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P「あいつらに会いたい」
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472 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/08(日) 00:27:42.62 ID:FlIW9w0M0
タッタッタッ…… ガチャッ
莉嘉「Pくん、生きてる!?」
P「えっ、う、うん、生きてるよ」
莉嘉「よかった〜」
未央「公演中にポックリいかれたらどうしようかと思ったよ」
美嘉「病気で死ぬみたいにいわないで」
473 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/08(日) 00:28:28.74 ID:FlIW9w0M0
P「みんな、あらためてお疲れさまでした。最高のミュージカルだった」
杏「そりゃよかった」
未央「これで……終わりなのかな」
楓「でしょうね」
美嘉「じゃ、最後に一言ずつ別れの挨拶して終わりにしよっか。
それくらいの猶予はあるでしょ」
474 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/08(日) 00:29:52.26 ID:FlIW9w0M0
卯月「プロデューサーさん、1年間お世話になりました」
未央「短い間だったけど楽しかったよ。元気でね」
杏「あんまり頑張りすぎないでね。杏くらいがちょうどいいんだから」
美嘉「今までありがと。765プロのみんなによろしくね」
莉嘉「バイバイ、Pくん。アタシをプロデュースしてくれてありがと。
Pくんののおかげで毎日がキラキラだった」
まゆ「どうかお元気で。
まゆはプロデューサーさんをいつも見守っています」
幸子「さようなら、プロデューサーさん。
世界一カワイイボクをプロデュースできて幸せでしたね。
……そうですよね?」
愛梨「時々でいいから、私たちのことを思い出してください」
蘭子「うむ、忘れてはならぬぞ、我らがいたことを」
アーニャ「忘れたらオバケになって出てきます」
楓「オクトバーフェストの夢はプロデューサーに託します」
志希「……ばいばい」
ちひろ「一年間お疲れさまでした。あなたは素晴らしいプロデューサーでした」
未央「ほら、しぶりんも」
凛「……」
P「……」フッ
P「みんな、今日までありがとう。みんなと出会えて本当によかった。
みんなのこと、絶対に忘れない」
P「凛も、ありがとう」
凛「……」コクッ
P「それじゃあ」
凛「プロデューサー、す――――
――――――――
―――――――
――――――
― ― ―
…………
……
…
475 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/08(日) 00:30:43.77 ID:FlIW9w0M0
春香「千早ちゃん?」
千早「春香、おはよう」
春香「おはよう。どうしたのこんな朝早くに。もしかして千早ちゃんも事務所に?」
千早「ええ、そういう春香も?」
春香「うん。せっかくのオフだけど家にいても落ち着かないし、
友達と遊んでいても心から楽しめないし、
なんか、自然と事務所の方へ足が向いちゃうんだよね」
千早「そう……」
千早「もう、一年になるのね。プロデューサーがいなくなってから」
春香「……」
476 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/08(日) 00:31:39.08 ID:FlIW9w0M0
小鳥「あら」
春香「おはようございまーす」
千早「おはようございます」
小鳥「おはよう。どうしたの、今日は二人ともオフだったわよね」
春香「なんだか家にいても落ち着かなくて、
ちょっと事務所にお邪魔させてもらおうかなぁって」
千早「迷惑のかからないようにしますので、いさせてもらえませんか」
小鳥「それは構わないけど……」
477 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/08(日) 00:32:14.62 ID:FlIW9w0M0
カチッ ガチャッ
小鳥「……!」
ドサッ
春香「小鳥さん? 鞄落としましたよ」
小鳥「プロデューサーさん……」
春香「え……」
千早「……!」ハッ
P「……」
春香「プロデューサーさん!!」
…………
………
……
…
478 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/08(日) 00:33:08.73 ID:FlIW9w0M0
P「……」パチッ
P「……」
P「……!」
P「はっ」ガバッ
P「ここは……病院……?」キョロキョロ
P「どうなったんだ、みんなは……」
――ガチャッ
P「……!」
春香「……!」
P「は、春、香……?」
春香「……っ」ブワッ
春香「うっ、うぅ……」
千早「春香、もう少ししたらみんなもこっちに来――」
千早「……!」
P「……!」
千早「プロデューサー……」
P「あ……」
479 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/08(日) 00:33:39.88 ID:FlIW9w0M0
タッタッタッ――
「何号室!?」
「502号室!」
「早く早くっ!」
「コラッ、病院は走らない!」
「あった、ここだ――!」
480 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/08(日) 00:34:23.24 ID:FlIW9w0M0
――ガチャッ!
P「……!」
一同「……!」
美希「ハニ〜〜〜ッ!!」ガバッ
P「わっ、み、美希!?」
真美・亜美「兄ちゃ〜〜ん!!」ガバッ
P「真美、亜美?」
やよい「プロデューサ〜、よがっだ〜!」ウワーン!
伊織「このバカッ! 今までどこほっつき歩いていたのよっ!」
響「すっごく心配したんだからねっ!」
律子「あんたたち病院は静かにしなさい!」
貴音「律子嬢もお静かに」
雪歩「プロデューサー……」グスッ
真「はは、ほんとにプロデューサーだ……」
あずさ「プロデューサーさん……」ウルッ
P「みんな……」
高木「キミ……」
P「社長……」
481 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/08(日) 00:35:29.54 ID:FlIW9w0M0
P「――俺が、一年もの間、行方不明……」
伊織「そうよ。水瀬の総力を挙げて世界中捜し回ったんだから」
P「それで今朝、事務所で倒れていた俺を春香たちが発見し、現在に至ると……」
P「美希、いいかげん離れてくれ」
美希「やっ! 絶対離さないの!」ギュッ
P「……警察に捜索願を届け出なかったのか」
律子「もちろん出しましたよ。
けど、事件性は薄いと判断されて捜査までには至らず」
P「世間に公表は」
高木「していない。
本当は会見を開いて広く情報を募ろうとしたんだが、
キミのご両親に固辞されてね」
高木「『息子なら必ず帰ってくる』と、そう仰られていたよ」
P「そうですか……」
482 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/08(日) 00:36:25.05 ID:FlIW9w0M0
貴音「この一年間、どこでなにをなされていたのか、
本当に覚えていらっしゃらないのですか」
P「……ああ、覚えていない」
響「自分たちがどんな活動をしていたのかも?」
P「全く知らない」
真「でも去年起きた世の出来事は知っているんですよね」
P「多少なりの記憶違いはあるだろうけどな。
概ね、みんなの記憶と一致していると思う」
雪歩「不思議ですね。
そんなピンポイントで記憶を失くしちゃうなんて」
真美「そっか。兄ちゃんは知ってはいけないことを知ってしまったんだね……」
亜美「謎の組織に拉致され、記憶を抹消されてしまったと……」
やよい「知ってはいけないことって?」
真美「それはぁ……あれだよ。
やよいっちがもやし炒めに使う秘伝のタレとか」
やよい「別に秘伝じゃないよ? スーパーで売ってる普通のソースだもん」
483 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/08(日) 00:37:18.71 ID:FlIW9w0M0
P「それにしても真美も亜美も一年見ない間に随分と大人びたな。驚いたよ」
真美「でっしょー? 真美、育成に大成功ー! って感じだよー。
これは将来あずさお姉ちゃんを超える器かもしれんね」
亜美「兄ちゃんを悩殺できる日も間近だぜぇ」
美希「ハニー、ミキは? ミキもグッと大人っぽくなったでしょ?
もう15歳だよ? 結婚する?」
P「しません」
真「プロデューサー、ボクはどうですか。
前より女の子っぽくなったと思いません?」
P「ああ、真、髪伸ばしたんだな。ボーイッシュな印象が大分薄れたよ」
真「でしょ! 本当はもう少し伸ばしたいんですけど
みんなに止められているんです」
美希「だってそれ以上伸ばしたら王子さま感なくなっちゃうもん」
雪歩「うん、真ちゃんは今くらいが丁度いいよ」
P「あずささんはショートに変えたんですね。思い切りましたね」
あずさ「はい、自分では結構気に入っているんですけど、どうでしょうか」
P「もちろん似合っています。伊織もそのヘアスタイル似合っているよ」
伊織「当然じゃない」
484 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/08(日) 00:38:33.35 ID:FlIW9w0M0
P「律子のそのスーツ姿は」
律子「申し遅れました。
私、765プロダクション・プロデューサーの秋月律子と申します」
P「完全にアイドルから転向したんだな」
律子「あなたがいないのに誰がこの子たちをプロデュースするんです?」
P「律子一人でみんなを見ていたのか。よく一人で持ち堪えたな」
律子「もちろん私一人の力ではありません。
社長が、小鳥さんが、アイドルのみんなが協力してくれたおかげです」
高木「律子くんも新米プロデューサーとは思えない働きをみせてくれてね。
キミの抜けた穴を見事に埋めてくれたよ」
P「へぇ、すでに俺を追い抜いたんじゃないか」
律子「まさか。周りの助けがなかったらすぐ潰れていましたよ」
P「それは俺だって同じさ。よく頑張ったな、律子」
律子「ま、まぁ、どうも……//」
美希「でも律子、オニみたいに厳しいの。ミキはやっぱりハニーがいいの」
律子「律子?」
美希「さん」
485 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/08(日) 00:40:02.32 ID:FlIW9w0M0
P「スクール生のみんなは今どうしています」
高木「765プロ所属アイドルとして元気に活動しているよ」
P「無事全員と契約できたんですね」
亜美「そうだ、聞いて聞いて兄ちゃん。亜美ね、今、
いおりんとあずさお姉ちゃんと一緒にユニット組んでんだよ。
『竜宮小町』っていうの」
亜美「捕まってた謎の組織で聴かなかった? 『SMOKY THRILL』って曲。
知らぬが〜♪」
伊織「こら、病院で歌わない」
律子「みんな、そろそろ時間よ。もう行かないと」
P「仕事か」
律子「はい、みんな仕事の合間を縫ってここに駆けつけたもので。
春香と千早はオフですけど」
千早「プロデューサーがお疲れなら私たちも帰ります」
P「いや、至って元気さ。なんなら今すぐ退院して事務所へ戻りたいくらいだ」
律子「だめですよ。精密検査して健康状態が確認できるまでは退院させませんから」
伊織「うちのボディーガードもつけておくわよ。
本当に誘拐されていた可能性もあるんだから。
用がある時は彼らを呼びなさい」
あずさ「それではプロデューサーさん、失礼します」
雪歩「ほら、美希ちゃんも行こ」
美希「やっ! ミキもここに残るの!」
真「響、美希をプロデューサーからはがすの手伝って」グイッ
響「ほ〜ら美希〜、仕事の時間だぞ〜」グイッ
美希「あ〜ん、ハニ〜ッ!」ズルズル……
486 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/08(日) 00:41:07.41 ID:FlIW9w0M0
P「相変わらずだな。なんか、戻ってきたって実感するよ」
春香「あはは」
P「二人は元気だったか」
春香「はい、とっても元気に――!」
春香「…………元気な、振りをしていました」
P「……」
春香「プロデューサーさんならきっと大丈夫、必ず戻ってくる、
そう信じてこの一年間頑張ってきました」
春香「でも、ふとした時にやな想像しちゃって、
プロデューサーさんが危険な目にあっていたらどうしよう、
二度と会えなくなったらどうしようって」
春香「そう思うと不安で、心配で、胸が苦しくてっ……!」ボロボロ
P「春香……」
春香「私、わだぢっ、
プロデューサーさんが無事に戻っでぎでぐれで本当によがっだ〜」ウアーン
千早「春香、泣きすぎ」
P「ごめんな、心配をかけた」
P「俺も、みんなとまた会えて本当に良かった」
………………
……………
…………
………
……
…
487 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/08(日) 00:42:50.61 ID:FlIW9w0M0
――ガチャッ
小鳥「お帰りなさい、プロデューサーさん」
P「ご無沙汰です、音無さん。ただいま戻りました。
今まで大変な心配と苦労をかけました」
小鳥「いえっ、プロデューサーさんがご無事でっ、本当にっ……!」ブワッ
春香・雪歩・やよい「うえ〜〜」
伊織「なんであんたたちも泣くのよ」
亜美「兄ちゃん、こっちこっち」
亜美「紹介するね。765プロの新しい仲間のみさきちだよ」
美咲「初めまして。今年の春に入社した青羽美咲です。
主に劇場の事務員としてみなさんのサポートをさせていただいております」
P「話は聞いています。これからよろしくお願いします、青羽さん」
美希「美咲すごいんだよ。ライブの衣装作ってくれるの」
貴音「職人と見違えるほどの腕前です」
伊織「明らかに就職先間違えてるわよね」
律子「こら」
美咲「いえ、もともとかわいい衣装を着るアイドルが大好きでしたから。
765プロに就職できて本当によかったです」
488 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/08(日) 00:43:33.75 ID:FlIW9w0M0
真美「どーお、兄ちゃん。1年ぶりの事務所は」
P「……空っぽじゃない」
真美「え?」
P「いや、全てが懐かしいよ。なにも変わってないな」
律子「プロデューサーのデスクもそのままにしてありますよ」
小鳥「やよいちゃんが毎日、プロデューサーさんのデスクを拭いてくれたんですよ」
P「ありがとな、やよい」
やよい「えへへ、プロデューサーがいつ戻ってきてもいいように、
ピカピカにしておこーって」
489 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/08(日) 00:44:19.01 ID:FlIW9w0M0
P「……!」スッ
あずさ「それ、企画していたミュージカルの台本ですね」
雪歩「そういえばミュージカルの話をした翌日でしたね、
プロデューサーがいなくなったのは」
響「確かその台本ってところどころ台詞が抜けてて、
後半はページ全部真っ白だったよね」
P「……」ペラッ
千早「でもこれ、ちゃんと台詞が書かれていますね。
白ページもないみたい」
真「別の台本ですか」
P「……わからない」
P「『企画していた』ということは、このミュージカルはやらなかったのか」
律子「はい、永久凍結にしました」
P「なんでまた」
律子「大切な者を失くすのは、もうこりごりですから」
………………
……………
…………
………
……
…
490 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/08(日) 00:46:08.42 ID:FlIW9w0M0
P(どうやら世界は元に戻ったらしい)
P(この世から、CGプロの痕跡が跡形もなく消えている)
P(あらゆる情報媒体を調べてもCGプロに関する情報は一切見つからず、
CGプロのビルや女子寮が建っていた敷地には全く別の施設が建っていた)
P(家の写真立てに飾っていた凛のシークレットライブの集合写真は、
765プロのみんなで撮った花見の集合写真に戻っていた)
P「律子、シンデレラガールズプロダクションって知っているか」
律子「いえ……、初めて聞きますけど、芸能プロダクションですか」
P「いや、知らないならいいんだ」
P(俺は大切な者を取り戻し、そしてまた、大切な者を失った)
P(だが不思議と寂しくはなかった)
P(必ずあいつらとまた会える。なぜかそんな気がしてならなかった)
………………
……………
…………
………
……
…
491 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/08(日) 00:46:45.91 ID:FlIW9w0M0
未来『みんなーっ、ありがとーっ! また会おうねーっ!』
ワァーッ!
492 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/08(日) 00:47:47.07 ID:FlIW9w0M0
未来「プロデューサーさーん!」
加奈「どうでした? 私たちのステージ」
P「よかったよ、正直驚いた。
スクール生だった頃とは比べものにならないくらい、
歌もダンスも上手くなっている。二人とも成長したな」
未来「でへへ〜」
加奈「えへへ〜」
静香「プロデューサー」
志保「二人を甘やかさないでください」
未来「はっ! 静香ちゃん!?」
加奈「志保ちゃん!?」
静香「未来、あなたまたBメロの出だしを右足から始めたでしょ。
Bは左足からだって何度間違えれば気が済むの」
志保「加奈、サビの音程が外れていたわよ。
気持ちよくなるとすぐ周りの音が聴こえなくなるんだから」
静香・志保「帰ったら反省会よ」
未来・加奈「あわわわっ」
P「はは……」
493 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/08(日) 00:48:34.93 ID:FlIW9w0M0
P「しかし本当に『見ないうちに』ってやつだな。
まさかここまで力をつけているとは思わなかったよ」
律子「去年はとにかく場数を踏ませましたからね。
ライブの数でいったら春香たちよりも多いくらいです」
律子「あの子たちもあなたの帰りをずっと待っていました。
あなたが帰ってくるまでにうんと力をつけて驚かせてやろうって」
P「……それなら、彼女たちの努力に報いなければいけないな。腕が鳴るよ」
律子「期待していますよ、プロデューサー殿」
……………
…………
………
……
…
494 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/08(日) 00:49:38.96 ID:FlIW9w0M0
P「どうだった、ここのラーメン」
貴音「真に美味しゅうございました。黄金色に輝くスープはまさに絶品。
東京の名高いらぁめん店は全て網羅したと思っておりましたが、
まだ私の知らぬ名店があるようですね」
P「連れて来れてよかった。
偶然通りかかった時にここを見つけたんだ」
貴音「それはいつの話で」
P「えっ…と、いつだったかな。だいぶ前だったから覚えてないな」
貴音「……あなた様がいなくなる前、私たちは東京中のらぁめん店を巡りました。
二人で調べ上げ、知り得た情報を共有し、そこに齟齬はなかったはず」
貴音「それなのに、私は今日までここのらぁめん店を存じておりませんでした」
貴音「あなた様の仰る『だいぶ前』とは、
あなた様がいなくなった『後』の話ではないでしょうか」
P「……敵わないな、貴音には」
495 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/08(日) 00:52:58.76 ID:FlIW9w0M0
貴音「やはり、覚えておられていたのですね」
P「貴音は知っているんじゃないのか。俺がこの一年、どこでなにをしていたのか」
貴音「あなた様は少し、私を誤解されているようですね」
貴音「確かに私は謎多き乙女と自負しておりますが、
なにも不思議な力が備わっているわけではありません」
貴音「もしかような力が備わっていたのなら、このような事態にさせておりません」
P「それもそうだな」
P「……いろいろあったんだ。面妖なことが」
貴音「どうやらそのようで。無理に真相を聞き出すことは致しません。
誰しもトップシークレットの一つは持っているもの。
時には明かさず、胸のうちに秘めておくことも大切です」
P「……ありがとな、貴音」
貴音「では、もう数軒梯子しましょうか」
P「えっ」
………
……
…
496 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/08(日) 00:53:48.75 ID:FlIW9w0M0
貴音「ふぅ、お腹と心が満たされました。
こうして再びあなた様とらぁめんを食べることができて、
私は大変嬉しく思っておりますよ」
P「……俺もだよ……」ウップ
貴音「夜風が涼しいですね。ゆっくり歩いて帰りましょうか」
P「あ、ああ」
P(……ん)
P(花屋がある)
――今、似合わないって思ったでしょ
P「……」
貴音「どうされました」
P「いや、なんでもない。行こう」
P(まさかな。いるわけがない)
497 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/08(日) 00:54:28.24 ID:FlIW9w0M0
「……」
「ねぇ、ちょっとそこの花器運ぶの手伝って」
「……うん」
………………
……………
…………
………
……
…
498 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/08(日) 00:55:07.34 ID:FlIW9w0M0
律子「プロデューサー、以前よりもタスク管理が上手くなっていません?」
小鳥「ほんと、ブランクがあるとは思えない仕事ぶりですね」
P「そ、そっか? 一年分の遅れを取り戻そうと必死なだけだよ」ハハ……
高木「キミたち、私の部屋まで少しいいかね」
P・律子・小鳥「はい」
真美・亜美「……んっふっふ〜」キラーン
499 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/08(日) 00:55:43.84 ID:FlIW9w0M0
真美「……」ピターッ
亜美「……」ピターッ
貴音「真美、亜美、また社長室に聞き耳を立てて。
律子嬢に気づかれたら雷が落ちますよ」
響「聴診器まで持ち出してやりすぎだぞ」
亜美「ちっちっち。聴診器は最先端のトレンドアイテムなんだぜ。
アイドルたるもの流行にビンカンでなくてはいけませんなー」
貴音「なんと、それは真ですか」
響「真じゃないぞ」
真美「……えっ、兄ちゃんが346プロに?」
貴音・響「……?」
500 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/08(日) 00:57:03.12 ID:QSMr9x7N0
>>492
可奈警察だ!お縄につけ!!👮♂️
内容は素晴らしいぞ!
501 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/08(日) 00:57:06.57 ID:FlIW9w0M0
P「わかりました、では俺が――」
ドア バーンッ!!!
一同「だめ〜〜〜っ!!」バタバタバタッ
P「……!」ビクッ
春香「反対! 絶対に反対ですよ、反対!」
伊織「一体なに考えてるのよ!
プロデューサーを346プロに移籍させるなんて!」
あずさ「そんなこと、私たちは到底受け入れられません!」
雪歩「せっかくみんな揃ったのに……」
美希「ハニーが346プロに行くならミキもついていくの!」
ギャー ギャー
高木「キミたち落ち着きたまえ、誤解しているよ。
一時的に346プロのプロデューサーになってもらうんだよ」
響「一時的?」
高木「346プロが新しくアイドル事業に進出することになってね。
その新人アイドルたちを期限付きで彼にプロデュースしてもらうんだ」
一同「……」
真「じゃぁ、プロデューサーが765プロを辞めるわけじゃないんですね」
P「辞めないよ」
亜美「な、なんだ、もー、驚かさないでよー」
真美「まったく人騒がせですなー」
伊織「それはあんたたちよ」
律子「真美、亜美、また盗み聴きしていたわね」
真美・亜美「……逃げろー!」ピューッ
律子「くぉらっ、待ちなさーいっ!」
502 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/08(日) 00:58:43.45 ID:FlIW9w0M0
千早「あの、どういった経緯で346プロのアイドルを?」
高木「実はかつてない大規模なフェスが計画されていてね、
今回はそこに複数の事務所からなる
スペシャルユニットを参加させたいと思っている」
高木「まだ確定ではないが、
我が765プロと283プロ、そして346プロの3社で組むことになる」
真「283プロって確かそこも新しく出てきた事務所ですよね」
高木「うん、新興ながら今一番勢いに乗っている事務所だね。
キミたちに引けを取らない実力を備えたアイドルたちが沢山いる」
伊織「そんな中に346プロのアイドルを混ぜて大丈夫なの?
デビューすらまだなんでしょ」
高木「フェス開催はちょうど一年後。
それまでにキミたちと同じステージに立てる力をつけてもらう」
伊織「たった一年で?」
高木「現にキミたちは一年でトップアイドルを目指せる位置まで上り詰めた。
そしてそのアイドルを育てたプロデューサーがここにいる」
503 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/08(日) 00:59:32.23 ID:FlIW9w0M0
千早「プロデューサーの腕が確かなのは
プロデュースをされている私たちが一番よくわかっています」
千早「けど、プロジェクトのためとはいえ、
ライバル事務所のアイドルを育てる義理はないと思いますけど」
響「同感だなー。ペットは責任持って自分で育てないと」
真「ペットじゃないし」
高木「キミたちのいいたいこともわかるがこれもアイドル界を盛り上げるた――」
伊織「ビジネスのためだってはっきりいえば?」
高木「……うん」
504 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/08(日) 01:00:32.17 ID:FlIW9w0M0
伊織「ま、別にいいじゃない。会社の利益になるなら」
千早「水瀬さん、結構ドライなのね」
伊織「現実を見ているだけよ」
美希「ミキはヤだな。
やっとハニーが戻ってきたのにプロデュースしてもらえないなんて」
P「大丈夫、みんなのこともちゃんとプロデュースしていく。
一緒にいてやれる時間は確かに少なくなるけど、今は律子だっているし」
P「それに純粋に楽しみなんだ。
ライバル事務所のアイドル同士でユニットを組めることが」
P「美希やみんながその中でどんな輝きを放てるのか見てみたいんだ」
美希「……」
高木「向こうのアイドルをうちで預かるかたちになるから、
彼と会えなくなるわけではないよ」
美希「……浮気しちゃだめだからね」
高木「早ければ来週からプロデュースが始まる。
顔を合わす機会もあるだろうから仲良くしてあげてほしい」
春香「どんな子たちなんだろうね」
やよい「会えるのが楽しみですねー!」
…………
………
……
…
505 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/08(日) 01:03:09.61 ID:FlIW9w0M0
律子「本当に引き受けちゃってよかったんですか。
うちのアイドルだけでも51人いるのにさらに13人ですよ。
ちゃんとプロデュースしていけるんですか」
P「なんなら律子もアイドルに復活していいんだぞ」
律子「茶化さないでください」
P「わるい。だがみんなを信頼しているからこそ引き受けたんだ」
P「今回の件で俺がいなくてもみんなは成長できることを証明してくれた。
俺の力なくしてもトップアイドルを目指していける」
律子「……なんか、別れ際の台詞みたいに聞こえるんですけど」
P「俺が想定していた以上に律子の腕が確かだったってことだ」
律子「……」
P「今年は律子のやりたいようにプロデュースしてみるといい。
俺が全力でバックアップするから」
律子「あ、ありがとうございます……//」モジモジ
律子「そ、それにしても346プロのアイドルってどんな子たちなんでしょうねっ!」
P「かなり個性豊かな面々と聞いているけど」
律子「個性でうちのアイドルたちの右に出る者なんていないと思いますけど」
P「確かに」クスッ
………………
……………
…………
………
……
…
506 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/08(日) 01:04:48.33 ID:FlIW9w0M0
――ガチャッ
P「お疲れさまです、ただいま戻りました」
小鳥「あ、お帰りなさい、プロデューサーさん。
ちょうどいいタイミングで戻りましたね」
P「……?」
小鳥「つい先ほど、346プロのアイドルたちが到着したところです。
みんな社長室にいますよ」
P「そうですか、どんな子たちだろ」
小鳥「プロジェクト資料も届いてますけど見ます?」
P「ありがとうございます」
P「……」ペラッ
P「……!」
507 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/08(日) 01:05:50.46 ID:FlIW9w0M0
――コンコン ガチャッ!
P「失礼します!」
高木「おお、キミか」
高木「ちょうどいい、紹介しよう。
彼がキミたちを担当するプロデューサーだ」
「ふーん、アンタが私たちのプロデューサー?」
――――まぁ、悪くないかな
おわり
508 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/08(日) 01:16:59.20 ID:zugngacLo
真よき物語でした
お疲れさま、ありがとう
509 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/08(日) 01:32:24.17 ID:gbm+aVr2o
乙!
510 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/08(日) 01:53:05.96 ID:w0Cn4U+go
乙!
いやー、綺麗に纏まりましたな
511 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/08(日) 01:59:32.69 ID:Ja1CP0iio
おつ
512 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/08(日) 02:04:04.89 ID:5ib1Mxtuo
乙
513 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/08(日) 02:28:33.65 ID:V207Qb8x0
乙
514 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2020/11/08(日) 02:32:10.39 ID:gFry4XzC0
こんないいアイマスssは久しぶりに見たな
15周年記念の劇場版を観たような気分です
本当に一さん乙!ありがとう
515 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2020/11/08(日) 03:29:33.69 ID:gFry4XzC0
こんないいアイマスssは久しぶりに見たな
15周年記念の劇場版を観たような気分です
本当に一さん乙!ありがとう
516 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/08(日) 03:51:03.86 ID:GDbEldho0
お疲れさまでした!
Pが「ちょっと違う世界」に転移してプロデュースするSSは色々と名作があるけど
これも本当に素晴らしい名作でした
最初の時の記憶の混同のゾクゾクするホラー感が良かったです
向こうの世界ではまた元のPに戻ったのかな
517 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/08(日) 10:09:31.83 ID:FlIW9w0M0
長いことお付き合いしていただき誠にありがとうございます
お暇なら大分昔に書いたこっちもよろしく
↓
春香「ムラムラするなぁ」
美希「神さま、お願いします」
518 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/08(日) 13:58:07.33 ID:3JRsFS0nO
良かった…
519 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/09(月) 01:42:12.59 ID:8gKXGPbyo
>>517
過去作もご馳走様でした
520 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/01/11(月) 00:44:41.04 ID:5H17Ilgb0
忙しくてリアタイでは追えなくて、ブクマだけしてたら読み終わるのが大変遅くなってしまいました…
けど、一度読み始めたら一気に読んでしまうくらい面白かったです。
遅ればせながら、お疲れさまでした!
521 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/01/22(金) 07:10:37.77 ID:tEYBmJiDO
すばらしい!の一言
感想アレコレ語ると止まらなくなりそうなんであえてこの一言を送ります!
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