさんのことならなんでもわかるもの。
隠し事したってまゆには全部お見通しなんだから」
P「……」
まゆ「……うふ、冗談です。そんな顔なさらないで」
まゆ「本当のことをいえば、そろそろプロデューサーさんも
杏ちゃんの異変に気付く頃合いだと思っていたの」
P「異変? それじゃあ、やっぱり……」
P「……詳しく聞かせてくれるか」
110 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 20:29:21.78 ID:WLf+yO4T0
P「――責任を感じてる?」
まゆ「はい。杏ちゃん、口を開けば『働きたくない』『休みたい』なんて、
プロデューサーさんをよく困らせていましたから、
そのせいでプロデューサーさんが
記憶障害に陥ってしまったと思い込んでしまって……」
P「それで心を入れ替えて、仕事熱心に?」
まゆ「心を入れ替えたというより、罪悪感に苛まれているのではないかと」
P(罪悪感……)
P「……それは、蘭子もか」
P「蘭子、俺には敬語で話すけど、もしかして以前は
俺にもあの独特な言葉遣いで話していたんじゃないか」
まゆ「そうですね。蘭子ちゃんも自分の言葉遣いが
プロデューサーさんを苦しめていたのではないかと悩まれていました」
P「そういうことか……」
…………………
………………
…………
……
111 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 20:31:33.09 ID:WLf+yO4T0
愛梨「わっ、外暑いですね。日差しが強い……」
P「天気予報によれば、
梅雨明けの猛暑で30度近くまで気温が上がるらしいからな」
愛梨「えぇ、そうなんですかぁ。今朝は結構涼しかったのになぁ。
幸子ちゃんと莉嘉ちゃんが羨ましいです。
私も水着の撮影だったらよかったのに……」
P(……)
P(杏も蘭子も本来の彼女たちではない)
P(背負うことのない罪に囚われ、必要以上に俺を気遣い、
結果、自らの個性を殺してしまっている)
P(杏にしてはその影響が仕事に顕著に出てしまっている。
蘭子もいずれはあの言葉遣いを完全にやめてしまうかもしれない)
P(そうなる前に、二人には話しておく必要があるな)
莉嘉「Pくーん!」タッタッタッ
幸子「莉嘉ちゃん、走ったら危ないですよ!」アワワ
莉嘉「どぉどぉ? アタシの水着姿。ちょーセクシーっしょ!」
P「セクシーというよりは可愛いかな」
莉嘉「えー、そっかぁ。やっぱ胸とかお尻とか全然足りてないからかなぁ。
アタシも愛梨ちゃんみたいになれるといいな」
愛梨「私みたいに? えっと、ケーキ作りが得意になりたいの?」
幸子「いや、今の話の流れ的に体形のことかと……」
P「まあ、どちらにせよ、とても似合ってるよ。幸子も」
幸子「へ? ……あ、フフーン! 当然ですよ!
カワイイボクが水着姿になれば、それはもう、マーメ――」
莉嘉「PくんPくん、撮影終わったらプールで遊んでもいい?
確かこの後ってリハまで時間空いてたよね」
P「そうだな、疲れを残さない程度になら」
莉嘉「やったー!」
愛梨「……」ソワソワ
P「どうした、愛梨」
愛梨「え……、えへっ、なんでもないです、なんでもないです。
別に暑いからってカーディガン脱ぎたいわけじゃないですよ?」
P「……いや、カーディガンくらい、暑いなら脱いでもいいんじゃないか」
愛梨「そ、そうですか。じゃあ、お言葉に甘えて……」ヌギヌギ
P(……?)
幸子「……マーメイドのように……美しい……」
…………………
………………
…………
……
112 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 20:32:13.26 ID:WLf+yO4T0
未央「プロデューサー、今日は外回りが多いんでしょ。熱中症に気をつけてね」
卯月「これ、スポーツドリンクです。小まめに水分補給を取ってください」
P「あ、ああ。助かるよ、ありがとう」
美嘉「プロデューサー、体調はどう? 無理してない?」
アナスタシア「具合が悪くなったらすぐにいってください」
P「いや、大丈夫、だけど……」
楓「疲れた時は甘いものを食べるといいですよ。ほら、チョコをちょこっと」
P「……」
113 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 20:33:07.54 ID:WLf+yO4T0
P(杏や蘭子だけじゃない。みんな、俺を気遣ってくれている)
P(当然か。俺の置かれた現状を正確に把握しているのは俺だけだ。
みんな、俺が記憶障害に陥ったと思い込んでしまっているんだから、
責任や罪悪感を感じてしまうのも無理もないのかもしれない)
P(だからといって彼女たちに本当のことは話せない。
凛のシークレットライブが控えたこの大切な時期に、
わざわざ混乱を招くような話をしてどうする)
P(今は……いや、765プロのことは俺の胸のうちにだけ秘めておくべきだ)
P(だが、それでも、彼女たちに話しておかなければならないことはある)
…………………
………………
…………
……
114 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 20:53:33.14 ID:WLf+yO4T0
ちひろ「プロデューサーさん、全員揃いましたよ」
未央「どうしたの? 急に呼び出したりして」
P「みんなにあらためて話しておきたいことがあって」
アナスタシア「話しておきたいこと、ですか」
P「俺が、その……、記憶障害のことなんだけど」
一同「……」
P「みんな、俺をすごく気遣ってくれてるよな。
本来であればプロデューサーの俺がみんなを気にかける必要があるのに、
今は逆に心配ばかりかけて本当にすまなく思ってる」
卯月「そ、そんな、謝らないでください。
私たちだってプロデューサーさんにはいつも心配かけてばかりなんですから」
美嘉「そうだよ、こんな時くらいアタシたちを頼ってよ。
みんな、プロデューサーの力になりたいんだから」
115 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 21:03:43.37 ID:WLf+yO4T0
P「ありがとう。みんなの気持ちは素直に嬉しい。
だけど、俺を気遣うあまり本来の自分を抑制してはいないか」
莉嘉「ヨクセー?」
P「みんなを見ていると無理をしているように感じる時がある。
特に杏と蘭子は俺に遠慮があるよな」
杏「……」
蘭子「……!」ドキッ
P「以前の二人のこと、聞いたよ。
俺の知る二人とはまた随分と違う印象を受けたよ」
P「二人を変えてしまった原因は俺の記憶障害か」
杏・蘭子「……」
P「二人のせいなんかじゃない。これは俺自身の問題なんだ」
P「俺の自己管理の甘さが、
自分のキャパシティを超える仕事量を続けてきた当然の結果だ」
P「全ては俺の責任なんだ。
だから二人が、みんなが気に病む必要はない」
116 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 21:16:39.47 ID:WLf+yO4T0
蘭子「……」
杏「……どうして、どうしてそんなことがいえるの」
杏「プロデューサー、まだ記憶戻ってないじゃん。
杏がどれだけプロデューサーに迷惑かけてきたのか
なにも覚えてないくせに、どうして自分の責任だなんていえるの?」
杏「杏のこと……なにも知らないくせに……」ジワッ
蘭子(杏ちゃん……)
P「……そうだな」
P「確かに俺は杏のことを知らないし、記憶だって未だに戻らない。
だけどこの2か月、みんなと接してきてよくわかった」
P「みんな、素敵な女の子たちばかりだ」
P「豊かな感性を持ち、アイドルとしての情熱を絶やさず、
誰もが光り輝く可能性に満ちている」
P「そんな素敵な子たちを俺が重荷になんて思うはずがない。
こんな素敵な子たちをプロデュースできて誇りにすら思ってるよ」
蘭子「プロデューサー……」
P「だからもう無理して自分を抑え込まなくていい。
本当の素顔を俺に見せてくれないか。
二人のこと、みんなのことをもっとよく知りたいんだ」
ギュッ
蘭子「あ……」
P「杏、自責の念に囚われないでくれ。
自分を偽らず、ありのままの杏でいてくれていいんだ」
杏「で、でも……」
P「それにな、杏のような子の扱いには慣れてる」
杏「慣れてる?」
P(昔の美希には散々手を焼かされてきたからな)
P「蘭子も、蘭子自身の言葉で話してほしい。
遠慮はいらない。蘭子の心の声を聴かせてほしいんだ。
今はわからなくても、必ず蘭子の想いを汲み取れるようになるから」
蘭子「あ、ああ……!」
P「たとえこの先、記憶が戻らなくても、この想いだけは決して変わらない」
P「みんなまとめてトップアイドル……。
それはきっと、過去の俺と共有する唯一の想いだ」
P「誰一人欠かさない。輝きの向こう側へ、みんなを連れていくよ」
117 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 21:19:22.23 ID:WLf+yO4T0
蘭子「……」プルプル
蘭子「ク、ククク……」
未央「お!」
蘭子「ついに目覚めたようね。この時を待っていたわ……!」
蘭子「たとえ記憶の牢獄が閉ざされても、我らの絆が断たれることはない。
貴方の魂は今もなお強く鼓動し、この終わらない暗闇にもやがて星々が瞬く。
我が友よ、最果てのさらなる向こう側へ、ともに行こう!」
P「…………えっと」
未央「つまりね、要約すると『これからもよろしく』ってこと」
美嘉「大丈夫、そのうちわかるようになるから」
アナスタシア「蘭子の言葉はロシア語を覚えるよりも簡単ですよ。……多分」
P「そ、そっか。まあ、その、こちらこそよろしく頼むな、蘭子」
蘭子「うむ! えへへ///」
118 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 21:21:41.36 ID:WLf+yO4T0
凛「……プロデューサー」
P「ん?」
凛「いつまで握ってんの」
P「……え?」
凛「手。そんな長々と女の子の手を握らないでよ。セクハラだから」
莉嘉「Pくんのエッチー」
P「え、……あ、いや、違う! 決してそんなつもりで握ったわけじゃ……!」パッ
蘭子(あっ……)シュン
美嘉「大丈夫、みんなわかってるから。凛の嫉妬だってわかってるから」
未央「しぶりんってああ見えて独占欲強いから、プロデューサー気をつけてね」
凛「……は、はぁっ!? ただ注意しただけじゃん!
別に嫉妬なんかしてないし! 誰が独占なんて!」
楓「そうやってむきになっていい返すところがまた……」
志希「見苦しー」
アナスタシア「ですね」
凛「〜〜っ! み、みんなだってそうじゃん!
みんなだってプロデューサーのことになるとすぐ目の色変えるくせに!!」
ギャー ギャー
愛梨「……」
愛梨「そっか、ありのままの自分でいいんだ」
愛梨「よぉし!」
119 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 21:23:04.90 ID:WLf+yO4T0
杏「……本当にいいの」
杏「杏を真人間にする唯一のチャンスかもしれないよ。後悔しない?」
P「後悔の仕様がない。だって、俺は杏を知らないんだからな」
杏「……そっか。そうだった。それじゃあ後悔したくてもできないね」
杏「ふふ、あはは」
P「ははは」
杏「はあ……。というわけで杏、ここのところずっと働き詰めで疲れちゃったから、
凛ちゃんのライブではステージの端っこでタンバリン叩いてる係でいいよ」
P「そんな係はない……って、愛梨? いつの間になんでそんな薄着に?」
愛梨「え? だってこの部屋暑くて……。
それにプロデューサーさん、今ありのままの自分でいいって」
P「いや、違うぞ! そんな意味でいったんじゃない!」
凛「プロデューサー!」
莉嘉「Pくんのエッチー!」
幸子「なんだかみなさん、順応早いですね……」
卯月「でも私、こっちのみんなの方がらしくて好きです」
まゆ「同感だわ。親しみ慣れた光景がようやく戻ってきたみたい」
…………………
………………
…………
……
120 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/21(水) 21:23:31.09 ID:WLf+yO4T0
続き明日
121 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/21(水) 21:36:23.74 ID:8+LmYrW2o
乙
おもしろいよー
122 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/22(木) 00:15:53.63 ID:vvdex8Qro
面白い
Pと両プロダクションのアイドルがどんな結論にたどり着くのか期待
123 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 12:49:26.15 ID:DnTx6MCm0
P「ほら、起きるんだ杏。収録に遅れる」
杏「うぅ、あと少し……もう、ご――」
P「五分も待てないぞ」
杏「……後日」
P「おい」
蘭子「我が友よ、刻(とき)は満ちた!
闇の愚者が集いし深淵の古城へといざ参らん!」バーン
P「や、闇の愚者? 深淵の古城? えーと、待ってくれ。
その言葉前にも出てきたな。確か……って、こら杏、寝るな!」
卯月「クスッ、杏ちゃんも蘭子ちゃんもすっかり元通りですね」
未央「だね。やっぱり今の二人の方がずっといいよ。
働き者の杏ちゃんなんて、こっちも調子狂っちゃうし」
凛「ふふ、いえてる」
未央「それにさ、最近のプロデューサー、すごくいい感じじゃない?
私たちのこと、ちゃんと知ろうとしてくれてるというかさ」
凛「うん、真剣に向き合ってくれるようになった」
卯月「はい! プロデューサーさん、とってもいい感じに……」
124 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 12:53:05.47 ID:DnTx6MCm0
P「愛梨、暑がりなのはわかったが、着替える時はもう少し人目を気にしてくれないか。
そうも容易く脱がれるとこちらも目のやり場に困るというか……」
愛梨「え? でも私、プロデューサーさんになら見られても平気ですよ?」
P「愛梨が平気でも俺が平気じゃない。
愛梨は自分がどれだけ魅力的な容姿をしているのか、少しは自覚した方がいい」
愛梨「私、プロデューサーさんの目にはそんなに魅力的に映ってるんですか。
えへ、嬉しいな///」
P「……あのな愛梨、俺がいいたいのはそういうことじゃなくてだな……」
125 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 12:55:19.45 ID:DnTx6MCm0
卯月「……いい感じに振り回されてますね」
未央「ま、まあ、最初はこんなもんでしょ。記憶が変わる前だって初めはこんなだったし」
卯月「そ、そうですね。でも私、嬉しいです!
ようやく私たちの日常が戻ってきたみたいで……」
未央「あとはしぶりんのシークレットライブに向けて突っ走るのみ! だね」
凛「二人とも、まるで全てが元通りみたいにいってるけど、
プロデューサーの記憶がまだ取り戻せてないから」
未央「あ、そ、そうだね、ごめん。
もちろんプロデューサーの記憶は取り戻さないとなんだけど……」
未央「……」
凛「未央?」
未央「なんかさー、自分でも不思議なんだけど、プロデューサー、今の状態が正常に見えるんだよね」
卯月「え……」
凛「正常って?」
未央「だからその……、
記憶のない今の状態が普通というか、私たちを知らなくて当然というか……」
凛「……」
卯月「じ、実は私も、未央ちゃんと同じように感じる時があって……」
未央「えっ、しまむーも?」
卯月「はい……」
未央「……マジ?」
凛「……そんなわけないじゃん」
凛「これが正常なわけない。
プロデューサーにはちゃんと、記憶を取り戻してもらわないと」
未央「だ、だよね? ごめん、変なこといって……」
卯月「私もごめんなさい……」
凛(……)
…………………
………………
…………
……
126 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 12:57:07.51 ID:DnTx6MCm0
P「空、だいぶ曇ってきたな。これは一雨降るかもしれないぞ」
凛「いいじゃん別に。たまには歩いて行こうよ。
次のロケ地まで歩けない距離じゃないんだし」
P「しかし傘がなぁ」
凛「折りたたみ傘ならあるよ。……降ってきたら入れてあげてもいいけど」
P「いいよ。近くのコンビニで買ってくるから少し待っててくれ」
凛「……あっそ」
…………
凛「あ、プロデューサー待って」
P「どうした」
凛「こっち」
P「……?」
127 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 12:59:35.49 ID:DnTx6MCm0
凛「ここの坂道、私が中学生だった頃の通学路なの」
P「へえ、そうなのか」
凛「2年生の春だったかな。学校の帰り、
今みたいに信号待ちしてたら誰かさんに声をかけられたの。
『アイドルに興味ありませんか』って」
P「……それって」
凛「差し出された名刺には『シンデレラガールズプロダクション』って
誰もが知ってる大手の芸能事務所。それから誰かさんの名前に肩書きは……」
P「……」
凛「話だけでも聞いてほしいっていわれたけど最初は断った。
その時はアイドルなんて大して興味なかったし、そういう世界にいる自分が想像できなかった。
結局、名刺も受け取らず仕舞い」
凛「だけどその誰かさんは次の日もその次の日も私をここで待っていて、
まるで相手にしない私を必死に説得するの」
128 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 13:01:11.82 ID:DnTx6MCm0
凛「いくら断っても毎日懲りずにやって来るんだから、
そのうち、うんざりしちゃって――」
『ねえ、アンタに私のなにがわかるわけ。
調子のいい言葉ばかり並べて、それで私がなびくとでも思ってんの?
子どもを相手にしてるからって無責任な台詞吐かないでくれる?』
凛「そしたらさ――」
『そう聞こえたのなら謝る。確かに君のことはわからない。
だけどこれだけははっきりいえる。
俺は、ステージで輝く君の姿を見てみたいんだ』
凛「笑っちゃうでしょ。誰もアンタの願望なんか聞いてないってのにさ」
凛「そう思わない? 誰かさん」
P「……」
129 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 13:02:32.35 ID:DnTx6MCm0
凛「でも、結局はその言葉が決め手だったかな。私がアイドルになる決意をしたのは」
P「……凛」
凛「プロデューサー、『記憶が戻らなくても』なんていわないでよ」
P「え……」
凛「この前、みんなを集めた時にいったでしょ」
P『たとえこの先、記憶が戻らなくても、この想いだけは決して変わらない』
P「ああ……。いや、あれは決意の表れというか、たとえでいっただけで」
凛「たとえでもいってほしくない」
P「……すまない」
凛「お揃いの記憶なのにさ、覚えてるのが私だけなんて寂しいよ」
P「……」
凛「ごめん、プロデューサーのこと責めてるわけじゃない。
記憶が一朝一夕で戻るなんて思ってないし」
凛「ただ、私にとってかけがえのない大切な記憶だから、
プロデューサーにとってもそうだったらいいなって」
凛「本当に大切なものならさ、
なにと引き換えにしても取り返したいって、そう思えるでしょ」
P「……そうだな、そのとおりだ」
凛「うん、そろそろ行こっか。さっきより曇ってきた。空がゴロゴロ鳴いてる」
P(……)
………
……
…
130 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 13:03:27.79 ID:DnTx6MCm0
杏「……」
志希「……」
P「二人とも、まだ帰ってなかったのか」
杏「だって見てよ、窓の外」
ザ――…………
P「土砂降りだな」
志希「さすがに帰る気失せちゃうよねー」
杏「梅雨明けたと思ったらこの雨だもん。やんなっちゃうよ」
P「そうだな。ここまでひどくなるとは思わなかった」
志希「雨の匂いは嫌いじゃないんだけどねー」
P「……そうだな。俺も嫌いじゃない」
131 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 13:04:24.07 ID:DnTx6MCm0
凛(すっかり遅くなっちゃった。卯月たち、もう帰ったかな)
凛(外、ひどい雨……。歩いて帰りたくないな)
凛(……あ)
凛「プロデュ――」
P「なあ、記憶が変わる前の俺ってどんな人間だった」
凛「……」ピタッ
132 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 13:07:23.07 ID:DnTx6MCm0
杏「変わる前?」
P「俺さ、凛をスカウトしたらしいんだ」
杏「ああ、うん、知ってる」
P「その時凛にかけた言葉がさ、なんていうか、その……、
俺がいいそうな台詞だなって」
杏「そりゃそうでしょ。プロデューサーがいったんだから」
P「まあ、そのとおりなんだが。ともかく、その話を聞いて思ったんだ。
以前の俺はどんな人間だったんだろうって」
志希(……)
杏「んー、変わらないかな」
P「変わらない?」
杏「うん、ずっと不思議だったんだよね。
杏たちCGプロの記憶がごっそりすり替わってるんだよ。
少なからずプロデューサーの人格にその影響が出そうなものじゃない」
杏「でも、それが全然ないんだよね。まるで変わってない。
違いなんてそれこそ記憶のあるなしくらいだと思うし」
杏「案外、記憶を変えたくらいじゃ、
その人の人格にまでは影響を及ばさないのかもね。ねえ? 志希ちゃん」
志希「さー?」
杏「さー? って……」
志希「志希ちゃんはフツーの女子高生だから難しいことはわからないのです」
杏「よくいうよ、このギフテッドは」
133 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 13:08:27.65 ID:DnTx6MCm0
P「……」
P(なにも変わらない、違うのは記憶だけ……)
P(記憶だけが違う……同一の人間……)
莉嘉『Pくんと一緒に写ってるのを色々持ってきたの! なにか思い出せるかなーって』
アナスタシア『前はよく天体観測をしていました。プロデューサーと二人で』
まゆ『プロデューサーさん、過去が消えることは決してありません。
プロデューサーさんがCGプロで過ごされた日々は確かに存在したんですから』
ちひろ『ええ。アイドルたちのことがなによりも大切で、
彼女たちを輝かせるためならどんな労力も惜しまない。
そんな人でしたよ、プロデューサーさんは』
凛『ナムコプロなんて……!
そんな居もしないアイドルなんかにいつまでも囚われないで!』
134 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 13:09:28.94 ID:DnTx6MCm0
「プロ――……」
「……――デューサー」
志希「プロデューサー!」
P「…………え」
志希「どしたの、大丈夫? 顔真っ青だよ」
P「……」
杏「私、もしかしてまずいこといった?」
P「いや……、なんでもない。少し立ち眩みしただけで」
杏「ほんとに? 無理してない?」
P「大丈夫。それより、二人とも寮住まいだったよな。
雨止みそうにないし、車で送るよ」
杏「いいの? 仕事は?」
P「今日はもう終わりにするよ。
千川さんにいってくるから先に駐車場で待っててくれ」
杏「う、うん」
志希「……」
135 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 13:10:32.15 ID:DnTx6MCm0
P「それじゃあ、お先に上がらせてもらいます」
ちひろ「はい、お疲れさまでした」
――トントン
P「ん……?」クルッ
P「凛? まだ残ってたのか」
凛「ちょっとね。これから帰るとこだけど」
P「それならちょうどいい。これから杏と志希を寮まで送るところだったんだ。
よかったら凛も一緒に送るけど」
凛「……うん。じゃぁ、そうする」
136 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 13:13:42.27 ID:DnTx6MCm0
ブウウゥゥン……
P「さて、誰から先に送ろうか。寮と凛の家、どっちが近いんだ」
凛「私も寮住まいだけど」
P「そうなのか。でも確か凛は元から東京住まいだよな。家が遠いのか」
凛「全然。家からでも普通に通える距離。
ただ寮の方が事務所に近いし交通の便がいいからそうしてるだけ。
それに一人暮らしもしてみたかったし」
P「一人暮らしか。CGプロの子たちは偉いな。
まだ十代の子が大半だというのに親元を離れて上京し、
ひとりアイドル活動を頑張ってる。立派だよ」
杏「そうでしょー。杏は自分で自分を褒めてやりたいくらいだよ。
プロデューサーも頑張る杏に褒美をくれてもいいんだよ?
主に休暇というかたちで」
P「そうだなあ。それじゃあシークレットライブを頑張ってくれたら、
7日くらいまとめた休暇が取れるよう、スケジュールを調整しようかな」
杏「7日!? マジで!? ウソつかない!!?」
P「ああ、約束するよ」
P(まあ、もとからその予定だったけど)
杏「おおう! 双葉杏、シークレットライブ頑張ります!!」
志希「にゃはは、杏ちゃん、卯月ちゃんみたーい」
凛「ひとりじゃないよ」
P「ん?」
凛「仲間のみんながいてくれるから頑張れるの。
プロデューサーだってそうでしょ」
P「そうだな。俺も凛たちがいてくれるから頑張れ……」
P「……」
凛「プロデューサー? どうしたの」
P「ああ、いや、それより寮までの道案内頼まれてくれるか」
凛「うん、いいけど」
P「……」
P(なんで俺、仲間と聞いて真っ先に凛たちを思い浮かべたんだ)
P(春香たちじゃなく……)
………
……
…
137 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 13:15:22.01 ID:DnTx6MCm0
凛「そこの交差点を右に曲がって」
P「交差点を右……」
凛「あとは道なりに進んでいくと……ほら、見えてきた」
P「もしかしてあれか?」
凛「うん、うちの寮」
P「……これは寮というより、高級マンションだな」
凛「私も初めて見た時は驚いた。40階立てで346戸あるんだって」
P「事務所の高層ビルといい、寮といい、
あらためてCGプロの巨大さを思い知らされるな……」
杏「アイドルって役得多い仕事だけどさ、CGプロ所属だとまた別格だよねー」
志希「ねー」
………
……
…
138 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 13:16:47.61 ID:DnTx6MCm0
P「なあ、本当に大丈夫なのか、俺が中に入っても。ここ男子禁制なんだろ」
杏「大丈夫でしょ、プロデューサー関係者なんだし。
ロビーまでならいいんじゃない」
凛「一応、管理人に許可取ってくる」
P「すまない」
卯月「あれ……、プロデューサーさん?」
未央「ほんとだ。プロデューサーじゃん」
P「卯月、未央」
未央「どったの、寮に来るなんて珍しいじゃん」
杏「雨ひどいから送ってもらったの。ついでの寮見学」
卯月「見学、ですか」
未央「そっか、記憶変わってからここに来るのは初めてか。
どう? すごいでしょ、うちの寮」
P「もう溜息しか出てこないよ。まさにシンデレラが住まう城って感じだ」
杏「まぁ、王子さま不在の城だけど」
P「二人も寮住まいなのか」
未央「うん。CGプロ所属タレントなら家賃タダだし、住まなきゃ損」
卯月「前にここに来たことは思い出せませんか」
P「……どうかな。正直、ここに来るのは初めてとしか思えない」
未央「そりゃあね。前のプロデューサーだって寮には滅多に来なかったし、
ここになにか特別な思い出があれば話は別なんだろうけどさ」
139 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 13:18:48.01 ID:DnTx6MCm0
莉嘉「あ! Pくんだー!」タッタッタッ ダキッ!
P「おっと、莉嘉? 莉嘉もここに住んでるのか」
莉嘉「そだよー。お姉ちゃんと一緒の部屋に住んでるの」
美嘉「この子に一人暮らしはまだ早いよ」
P「美嘉」
美嘉「ヤッホー。寮に来るなんて久しぶりじゃん、どうしたの」
莉嘉「遊びに来たの?」
美嘉「……!」
P「いや、さすがに遊びには来ないよ。ここ本当は男子禁制なんだろ」
莉嘉「大丈夫だよ、だって前にもうちに遊びに――」
美嘉「莉嘉!!!」ガバッ
莉嘉「〜〜っ」モガモガ
P「……俺、二人の部屋に行ったことあるのか」
美嘉「ないないない! そんなの一度もないから!!」
卯月「……」
未央「美嘉ねえ……」
美嘉「な、なによその目は。なんでもないっていってるでしょ……」
杏「派手な外見とは裏腹に中身はCGプロきっての乙女なくせに、
プロデューサーを部屋に連れ込むとは大したもんだ」
美嘉「だから違うっていってるでしょ!」
P「なあ、前に莉嘉に見せてもらった写真の中に
俺と美嘉が一緒に写っている写真があったけど」
美嘉「……!」ギクッ
P「あれってもしかして二人の部屋で撮ったものか」
美嘉「ア、アハッ★ 写真? なんのこと? そんなのあったっけ?」
杏「うわー、白々しい」
卯月「美嘉ちゃん、目が泳いでます」
未央「美嘉ねえ、もうバレてんだから白状して楽になりなよ」
美嘉「白状もなにもそんな写真知らないもん!」
未央「往生際悪いぞ、ニセ純情ギャル!」
凛「なに騒いでんの」
未央「しぶりん、いいところに! 実は美嘉ねえがさぁ……」
美嘉「わ――ッ!! ダメッ!! 凛にだけはいわな――」
莉嘉「お姉ちゃーん、Pくんがうち来たいってー」
美嘉「……」
凛「……どういうこと」
……
…
140 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 13:19:31.24 ID:DnTx6MCm0
つ
づ
き
よ
る
141 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/22(木) 13:47:03.37 ID:OTAX0q78o
おっつおっつ
142 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/22(木) 15:15:28.97 ID:x/qOcqPDO
あんた(美嘉)はここで、凛としぬのよ
143 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 20:27:30.54 ID:OiSWsscG0
莉嘉「Pくんいいよー、あがってー」
美嘉「いらっしゃい。ごめんね、待たせちゃって」
P「いや、俺の方こそ急に押しかけて……」
P(……)
美嘉「いいよ。プロデューサーの記憶のためだもん、協力する」
美嘉「……で、なんでアンタたちもいるわけ?」
卯月「えぇと、それはその……」
未央「後学のため?」
美嘉「なんの後学よ」
凛「なに、私たちがいると困ることでもあるの?」
美嘉「な、ないでーす……」
杏「あれ、そういえば志希ちゃんは」
144 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 20:31:28.45 ID:OiSWsscG0
P「……」
莉嘉「どう? Pくん。うちに来たこと思い出せない?」
未央「ねぇ、前にプロデューサーがここに来た時はなにをしてたの」
莉嘉「んとねー、フツーに喋ってー、写真撮ってー……、そのくらい?」
美嘉「うん、まぁ……。正直、特別思い出に残るようなことはなにも」
凛「プロデューサーがここに来ただけでも十分特別だと思うけど?」
卯月「どんなことを話したんですか」
莉嘉「コイバナ! Pくんに色々聞いたんだー。Pくんの前カノのこととかー」
未央「前カノ!? プロデューサー、彼女いたの!?」
P「……まあ」
凛「いつ!!?」
P「俺の記憶が正しければ、ナム……CGプロに就職して間もない頃じゃないか」
莉嘉「うん。でもソエン? だっけ?
それになっていつの間にかシゼンショーメツしたっていってた」
卯月「疎遠ですか」
美嘉「ほら、その頃はまだプロデューサーもかけ出しの新人だったから、
凛のプロデュースでいっぱいいっぱいで、
彼女にまで気をかけてやる余裕がなかったんだってさ」
莉嘉「それっきりずっとフリーなんだって。お姉ちゃんちょー喜んでた」
美嘉「莉嘉、余計なこといわない」
未央(な、なんだ……)ホッ
凛「……」
凛(つまりプロデューサーは彼女よりも私を優先してくれてたってこと……?)
凛「…………」
凛「ごめんねプロデューサー! 私のために彼女と別れることになって!」パァァッ
杏「謝ってるわりにはすんごい笑顔」
美嘉「ていうか、凛のために別れたわけじゃなくない?」
未央「ねね、他にはどんなこと聞いたの。
プロデューサーの恋愛事情とか超気になる」ウキウキ
莉嘉「えっとねー、他にはぁー……」
……
…
145 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 20:33:02.20 ID:OiSWsscG0
美嘉「じゃあ、いい? プロデューサー、いくよ?」
P「ああ」
――ギュッ
美嘉「ど、どう? ///」
P「……」
凛「はい、駄目ー。プロデューサーなにも思い出せないみたいだね、残念。
じゃぁ美嘉、さっさと離れて」
美嘉「ち、ちょっと待ってよ、早いって! まだ写真も撮ってないじゃん!」
凛「じゃあ早く撮れば? 撮って1秒でも早くプロデューサーから離れてよ」
未央「しぶりん、抑えて。言葉の端々から嫉妬が滲み出てる」
凛「だっておかしいでしょ! まるで恋人みたいに腕絡めちゃってさ!」
美嘉「こ、恋人だなんてそんな……///」テレテレ
凛「……」イラァッ
未央「しぶりん、堪えて。これもプロデューサーの記憶のためなんだから」
146 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 20:34:45.08 ID:OiSWsscG0
莉嘉「お姉ちゃん、Pくん撮るよー。はいチーズ……」
――パシャッ
未央「どれどれ、どんな感じ?」
卯月「大体前の写真と同じ感じで撮れてますね」
莉嘉「どう? Pくん。一緒に写真撮ったこと思い出せた?」
P「……いや」
未央・卯月・莉嘉「はぁ……」
未央「駄目かぁ。他にしてないことってなんかある?」
莉嘉「あとはぁー、ツアーの話とか?」
P「ツアー?」
美嘉「去年の秋から今年の春にかけてアリーナで全国回ってたんだ。
その時の写真見ながら思い出話なんかしてさ。
……ほら、これがその写真」
P「……この写真」
卯月「あ、ツアーファイナルで撮った集合写真ですね。私も自分の部屋に飾ってあります」
P「俺の部屋にも飾ってあったよ。大切な思い出か」
美嘉「一番の思い出だよ。アリーナツアーはアタシたちの夢だったんだから」
P「夢……」
美嘉「プロデューサーが叶えてくれたんだよ」
P「……俺は」
莉嘉「他にも写真いっぱいあるよ。見てみる?」
………
……
…
147 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 20:36:35.99 ID:OiSWsscG0
未央「結局、記憶は戻らず仕舞いかぁ。どうしたもんかね」
杏「気長にやるしかないでしょ。焦ったって仕様がないし」
P「……」
杏「ねえ、さっきから口数少ないけど、
あまり思いつめない方がいいんじゃないの」
P「……ああ、いや、そんなんじゃないんだ。ただ前の俺が羨ましいなって」
杏「羨ましい?」
P「俺には、みんなとの思い出がない。楽しかったことも辛かったことも、
共有しているのは全て前の俺だ」
杏「……」
未央「いやいやいや、思い出がないんじゃなくて忘れてるだけでしょうが」
莉嘉「Pくん元気出して。記憶なら絶対戻るって!」
P「……そうだな」
未央「ところで美嘉ねえとしぶりんは?」
卯月「凛ちゃんが美嘉ちゃんに話があるって二人で部屋に残ってます」
148 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 20:37:03.68 ID:OiSWsscG0
凛「美嘉さぁ、ちょっとプロ意識欠けてんじゃないの。
アイドルが部屋に男を連れ込むとかなに考えてるわけ」
美嘉「す、すみません……」←正座
凛「おまけになんなのこの写真。腕なんか組んじゃってさ。
フンッ、胸まで押し付けていやらしい!」
149 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 20:37:37.66 ID:OiSWsscG0
未央「あぁ……、よっぽどツーショット写真が羨ましかったんだろうね」
莉嘉「なんで? 写真くらい一緒に撮ればいいじゃん」
未央「しぶりん、あれでいて奥手なところがあるからなぁ。
好きな人に自分から告白できないタイプ」
150 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 20:38:52.09 ID:OiSWsscG0
P「すまなかったな莉嘉、こんなことに付き合わせてしまって。みんなも」
莉嘉「ぜーんぜん、またうちに来てよ。Pくんならいつでも大歓迎!」
P「歓迎してくれるのは嬉しいが、
プロデューサーの俺が進んで規則を破っては
他の男性スタッフに示しがつかないからな。今回限りにしておくよ」
莉嘉「えー、でも記憶戻すには同じこと繰り返さないといけないんでしょ?
もしかしたら次来た時はなにか思い出せるかもしれないじゃん」
P「それはそうかもしれないが規則は規則だからな。
莉嘉もどうして寮が男子禁制なのか、その理由はわかるだろ」
莉嘉「スキャンダルってのになるからでしょ。ちぇー、つまんないの」
151 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 20:42:29.00 ID:OiSWsscG0
杏「ねぇ、それならさ、
今度みんなでプロデューサーと思い出の場所とか巡ってみない?」
杏「なにも思い出があるのは莉嘉ちゃんだけじゃないんだし、
杏たちだってプロデューサーとの思い出があるんだから、
一つ一つ巡って記憶が戻るか確かめてみようよ」
未央「いいねそれ! 行こうよ、思い出巡り!」
卯月「私もプロデューサーさんとの思い出沢山あります!」
莉嘉「さんせーい! アタシも行きたい!」
杏「シークレットライブが終わったら7連休くれるんでしょ。
その時になったらみんなで一緒にさ。ね、いいでしょ」
P「気持ちは嬉しいが、休暇は自分のために使ってくれないか。
ただでさえみんなにはタイトなスケジュールをこなしてもらっているのに、
俺のために時間を割いては休暇を与える意味がなくなってしまうしな。
休める時にきちんと休んでおかないと俺の二の舞になるぞ」
未央「……これはすごい説得力」
杏「別に7日全部使ってやるわけじゃ……、2・3日くらいなら……」
P「みんなは楓さんと違って学生なんだから、仕事はなくても学校があるだろ。
7日とはいっても本当に休めるのは土・日くらいだ。
貴重な休みを俺のために消費してもらいたくないんだ」
未央「貴重な休みときましたよ、杏さん」
杏「……」
P「思い出巡りは次の機会にして、まずはしっかり英気を養ってくれないか」
杏「……プロデューサーが、そういうなら」
P「ありがとな、杏。俺のために」
152 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 20:44:42.09 ID:OiSWsscG0
P「それじゃあ、みんな、また明日。おやすみ」
莉嘉「バイバーイ。おやすみなさーい」
ブウウゥゥン……
未央「いやはやー、それにしてもさっきは驚いちゃった。
まさかプロデューサーのためとはいえ、
あの杏ちゃんが自分の休みを返上してまで協力しようとはねぇ。
明日は槍が降るかも」
杏「失礼な。杏だってそこまで薄情な人間じゃないよ。
優先すべき事情はちゃんと見極めてるつもり」
未央「……もしかして、プロデューサーの記憶障害のこと、
まだ自分のせいだって思ってる?」
杏「……」
卯月「でも、それは前にプロデューサーさんが……」
杏「『気にするな』といわれて『はい、そうします』とはいかないよ。
プロデューサーは優しいからああいうけどさ、
少なからず杏が記憶障害の原因になってるのは確かなんだから」
杏「蘭子ちゃんだって、きっとまだ気にしてるんじゃないかな」
未央・卯月・莉嘉「……」
杏「だからって杏のアイデンティティを壊すような真似は二度としないよ。
けど、プロデューサーの記憶を取り返すためなら休みの一つや二つ惜しくない」
卯月「杏ちゃん……」
莉嘉「杏ちゃん、エライ!」
153 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 20:51:37.50 ID:OiSWsscG0
杏「――と、思ってたんだけど、なんかよくわからなくなっちゃった」
卯月・莉嘉「へ?」
未央「わからなくなったって?」
杏「プロデューサー、どうして莉嘉ちゃんたちの部屋に行ったと思う?」
未央「そりゃ、記憶を取り戻すためでしょ」
杏「でもその割には消極的だったと思わない?
未央たちが主導で動いていたことを差し引いても、
プロデューサー自身は積極的に動こうとしなかったっていうかさ」
杏「思い出巡りだって本当なら断る理由なんてないはずじゃん。
杏たちもうすぐ夏休みなんだし、
2・3日休みがなくたって十分お釣りがくるよ」
未央「……いわれてみれば、確かに」
莉嘉「どーゆーこと? Pくん、記憶取り戻すのやめちゃったの?」
杏「そうかもしれないし、そうじゃないのかもしれない」
莉嘉「……ドッチ?」
卯月「つまり、記憶を取り戻すとは違う、別の目的があって、
プロデューサーさんは莉嘉ちゃんたちの部屋を訪れたということですか」
杏「杏はそう思った。
事務所を出る前、プロデューサーに聞かれたんだよね。
『記憶が変わる前の自分はどんな人間だったか』って」
杏「それで『記憶以外なにも変わらない』って答えたら、プロデューサー、顔真っ青」
未央「真っ青……ショックだったってこと? 変わらなかったことが? なんで?」
杏「わかんない。でもきっとそれが
莉嘉ちゃんたちの部屋に行った本当の理由なんだと思う」
杏「さっきプロデューサーがいってたじゃん、『前の自分が羨ましい』って」
杏「なんかさ、杏にはまるで、他人を羨んでるように聞こえた……」
154 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 20:54:53.04 ID:OiSWsscG0
ブウウゥゥン……
P「……」
P「……」
P「……どうすればいい」
志希「次の交差点を左に曲がればいいと思うよ」ヒョコッ
P「うわあっ!!!」
キキーッ!
志希「キャアッ!」
P「し、志希!? なっ!?」
志希「ちょっと前! 前! 対向車線はみ出してるって!」
155 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 20:56:08.85 ID:OiSWsscG0
P「ど、どうやって車に忍び込んだ。
まさか、寮で降りずにずっと車の中に潜んでいたのか」
志希「いやー、待つってあたしの性分じゃないね。
『忍耐』なんて言葉あたしの辞書には載ってないし」
P「君はいつも俺を驚かせてくれるな……」
志希「『驚きは、知ることの始まりである』ってね」
P「誰の言葉?」
志希「プラトン。ささ、落ち着いたなら発進どうぞ。
あ、ちょい待ち。助手席に移動させて」
P「どこへ連れいてくつもりだ」
志希「それは着いてからのお楽しみってことで。
それまでは志希ちゃんとステキな夜のドライブデートを
お楽しみくださいませ」
P「……君が未成年でアイドルでなければ楽しめたんだけどな」
156 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 20:57:29.92 ID:OiSWsscG0
志希「――ふーん、それで美嘉ちゃんの部屋に行ってたんだ。面白かった?」
P「……遊びに行ったわけじゃない」
志希「雨止んでよかったー。あ、次、右ね。曲がったらすぐだから」
P「……」
……
…
157 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 20:58:28.27 ID:OiSWsscG0
志希「とぉちゃーく。車ここでいいよ。降りて降りて」
P(……車庫?)
ガチャッ バタン
志希「今から魔法見せたげる」
P「魔法?」
志希「ゴホン、ゴホン。ん゛、ん゛んっ。えー、では……」
志希「開けー……にゃん!」ピッ
――シーン
P「……」
志希「にゃん! にゃん!」ピッ ピッ
志希「にゃん……」ピッ
志希「……」
P「……」
志希「……にゃんで?」
158 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 20:59:06.04 ID:OiSWsscG0
P「せーの……ふっ!」
ガラガラガラ ガシャン
志希「ふぅ……。ごめんねー、ここのガレージ古くてさー、
シャッター壊れちゃったのかな。リモコン利かなくなっちゃった」
P「シャッター下ろすぞ」
ガラガラガラ……――
159 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/22(木) 21:00:17.11 ID:mWjmEPD2o
にゃーん(笑)
160 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 21:01:03.55 ID:OiSWsscG0
志希「あらためまして、ようこそ、志希ちゃんの秘密基地へ」
P「秘密基地?」
志希「または研究室ともゆー。ここで香水作ってんだー。ちょいこっち来てみ」
志希「これ、志希ちゃんの夏の新作。
ブラッドオレンジのミドルノートが
ローズアブソリュートと交わって生き生きと香り立つの。
柑橘類と爽やかさの古典的な組み合わせだけど、この時期にはピッタリ」
P「ブ、ブラ……、アブソ……?」
志希「で、こっちがローズベースの花ずいだけで作ってみたパルファン。
ラズベリーとバーベナを添えてよりローズの香りが引き立つようにしてみたの。
苦労したんだー。出来は上々だけど面倒くさいからもう作らないけどね」
P「カ、カズイ?」
志希「でーでー、これが――」ペラペラ
P「……」
P(蘭子とは違った意味でなにをいっているのかわからない……)
161 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 21:02:45.15 ID:OiSWsscG0
P「――志希、この香水は?」
志希「お、それに目をつけるとはお目が高いですな」
志希「それはねー、ピザ」
P「ピザ?」
志希「自信作なんだー。嗅いでみ嗅いでみ?」
P「……」スンスン
P「……」
P「ピザだ」
志希「でしょ?」
P「なにに使うんだ」
志希「たとえばー……、ミーティングが長引いたりするでしょ?」
『少し休憩挟もっかー』
『お腹空いたねー』
『なにか食べるー?』
志希「――で、そんな時にこの香水をさりげなーく散布しておけば――」
『あれ? なんだか私、ピザが食べたくなってきた……』
『そうだ、ピザにしよう! そうしよう!』
志希「――ってな感じで、みんなを誘導できる」
P「……」
P「……じゃあ、これは?」
志希「それは香水じゃなくて惚れ薬」
P「惚れ……」
志希「未検証だから効果のほどはわからないけどね。
ねえ、それよりもお腹空かない? ピザでも取ろっか!」
……
…
162 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 21:05:07.23 ID:OiSWsscG0
志希「ふんふーん♪」パッパッパッ
P「タバスコかけすぎじゃないか」
志希「えー、そう? このくらいかけた方が美味しいよ?
そういうキミは食が進んでないみたいだけど、ピザはお嫌い?」
P「いや、好きだけど」
志希「あたしのことが? いやぁ、照れるなぁ///」
P「……」
志希「『どうすればいい』」
P「なにが?」
志希「車の中、キミのひとり言」
P「……ああ」
志希「食が進まないのはそれが理由? 美嘉ちゃんの部屋にキミの過去はなかった?」
P「……あったよ。結局は思い出せなかったけど」
志希「そっか」
P「……」
P(もしかして、と思った)
P(もしかして俺は本当に記憶障害に陥り、
765プロという妄想の産物を作り出していたとしたら)
P(だが、美嘉たちの部屋に入った瞬間、直感した)
P(あの部屋に、俺の過去はない)
P(美嘉たちの語る過去の俺は別人だ。俺にCGプロの過去はない)
163 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 21:06:34.36 ID:OiSWsscG0
P「そういえば、どうして俺をここに連れてきたんだ」
志希「キミに思い出をあげようと思ったの」
P「思い出?」
志希「いったでしょ、ここはあたしの秘密基地だって。
誰も知らない、あたしだけの場所」
志希「ここならキミだけの思い出ができるでしょ。
“前”のキミも知らない、正真正銘“今”のキミだけの思い出が」
P「俺だけの……」
志希「あ、ここのこと誰にも話しちゃダメだかんね。
今日からはあたしとキミの秘密基地なんだから」
P「はは、ありがとう……」
P「……」
P「なあ、もし俺の記憶がこのまま戻らなかったとしたら、
その時みんなは、そんな俺を受け入れてくれると思うか」
志希「……キミはどうなの」
志希「それでもキミは、あたしたちのそばにいてくれる?」
P「……俺は……」
…………………
………………
…………
……
164 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 21:08:25.53 ID:OiSWsscG0
P(765プロの存在、その確信は得た。だが取り返す術は依然わからない)
P(俺はなにを見落とし、なにに気づいていないのだろう……)
幸子「ほら、このポロシャツならカーディガンと組み合わせられますし、
ガーリーっぽさも出てると思うんですよね」
美嘉「でもそのカーディガンと組み合わせるなら
こっちのブラウスの方がイケんじゃない?」
莉嘉「アタシはこのワンピがイイって思うな!」
幸子「プロデューサーさんはどう思います?」
P「……え、ああ、そうだな、幸子に合いそうなのは……」
P(この子たちと向き合うと決めたのは765プロを諦めたからじゃない。
だけど、あれだけ切望していた765プロへの気持ちがいつしか薄れてしまっている)
P(本当は自分でも気づいているんだ。
765プロのみんなにはもう、二度と会えないんじゃないかって)
P(会えることなら今すぐにでも会いたい。
だけど今は、この子たちの行く末を見届けたいと思う自分がいる)
P(俺は選択を迫られているのではないのか。
この765プロのなくなった世界で、CGプロのプロデューサーとして生きていくことを)
P(765プロを、忘れて生きていくことを……)
165 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 21:09:25.46 ID:OiSWsscG0
ちひろ「プロデューサーさん、そろそろ」
P「はい」スッ
莉嘉「Pくん、どっか行くの?」
P「ああ、これから病院に」
美嘉「病院?」
幸子「な、なんで、まさか、症状が……」
P「違うよ、定期検査」
幸子「あ、な、なんだ……」
P「心配することはなにもないから。千川さん、あとはよろしくお願いします」
ちひろ「はい、気をつけていってらっしゃい」
ガチャッ バタン――
P(行ったって、意味なんかないんだけどな……)
………
……
…
166 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 21:10:26.46 ID:OiSWsscG0
P「ただいま戻りました」
ちひろ「おかえりなさい。どうでしたか、検査の方は」
P「千川さん、そのことでお話が……」
………
ちひろ「……そうですか」
P「このことはまだ内密に。
あの子たちには時機を見て俺から話を――」
ちひろ「あら?」
P「どうしました」
ちひろ「今、そこに人影が……」
…………………
………………
…………
……
167 :
◆nx90flyJCa6p
[sage]:2020/10/22(木) 21:16:39.09 ID:OiSWsscG0
続
き
明
日
168 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/22(木) 21:17:39.43 ID:OTAX0q78o
おっつおっつ
169 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/22(木) 21:18:21.96 ID:mWjmEPD2o
また明日
乙
170 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/22(木) 21:32:21.00 ID:x/qOcqPDO
実は平行世界とか
もしくは少しずれた過去(未来)の世界とか
171 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/22(木) 23:21:41.55 ID:LXXraw4Yo
乙
グリマス終わってモバマスをやってる俺の……うっ……うぅっっ……
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