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P「あいつらに会いたい」
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272 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/27(火) 20:55:29.40 ID:Ahx16JAs0
今
日
は
こ
こ
ま
で
273 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/27(火) 20:57:06.10 ID:06WLivMso
おおう
乙
274 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/27(火) 22:28:07.87 ID:yOkpNvpCo
乙乙
275 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/27(火) 23:46:49.45 ID:ErZJk3SjO
8時ちょうどではなかったね
276 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/28(水) 20:13:01.34 ID:cAnkqGWC0
卯月「プロデューサーさん!」ヒョコッ
P「お、おぉ、どうした卯月」
卯月「えへー……実はぁ」ゴソゴソ
「じゃーん! プロデューサーさんっ! クッキーですよっ! クッキー!」
卯月「私の手作りなんです、よかったら食べてください。
ママに教わって作ったんで味は――」
P「春香」
卯月「――保証……え?」
P「あ、ああ、いや……、
へえ、美味しそうじゃないか。それじゃあ一つ……」サク サク
P「……美味しいよ」
卯月「本当ですか! よかったぁ!」
P「なんだろう、ひどく懐かしいような……」
…………………
………………
…………
……
277 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/28(水) 20:14:47.44 ID:cAnkqGWC0
幸子「こひゅぅ〜………こひゅぅ〜……」
P「幸子、幸子」ユサユサ
幸子「……ハッ! プ、プロデューサーさん!?」
P「大丈夫か、過呼吸気味になってるぞ」
幸子「だ、大丈夫、少し緊張しているだけです。
この緊張感が堪らなく、フ、フフ、フ……」
P「無理しなくていいんだぞ。他のキャストに代わってもらっても」
幸子「いえ……、ボクもプロです。覚悟はできています」
幸子「ファンのみんながカワイイボクの絶叫シーンを待ち望んでいるんです。
たかがバンジージャンプ……、三途の川に飛び込むくらい楽勝ですよ!」
P「それは駄目なのか楽勝なのかどっちなんだ」
幸子「楽勝です! そう――」
「なんくるないさー!」
幸子「――ですよ!」
幸子「知っていますか、今の言葉。
琉球方言で“なんとかなるさ”という意味だそうです。
前の沖縄ロケで、民宿を営んでいるご主人から教わったんです」
「輿水さん、スタンバイお願いします」
幸子「はい! それでは行ってきます!」
P「あ、ああ……」
ナンクルナイサ…… ナンクルナイサ…… ナンクルゥウワアアアアアアアアアアアアッ!!!
P「……」
…………………
………………
…………
……
278 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/28(水) 20:16:28.96 ID:cAnkqGWC0
莉嘉「Pくーん! なにこの衣装、ちょっとヤバすぎだって!」
『うあうあ〜! 兄ちゃん、この衣装激ヤバっしょ〜!』
莉嘉「ほらっ、胸のとこ開きっぱだし、
スカートなんかスケスケで大事なとこ全然隠せてないし!」
莉嘉「莉嘉はこういうエッチなのじゃなくて、
お姉ちゃんみたいにカッコよくてセクシーな衣装が着たいの! この違いわかる!?」
『真美はこういうエロエロのじゃなくて、
大人の色気満載のセェクスィーな衣装が着たいの! この違いわかる!?』
莉嘉「てゆーか、こんなの莉嘉に着せたらPくんハンザイ……」
P「……」
莉嘉「Pくん? どしたの?」
P「え、ああ……。それ、中に着るものがまだあるから」
莉嘉「えっ、そーなの?」
P「俺が莉嘉にそんな格好させて人前に出させるわけないだろ」
莉嘉「なーんだ、ビックリしたー……、あっ」
莉嘉「でもでもー、Pくんと二人きりならこれだけ着てあげてもいいよ?」
『んっふっふ〜、兄ちゃんの前だけならこれだけ着てあげてもいいよ?』
P「……」
莉嘉「あ〜、今想像したでしょ〜? Pくんのえっち〜」
P「……ばか」
…………………
………………
…………
……
279 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/28(水) 20:17:00.79 ID:cAnkqGWC0
凛「プロデューサー、準備できたよ。……プロデューサー?」
P「……あ、ああ。それでは千川さん、
凛たちとアミューズメントミュージックの収録に行ってきます」
ちひろ「はい、気をつけていってらっしゃい」
未央「よーし、今日も張り切ってアミューズメントでミュージックするぞー!」
卯月「はい、頑張ります!」
凛「そのまんまじゃん」
………
……
…
280 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/28(水) 20:18:23.37 ID:cAnkqGWC0
『それでは参りましょう』
『ニュージェネレーションズで“流れ星キセキ”です』
〜〜♪
P「……」
「よお、あんたか」
P「天ヶ瀬冬馬」
卯月・未央・凛『流れ星を探そうよ 転んだら――♪』
冬馬「フン、わるかねーな」
P「聞いたよ、ドームツアーだって。どうやら先を越されてしまったな」
冬馬「ま、俺たちの実力なら当然だ。
うかうかしてるとトップアイドルの座も俺たちがいただくぜ」
P「そいつはどうかな」
「ジュピターのみなさん、スタンバイお願いします」
冬馬「ようやく出番か。それじゃあな、またぶっ倒れんなよ」
冬馬「あ、そうだ。そういや見つかったのかよ」
P「……? なんの話だ」
冬馬「前にどこだったかの芸能プロダクション探してたろ。
なんだっけな、えーと確か……ナ……ナ……」
冬馬「ナムコプロ」
冬馬「だったよな? 見つかったのか」
…………………
………………
…………
……
281 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/28(水) 20:19:30.18 ID:cAnkqGWC0
杏「……」グテー
志希「……」ダラー
ちひろ「し、志希ちゃんまでどうしたの。杏ちゃんみたいになっちゃって」
志希「小休止。さすがの志希ちゃんもキビシー舞台稽古の日々に
疲れ果ててしまったのです。エーキを養わなければ……」
杏「だからって私を抱き枕扱いすんのやめてくんない」
志希「プロデューサーは?」
ちひろ「プロデューサーさんなら今日は一日外回りだから帰ってこないわよ」
志希「ちぇー、新しいパフュームができたから彼で実験したかったのに」
杏「そういえばちひろさん、CGプロって961プロと仲悪い?」
ちひろ「んー、どうかしら……。
961プロの強引なやり口には困らされてはいるけれど、
特別悪いなんてことはないと思うわ。
どうしてそんなことを聞くの」
杏「プロデューサーがうちと961プロには因縁があるっていうから」
ちひろ「因縁? 私は聞いたことないわ」
杏「……そう」
…………………
………………
…………
……
282 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/28(水) 20:20:49.85 ID:cAnkqGWC0
P「杏、起きろ杏。仕事に遅れるぞ」
杏「うぅ、今、夢の中で印税生活送ってたのに……」
P「その夢を実現させるためにアイドル頑張ってるんだろ」
未央「おーい、行くよー」
P「ほら、未央が呼んでるぞ」
杏「ん〜……」モゾモゾ
「お願い、もう少しだけ寝かせて、ハニー?」
未央「……プッ」
未央「アハハハハハ!! ハ、ハ、ハニー!?
なにそれ、超ウケるんだけど! アハハッ!!」
未央「ほ、ほら、プロデューサーも引いてんじゃん、ククク……!」
杏「む、違っ。これは杏のあまりの可愛さに骨抜きになってんだよ。
そうでしょ? プロデューサー」
未央「ひ、ひぃ、もうダメ、お腹いた……、あれ、プロデューサー、どこ行くの」
未央「お、おーい?」
ガチャッ バタン――
杏「……え、そんなにドン引きするほどのものだった?
アイドルとして自信なくすんですけど」
未央「や、どうだろ……」
杏「……」
………
……
…
283 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/28(水) 20:21:35.16 ID:cAnkqGWC0
――ガチャッ
美嘉「お疲れー、ふぅ……」
未央「あ、美嘉ねえ、お疲れー」
杏「お疲れ。ごめん、仕事帰りで疲れてるのに」
美嘉「いいよ、杏ちゃんが集合かけるなんて滅多にないことだし。
それで話って?」
杏「プロデューサーのことなんだけど……」
284 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/28(水) 20:23:11.38 ID:cAnkqGWC0
杏「――で、ちひろさんとか他のスタッフにも聞いてみたんだけど、
誰もCGプロと961プロの因縁なんか知らないって」
楓「私も因縁があるなんて初めて聞くけれど、
それは単にごく一部の人にしか知らされていない事情だったんじゃない?」
杏「でもプロデューサーはその時『みんなも知ってるだろ』っていってたんだよね」
未央「いってたっけ?」
蘭子「覚えてない」
美嘉「そういわれると確かに変な気もするけど、考えすぎな気もする」
杏「それだけじゃない。今日もプロデューサーといつものやり取りしてて、
杏がその……普段なら絶対いわなそうなこといって拒否ったんだけど……」
莉嘉「いわなそうって、どんなこといったの?」
未央「『お願い、もう少しだけ寝かせて、ハニー?』」
杏「ぬぁっ!?」
「…………」
幸子「……プッ」
一同「アハハハハッ!!」
美嘉「ハ、ハニーって! 似合わなっ! アハハッ!」
285 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/28(水) 20:24:32.39 ID:cAnkqGWC0
杏「〜〜ッ! 未央のバカッ! なんでいっちゃうのさ!
絶対引かれるってわかってたから言葉濁したのに!」
未央「ご、ごめっ。だって、こんな面白いこと黙ってなんかいられないって!」プハッ
杏「ぐぬぬ……!」
凛「はぁ、おかし。ちょっと涙出た。
それで? プロデューサーはどう反応したの」
杏「黙って部屋を出てったの!」
凛「……プロデューサーが?」
杏「そぉ! ……はぁ」
杏「引かれたのは別にいいんだ。いやよくないけど。
ただプロデューサーなら苦笑いくらいで済みそうじゃない?」
杏「けど無言で部屋を出てくんだよ?
そんな反応されたらこっちの方が傷つくっていうか傷ついたし。
それがわからないような人じゃないじゃん、プロデューサーって」
まゆ「確かに。なにごとにもきちんと配慮される方です」
286 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/28(水) 20:25:52.88 ID:cAnkqGWC0
杏「杏の勘違いだったらそれでいいんだ。
でもこの頃のプロデューサー見てるとなんか不安になっちゃって……。
みんなもなにか思い当たる節はない?」
愛梨「んー、私はないかなぁ」
アーニャ「私もありません」
卯月「……あ」
卯月「そういえばこの前、
プロデューサーさんにクッキーを差し入れした時、
不意にプロデューサーさんが『ハルカ』って呟いたんですよね」
卯月「その時は全く気にも留めませんでしたけど、
『ハルカ』って多分人の名前ですよね。これってなにか関係あるでしょうか」
凛(ハルカ……)
杏「名前か。
その『ハルカ』が実在する人物なのか空想の人物なのか……。
他に気づいたことあるって人」
「…………」
美嘉「もう少し様子見ない? 正直これだけじゃ判断つかない」
杏「……そうだね、
みんなもプロデューサーのことちょっと気にかけてみてくれる?
なにかあればまた集合かけるから」
未央「りょーかーい」
杏「じゃ、今日は解散で。みんなありがとう、お疲れさま」
オツカレー ジャアネー オヤスミー マタアシター
志希「……」
…………………
………………
…………
……
287 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/28(水) 20:27:06.47 ID:cAnkqGWC0
P「――はい、はい、16時ですね。場所は……」
未央「……どう思う?」
愛梨「んー、仕事してる時のプロデューサーさんの真剣な眼差しいいなって」
未央「じゃなくて……」
幸子「ボクにはいつも通りのプロデューサーさんに見えますけど」
未央「一級プロデューサー鑑定士・まゆ氏の見解は?」
まゆ「そうですね、まゆも特に変わりのないように見受けられます」
まゆ「ですが、杏ちゃんの観察眼は確かなものがあります。
杏ちゃんが覚えた違和感の正体を突き止めるまで楽観視はできないかと」
未央「ふむ」
コンコン ガチャッ
ちひろ「プロデューサーさん、ちょっといいですか」
………
……
…
288 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/28(水) 20:29:09.84 ID:cAnkqGWC0
ガラガラガラ ガシャン……
P「志希、志希いるか」
志希「こっちー」
P「……」
志希「あー駄目だ。ジンジャーの香りが強すぎる」
P「千川さんから聞いたよ。LiPPSへの参加を取り消したいって」
志希「この配合比はペケ」
P「理由を聞かせてくれるか」
志希「……きみが担当じゃないから」
P「今の担当プロデューサーではだめなのか」
志希「……うそうそ、じょーだん。
実は舞台の役作りに結構苦戦してんだ」
志希「監督がフィーリングで物言うタイプでさ、
あたしって同じタイプと見せかけてのロジカルタイプでしょ?
演技指導されてもいまいちピンとこないことが多くて」
志希「公演まで一月切っちゃったし、
こっち一本で集中してかないとヤバイかなーって」
P「……」
志希「そーだ。
今さら取り消せないならせめて公演が終わるまで待ってくれない?
ほら、後々新メンバーとして加入した方が話題性出そうじゃん?」
志希「“ケミカルアイドル志希ちゃん LiPPSに電撃加入!”
なんてどう? にゃはは、あたしなにさまーって感じ……」
志希「……」
志希「ごめん。美嘉ちゃんもきっと怒ってるよね」
P「戸惑ってはいたな」
志希「……」
P「どうしてもいいたくないならいわなくていいさ。
気まぐれで取り消したいわけじゃないってことくらい、
俺も美嘉もちゃんとわかってる」
P「LiPPSのプロデューサーには俺から話しておく。
でも美嘉にはきちんと自分から話しておけよ」
志希「うん……」
P「じゃあ、俺は事務所に戻るから」
志希「ねぇ」
志希「あたしって誰に似てる? あたしといると誰を思い出す?」
P「……? 質問の意味がよくわからないんだが」
志希「そうだよね、変なこと聞いた。忘れて」
………
……
…
289 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/28(水) 20:29:56.43 ID:cAnkqGWC0
き ょ う は こ こ ま で
290 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/28(水) 20:36:11.01 ID:wOgxeuaDO
もりくぼ
りいな
ありす
かなこ
つかさ
て
きらり
まい
しまむら
たかがき
291 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/28(水) 22:18:33.59 ID:GMudOKs3O
志希はだれ似でもないかなぁ
292 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/28(水) 22:25:41.79 ID:h86MUhZCo
乙
293 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/29(木) 04:32:42.50 ID:yh9S9T3vo
乙
今更見つけて追いついた
294 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2020/10/29(木) 15:17:55.62 ID:66kWMnP90
このまま少しずつ狂っていくのかね?
295 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/29(木) 20:05:45.97 ID:ucTJmfQf0
ツカツカ…… ピタッ
P「凛?」
凛「げっ」
P「今『げっ』っていったな。
どうしてこんな遅くまで事務所に残ってるんだ」
凛「……」
P「また自主トレか。
子どもがトレーニングルームを使えるのは何時までだったかな」
凛「あーもー、ごめんなさい! わかってるから!
だから説教はなし! もう帰るから……」
P「まったく。
ストイックなのは千早のいいところでもあるが悪いところでもあるぞ」
凛「……え」
P「セーブすることを覚えないといずれ身体を壊すぞ……って、
聞いてるのか、凛」
凛「え、あ、うん」
P「それじゃあ早めに帰るんだぞ」
凛「プロデューサー、今――」
P「ん?」
凛「……ううん、なんでもない。お先に失礼します」
P「お疲れ」ツカツカ
凛(……)
…………………
………………
…………
……
296 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/29(木) 20:06:44.32 ID:ucTJmfQf0
ちひろ「『ハルカ』と『チハヤ』?」
凛「うん、そんな名前のタレントうちの事務所にいないかな」
ちひろ「ちょっと待ってね。タレント名簿にアクセスしてみるから」
凛「ありがと」
……
ちひろ「んー、該当するタレントはいないわね」
凛「そっか」
ちひろ「その名前がどうかしたの」
凛「前に聞いたことあるような気がしたんだけど思い出せなくて」
ちひろ「……私も聞いたことあるような気がする」
凛「ほんとに?」
ちひろ「ええ、でもいつだったかしら。誰かから聞いたような……」
凛「それってもしかしてプロデューサーじゃない?」
ちひろ「プロデューサーさん?」
ちひろ「……あ」
………
……
…
297 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/29(木) 20:07:29.15 ID:ucTJmfQf0
――ガチャッ
P「……ん」
ちひろ「お疲れさまです」
P「お疲れさまです。どうしたんですか、こんな遅い時間に勢ぞろいで」
ちひろ「みんなからプロデューサーさんに話があるそうです」
P「話?」
凛「……」チラッ
卯月「……」コクッ
卯月「プロデューサーさん、
この前、私がクッキーを差し入れした時のことを覚えていますか」
P「あ、ああ。覚えているよ」
卯月「その時『ハルカ』っていいましたよね」
卯月「ハルカって……誰ですか」
P「……」
298 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/29(木) 20:08:30.93 ID:ucTJmfQf0
凛「昨日、私のこと『チハヤ』って呼んだでしょ」
P「え……」
凛「はぁ、やっぱり自覚なかったんだ」
杏「CGプロと961プロの因縁ってなに?
他のスタッフに聞いても誰もそんなこと知らなかったよ」
凛「『ナムコプロ』なんでしょ」
凛「『ハルカ』も『チハヤ』も『ナムコプロ』のアイドルで、
961プロと因縁があるのは『ナムコプロ』なんでしょ」
凛「そういう……、妄想の、設定の……」
凛「プロデューサー、記憶障害が再発してるんじゃないの」
「………………」
299 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/29(木) 20:09:53.69 ID:ucTJmfQf0
ちひろ「プロデューサーさん、一度病院へ行って診てもらいましょう」
P「いえ、その必要はありません」
ちひろ「ですが……」
P「みんなのことは覚えています。再発はしていません」
凛「じゃあ、なんで私のこと『チハヤ』って呼んだの」
P「……それは」
美嘉「ねぇ、なにか悩みがあるんでしょ。アタシたちに打ち明けられない?」
幸子「ボクたち、プロデューサーさんの力になりたいんです」
莉嘉「話してよ、Pくん」
P「……違う、そうじゃないんだ」
杏「やっぱり担当アイドルの数が相当な負担になってるんじゃないの」
杏「杏は……いいよ。プロデューサーの担当から外れても」
P「……!」
未央「えっ、ちょっ、杏ちゃん!?」
杏「プロジェクトも昇進の件も本当はそういうことだったんじゃないの?
プロデューサーにとってやっぱり杏は――」
P「違う!!!」
P「……あ」
「…………」
P「……すまない、大声を出して。けど本当に大丈夫なんだ。
誰一人重荷になんて思っちゃいない」
P「ちゃんとわかってるから。俺はCGプロのプロデューサーで」
P「765プロも春香も……存在しないんだって……」
………
……
…
300 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/29(木) 20:11:15.73 ID:ucTJmfQf0
アーニャ「プロデューサー、本当に大丈夫でしょうか」
楓「どうかしらね。前の時のような記憶の改ざんはないようだけれど」
ちひろ「みんなごめんなさい。
本来いつも傍にいる私がいち早くプロデューサーさんの異変に
気づいてあげなければいけなかったのに……」
愛梨「ちひろさんが謝ることじゃないです。
私たちだって全然気づけなかったんですから。唯一杏ちゃんだけが……」
杏「……」
未央「杏ちゃん、どうしてあんなこといったの? 担当から外れてもいいなんて」
美嘉「プロデューサー、前にいってたじゃん。
記憶障害はアタシたちのせいじゃないって」
杏「じゃあ、なんでプロデューサーはなにもいってくれないの。
なにがプロデューサーを苦しめてるの」
杏「いってくれなきゃ……わかんないよ……」
蘭子(……)
まゆ「次おかしな言動があればその時は必ず病院へ行くと約束されたんだし、
今は注意深くプロデューサーさんを見守りましょう」
301 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/29(木) 20:12:29.70 ID:ucTJmfQf0
凛「志希」
凛「なんでプロジェクト辞退したの」
美嘉(……)
志希「……あー」
志希「これ以上仕事増やすとキャパオーバーになりそうだなーって。
やー、失敗失敗。もっとよく考えてから返事するべきだったねー」
志希「美嘉ちゃんとLiPPSのみんなにはわるいんだけど、あたしは……」
美嘉「ほらっ、最近よく杏ちゃんを抱き枕にして倒れてたじゃん。
舞台稽古が超キツイんだって」
美嘉「志希ちゃんまでプロデューサーみたいになったらもう最悪じゃん?
一緒にユニット組めないのは残念だけど、
一緒にステージに立つ機会はいくらでもあるんだし」
美嘉「だからアタシは全然気にしてないっていうか――」
凛「プロデューサーに迷惑かけないで」
美嘉「あ……」
志希「……」
ちひろ「みんな、そろそろ解散にしましょう。明日に響くわ」
オツカレー マタアシター ゾロゾロ……
志希「ごめん、美嘉ちゃん。気遣わせて」
美嘉「志希ちゃんが気まぐれで辞退したわけじゃないことくらい、
ちゃんとわかってるから」
志希「あは、プロデューサーと同じことをいう……」
…………………
………………
…………
……
302 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/29(木) 20:13:35.41 ID:ucTJmfQf0
P「ふー……」
P「……」
――ガチャッ
P「おはよ――」
一同「おはようございます!!!!」
P「……!」ビクッ
未央「いやー、爽やかな朝だなぁ! 実に清々しい!
プロデューサーもそう思わない?」
P「え、どうだろう。外雨だし」
幸子「鞄持ちますよ」サッ
P「あ、ありがとう」
卯月「席までご案内します」
P「や、知ってるけど」
アーニャ「さぁ、座りなすって」
P「なすって?」
まゆ「紅茶です」コトッ
愛梨「ケーキです」カタッ
P「朝からティータイム?」
莉嘉「Pくん、いつもお疲れさま! 肩揉んであげる!」モミモミ
P「……」
303 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/29(木) 20:14:37.29 ID:ucTJmfQf0
P「みんな、普通にしてくれ」
未央「えっ、ふ、普通にしてるけど? ねぇ?」
愛梨「う、うん、普通だよ……ね?」
卯月「は、はい! 島村卯月は普通です! ……よね?」
まゆ「え、ええ。もちろん普通……」
幸子「もう普通が普通過ぎて普通に困っちゃうくらいですよ!」
アーニャ「普通が普通過ぎ……どういう意味ですか」
莉嘉「知ってる! 哲学ってやつでしょ!」
P「……」
P「わかった。けど、過度に俺を気遣う必要はないんだからな。
みんなはいつも通りでいてくれればそれでいいんだから」
――ガチャッ
楓「おはようござんすでがんすー」
P「そうそう、あんな風に」
楓「……?」
…………………
………………
…………
……
304 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/29(木) 20:16:36.62 ID:ucTJmfQf0
P「――いいや、普段のお前はそんなものじゃないはずだ」
P「思い出せ、遥か南西より伝わりし古の言葉を。
それを使いこなせる者はこの世でただ一人……」
P「そう! お前だ、神崎蘭子!」
蘭子「そんなの知らない」プイ
P「……」
P「なあ、いつも通りの言葉遣いに戻してくれないか。
蘭子の言葉はきちんと理解できているから」
蘭子「じゃぁ、プロデューサーも話して」
P「え、蘭子の言葉遣いで? それはちょっと……。
正直今のだって恥ずかし――」
蘭子「違う! プロデューサーもなにが苦しいのかちゃんと話して!」
P「……俺はなにも苦しんでないよ」
蘭子「嘘」
P「嘘じゃない」
蘭子「嘘! 絶対嘘! どうして話してくれないの!」
P「蘭子?」
蘭子「杏ちゃん、ずっと心配してる。
誰よりもプロデューサーのこと気にかけてる。
今回だって杏ちゃんがいち早くプロデューサーの異変に気づいた」
P「……杏が」
蘭子「でも、プロデューサーなにも話してくれないから!
杏ちゃん、やっぱり自分のせいなんじゃないかって……」
P「……」
蘭子「話して、プロデューサー。
プロデューサーがいつも私たちの力になってくれるように、
私たちもプロデューサーの力になりたい……」
P「……苦しいわけじゃないんだ。ただ思い出してしまっただけなんだ」
P「ふとしたきっかけで過去を思い出すことってあるだろ。
なんでもない言葉のやり取りが、相手の仕草が、些細なできことが、
誰かの面影と重なって過去の記憶が蘇る」
P「ずっと、忘れていたのにな……」
蘭子「……」
…………………
………………
…………
……
305 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/29(木) 20:17:50.77 ID:ucTJmfQf0
杏「思い出しただけ?」
蘭子「……」コクリ
凛「そんな見え透いた嘘」
美嘉「あくまでも記憶障害じゃないといいはるわけか」
蘭子「……私は嘘じゃないと思う」
未央「どうして?」
蘭子「上手く説明できない、そう感じたとしか。けど……」
蘭子「プロデューサー、寂しそうだった」
卯月「寂しい……」
蘭子「ねぇ、ナムコプロって本当にプロデューサーの妄想なの?
ハルカさんもチハヤさんも本当は実在する人なんじゃ……」
凛「ちょっと待ってよ。蘭子、プロデューサーの言葉に感化されすぎ。
だったらどうして誰もナムコプロを知らないの?」
まゆ「少なくともナムコプロという芸能プロダクションがないことは確かだと思います。
以前、ちひろさんらスタッフの方々が調べてみても見つからなかったそうですから」
蘭子「……」
306 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/29(木) 20:18:56.43 ID:ucTJmfQf0
幸子「そういえば、プロデューサーさんのストレッサーって結局なんなんでしょうね」
幸子「決して目を逸らしてきたわけじゃないですけど、
こうなってくると結果的に問題を先送りにしただけでしたね」
杏「ストレスの原因なんてわかりっこないよ。
それこそ記憶を取り戻さない限り」
卯月「……本当にストレスなんでしょうか」
卯月「ずっと気になっていたんです。
記憶を改ざんするほどの深刻なストレスを抱えていたのなら、
発症する前になにか前兆のようなものがあったと思うんです。
たとえば表情が暗いとか、食欲がないとか、仕事でミスが続くとか」
卯月「でも、私が覚えている限りそんなことは全くなかったと思います」
美嘉「……いわれてみればそうだったかも」
307 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/29(木) 20:20:05.31 ID:ucTJmfQf0
未央「ねぇ、まゆちゃんって確か日記つけてたよね、プロデューサーの」
まゆ「ええ」
杏(マジかい……)
未央「記憶障害になる数日前のプロデューサーってどう書いてある?」
まゆ「お待ちください、確か5月のことだからVol.3の……」ゴソゴソ
杏(三冊目……)
まゆ「……」ペラ
まゆ「読み返す限り、前兆と思われるようなものはなにも」
幸子「……まさか、原因はストレスじゃなくて外傷?」
凛「それなら記憶の“改ざん”じゃなくて記憶“喪失”になるんじゃない」
蘭子「もしや洗脳!」ハッ
美嘉「あるいは別人、とか?」
杏「マンガやゲームじゃないんだから」
まゆ「卯月ちゃんはどう考えているんですか」
卯月「私は……本当は記憶障害ではないんじゃないかって」
凛「記憶障害じゃないならなんなの」
卯月「だからその、記憶障害の振りを……」
凛「振り? なんの意味があってそんな――」
杏「やめよ。ここであーだこーだいったってなにがわかるわけでもないんだし。
今は経過観察に徹してプロデューサーの状態をちゃんと見極めようよ」
卯月「……」
凛「……」
…………………
………………
…………
……
308 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/29(木) 20:21:37.89 ID:ucTJmfQf0
『こら、亜美! アンタでしょ、またこんなクモのおもちゃを扉に仕掛けて!』
『ギクッ。な、なんのことでござんしょう? 亜美にはさっぱり……』
『こんなイタズラ仕掛けるのアンタか真美以外ありえないでしょ!』
『じ、じゃぁ、真美がやったんじゃない? とにかく亜美は知らな―ー』
『あっ、亜美。このクモのおもちゃ亜美のでしょ。床に落ちてたよ』
『や、やよいっち! シーッ!』
『亜ぁ美ぃ〜……!』
『うあうあ〜! 兄ちゃ〜ん、助けて〜! りっちゃんが――……
P「はっ!」ガバッ
凛「……!」ビクッ
P「……凛」
凛「ごめん、起こした?」
P「いや……、いいんだ」
凛「夢でも見てた?」
P「見てたような気がするが、どんな夢だったか思い出せない」
凛「あるよね、そういうこと。コーヒー淹れよっか」
P「ああ、ありがとう」
………
……
…
309 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/29(木) 20:22:29.03 ID:ucTJmfQf0
P「凛、いつまでここにいるつもりだ」
凛「んー、あと少し」
P「そういって30分が過ぎたぞ。
用事がないなら帰るんだ。明日も学校だろ」
凛「……前にさ」
凛「仕事帰りによく連れてってくれた喫茶店あったじゃん。
あそこ改装して綺麗になったんだって。また今度連れてってよ」
P「……いつの話だ。俺が喫茶店に連れて行ったことなんてあったか」
凛「……」
P「凛?」
凛「私、帰るね。お先です」
P「え、お、おい、凜」
ガチャッ バタン
P「……?」
310 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/29(木) 20:23:33.74 ID:ucTJmfQf0
凛(……)ツカツカ
凛(喫茶店に行ったのはプロデューサーが記憶障害になる前)
凛(これに引っかからなかったってことは、
振りとかじゃなく、本当に覚えてないってことでいいんだよね)
凛「……」
凛(ばかみたい。だからなんだっていうの、こんなわかりきったことを確かめて)
凛(結局、ナムコプロに囚われてんじゃん……)
…………………
………………
…………
……
311 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/29(木) 20:24:10.86 ID:ucTJmfQf0
つ
づ
き
は
あ
し
た
312 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/29(木) 20:24:47.08 ID:uh7mUNlfo
イイヨイイヨ
313 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/29(木) 20:26:58.31 ID:URUuBigvo
また明日 乙
314 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/29(木) 22:19:09.54 ID:yh9S9T3vo
乙
315 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2020/10/30(金) 01:08:19.95 ID:GAE7Tk4N0
こういうの大好物です
316 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2020/10/30(金) 04:31:53.04 ID:Y/1uyk4c0
久々に名作に会ったわ
すっげー面白い!
317 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/30(金) 19:48:18.23 ID:Xx4eulTo0
愛梨「どうしてナムコプロなんだろ」
アーニャ「……?」
愛梨「ナムコプロってプロデューサーさんが
現実逃避のために作り出した妄想の芸能プロダクションなんだよね」
愛梨「仮にストレスの原因がお仕事にあったとして、
それならどうしてまた同じ職種である
芸能プロダクションを現実逃避先にしたのかな」
アーニャ「……それは」
楓「仕事のなににストレスを感じていたのかにもよるわね。
幸いなことに“アイドルをプロデュース”することに関して
不満はないみたいだけれど」
アーニャ「愛梨、ストレスの原因はもう永遠にわかりません。
プロデューサーは記憶を諦め、私たちもそれを受け入れたんですから」
愛梨「うん……、でもなんかさ、予感がするんだよね。なにかが変わりそうな」
愛梨「今の私たちではいられなくなるような……」
…………………
………………
…………
……
318 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/30(金) 19:49:55.94 ID:Xx4eulTo0
美嘉「クロウェ?」
P「ああ、美嘉ならいわなくてもわかるだろ。
フランスの名門ファッションブランド」
P「先月のフランス出張で、
クロウェのディレクターと偶然話す機会があって、
その時俺のつけている香水に興味を持たれたんだ」
凛「え、プロデューサーって香水つけてたっけ」
P「ああ、普段はつけてないけど大事な時に」
志希「それってあたしがあげたやつ? 使ってくれてんだ、嬉しい!」
凛「……」
P「志希が作ったと話したらとても驚かれたよ。
素人が作ったとは思えない繊細な香りだって」
P「それで来週そのディレクターが来日されるんだが、
ぜひ志希と直接会って話がしたいってさ」
美嘉「マジ!? スゴイじゃん!
クロウェと繋がりが持てるチャンスだよ!」ユサユサ
志希「……」ユラユラ
319 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/30(金) 19:51:15.17 ID:Xx4eulTo0
P「急な話だけどスケジュールの調整はできたから。
志希はこれまでに作った香水をいくつか――」
志希「会わない」
P「――持って……え」
志希「クロウェなんて興味ない。あたしから話したいこともないし」
美嘉「えっ! なっ! えっ!? なんで!!?
会いなよ! 絶対会った方がイイって! アタシ会いたい!」
幸子「いや、ご指名は志希さんですから」
P「相手はプロ中のプロだ。
話せば香水作りに役立つ情報を引き出せるかもしれないぞ」
志希「ないない。あたしが知りたい情報なんて企業秘密レベルだし。
そんな情報、一介の小娘に教えてくれるわけないじゃん」
P「しかし……」
志希「会うだけ時間のムダムダ。時間を空費するなかれ。
つねに何か益あることに従うべーし」
美嘉「しょんにゃぁ……」グスッ
幸子「なんで美嘉さんが涙ぐむんですか……」
P「……わかった。そこまで気が進まな――」
ガタッ
320 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/30(金) 19:52:25.22 ID:Xx4eulTo0
未央「ふあぁ……」
卯月「未央ちゃん、おはようございます」
未央「あ、おっはよー、しまむー。今日は朝から寒いねぇ」
卯月「はい、先週まで暑かったのに。もうすっかり秋ですね」
未央「秋用のコートが全然見当たらなくてさ、これ実は冬用のなんだよね。
お母さんに聞いてみたらクリーニングに出してるって。
今出すんかーい! って」
卯月「ふふ」
未央「そういえばさ、ミュージカル、なにするか考えた?」
卯月「……いえ」
未央「私も。なんかこの数日いろいろありすぎちゃって
ミュージカルのこと自体忘れちゃってたよ……」
卯月「……」
321 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/30(金) 19:53:19.30 ID:Xx4eulTo0
ガチャッ
未央・卯月「おはようござ――」
凛「いい加減にしなよ、志希! 勝手が過ぎるよ!」
未央・卯月「……!」 ビクッ
凛「偶然なわけないじゃん!
プロデューサーが志希のためにクロウェに売り込んだことがわからない!?」
志希「……え」
凛「会うだけ無駄? 時間を空費するな?
プロデューサーの苦労も知らずよくそんなことがいえるね?
せっかくのチャンスを棒に振って自分が一番益のないことしてんじゃん!」
P「凛、落ち着け」
未央「なになに、なにがどうした?」
幸子「あ、未央さん、卯月さん……」
凛「私たちにとっても侮辱だよ!
こっちはアンタみたいに遊びでやってんじゃないんだよ!」
P「凛、いいから。志希とは俺が話す。美嘉、凛を頼む。志希は応接室へ」
志希「……」
322 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/30(金) 19:54:38.33 ID:Xx4eulTo0
ガチャッ バタン
志希「……凛ちゃんのいってたことほんと?」
P「……まあ」
志希「……………ごめんなさい」
P「次は志希が身を乗り出して面白がってくれるような話を持ってくるよ」
志希「え……、クロウェの人と会わなくていいの?」
P「いいよ。凛のいっていたことは本当だが、
話はどう転んでもよかったんだ。
歓談して終えてもそれはそれでよかったし」
P「ほら、趣味で香水を作る人なんて滅多にいないだろ。
加えて志希のレベルに合わせるとなるとプロの方がいいかなって」
志希「そこまで考えてくれてたんだ……」
P「お前が一筋縄でいかないことは十分わかっていたはずなんだがな。
昔の美希を思いだ……」ハッ
志希「……ミキ?」
P「あ、いや、そういえば昔の知り合いに志希みたいな子がいたなって、はは……」
志希「……」
323 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/30(金) 19:55:23.03 ID:Xx4eulTo0
――ガチャッ
P「凛は?」
幸子「美嘉さんに連れられて下のカフェに」
志希「あたし行ってくる」タッタッタッ
324 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/30(金) 19:57:30.67 ID:Xx4eulTo0
美嘉「どう? 少しは落ち着いた?」
凛「……」
美嘉「凛の気持ちもわかるけどさ、
志希ちゃんだって遊びでアイドルやってるわけじゃないんだから」
凛「わかってる。いいすぎた」
美嘉「凛、志希ちゃんに対抗意識あるでしょ。
二人だけだもんね、プロデューサーに直接スカウトされたの」
美嘉(ほんと羨ましい)
凛「……私じゃない」
美嘉「……?」
凛「プロデューサーが一番信頼してるのは、私じゃない……」
美嘉「……」
美嘉「そりゃそうでしょ」
凛「えっ!」
美嘉「えっ! って、自分でいっといてなんでそんな驚くの。
否定してもらえるとでも思った?」
凛「え、だ、だって……」アタ フタ
美嘉「アタシよ、ア・タ・シ。プロデューサーが一番に信頼してるのは」フフン
凛「は?」
美嘉「実際今だってアタシを頼ってくれてるわけだし?
『美嘉がいれば安心だ』っていつもいってくれるもん///」
凛「……は、はぁ!? なに急に惚気だしてんの?
それってただいいように使われてるだけじゃん!
プロデューサーの前だとすぐヘタれるくせに!」
美嘉「それ今カンケ―なくない!? ……って」
凛「……?」クルッ
凛「あ……」
志希「……」コソコソ
美嘉「あんなわかりやすく物陰に隠れてる人初めて見たわ」
美嘉「志希ちゃんと話せる? アタシいた方がいい?」
凛「……大丈夫。二人で話す。話して、ちゃんと謝る……」
美嘉「わかった。じゃぁ、アタシは先に戻るから」スッ
凛「あ、美嘉、その……ありがとう」
美嘉「いいよ」テクテク
志希「美嘉ちゃん……」
美嘉「もう大丈夫だから。凛とちゃんと話してきて」
志希「うん、ありがとう」テッテッテッ
325 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/30(金) 19:58:09.41 ID:Xx4eulTo0
――ガチャッ
美嘉「ふぅ……」
P「美嘉、二人は」
美嘉「大丈夫、今話し合ってる」
美嘉「凛、いいすぎた自覚あったみたい。
最近その……色々あったし、溜め込んでたんじゃないかな。
それがさっきの志希ちゃんの発言で爆発しちゃって……」
P「……そっか」
…………………
………………
…………
……
326 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/30(金) 19:58:44.82 ID:Xx4eulTo0
「プロ――――」
「――デューサー」
未央「プロデューサー、ねぇ、プロデューサーったら」
P「……え、あ、わるい、どうした」
未央「しまむーから電話。
電車が止まっちゃってこっち来るの遅くなるってさ」
P「わかった。それなら先にミーティングを始めよう。みんな、席に着いてくれ」
327 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/30(金) 19:59:48.57 ID:Xx4eulTo0
P「――案は大方出尽くしたな。それじゃあ、ここから絞って――」
――ガチャツ
卯月「すみません、遅れっ、きゃっ!」ドテッ
P「大丈夫か」
卯月「う〜〜、いたたた……」
P「春香が転ぶところ久しぶりに見たな」
卯月「……え」
P「どうした、立てるか、はる、か……」
P「……あ」
「………………」
328 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/30(金) 20:00:47.78 ID:Xx4eulTo0
志希(……)
凛「……プロデューサー、やっぱり――」
志希「ねぇ、プロデューサー、教えて。ナムコプロのこと」
凛「……!」
志希「ナムコプロにはどんなアイドルがいるの」
美嘉「ち、ちょっと志希ちゃん――」
志希「ハルカちゃんは? チハヤちゃんは? ミキちゃんは?」
まゆ「志希さん、なにをいって――」
志希「他にはどんな子たちがいるの」
アーニャ「志希」
志希「教えて」
凛「やめてよ志希! いたずらにプロデューサーを惑わせないで!」
凛「プロデューサー、志希のいうことに耳を貸さないで!」
凛「ナムコプロなんてないんだから!!」
志希「凛ちゃん」
凛「……っ!」ハッ
志希「……」
329 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/30(金) 20:01:43.60 ID:Xx4eulTo0
P「…………は、春香」
P「天海…春香は、リボンがチャームポイントの」
P「明るく、前向きな、時々ドジを踏んでしまう」
P「一番の、仲間思いなやつで」
P「如月千早は、歌うことがなによりも好きで」
ツー…… ポタ
愛梨「……!」ハッ
P「ストイックな反面、脆い部分もあって」
ポタ ポタ
莉嘉「あ……」
P「周囲と壁を作りがちだけど、本当は、素直な、優しい子で」
志希「うん……」
P「ほ、星井美希は……!」
330 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/30(金) 20:02:48.37 ID:Xx4eulTo0
真『律子はなにを失くしたのか知ってるの?』
律子『もちろんよ。失くしたものは……』
律子『“仲間”よ』
律子『これは出会いと別れの物語なの。
強い絆で結ばれた仲間を失ってしまうの』
やよい『えーっ! そんな悲しい物語なんですかー!』
伊織『なるほどね。大切な“もの”ってそういう……』
真『ボク、この主人公にすごく感情移入しちゃうなぁ。
ボクも765プロのみんなが大切だもん』
雪歩『私も。もしみんなを失くしてしまったら立ち直れないかもしれない』
響『ま、自分たちなら失くすことなんて絶対にありえないさー』
あずさ『そうね、私たちなら大丈夫。
仲間の大切さをきちんとわかっているんだから』
331 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/30(金) 20:03:39.31 ID:Xx4eulTo0
P(ああ、そうだ)
P(夢でも妄想でもない)
P(彼女たちは確かに存在して)
P(絆を結んできた)
P(俺の、大切な者たち……!)
P「……お、俺は……俺は……」
凛「……」
――――俺は、あいつらに会いたい
…………
………
……
…
332 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/30(金) 20:04:14.99 ID:Xx4eulTo0
続きは明日かなーって
333 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/30(金) 20:12:02.69 ID:DD7SEoFVo
乙
遂にどんなやつがいるか聞いたか
334 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2020/10/30(金) 21:14:09.12 ID:GAE7Tk4N0
作者は焦らし上手だな
335 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/10/30(金) 21:14:33.44 ID:9OoVrO7L0
続きが気になりすぎる。乙
336 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/30(金) 21:36:13.03 ID:6C036/Jco
ああ、箱マスを思い出していくようで辛いわね…
337 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/30(金) 22:11:28.66 ID:yMr0lSOMO
iの前奏聞くと胸が苦しくなるぜ…
338 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/31(土) 01:11:43.63 ID:GtmdKJouo
LOSTがずっと頭から離れない
339 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/31(土) 18:54:19.70 ID:VwwaHNdc0
卯月「……」
凛「……」
未央「……」
杏「……」
楓「……」
美嘉「……」
莉嘉「……」
蘭子「……」
愛梨「……」
まゆ「……」
幸子「……」
アーニャ「……」
志希「……」
340 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/31(土) 18:56:16.01 ID:VwwaHNdc0
未央「……ナムコプロって、きっとあるんだよね。
プロデューサーの妄想なんかじゃなくて、現実に」
未央「あの涙が嘘だなんて思えないよ」
愛梨「私、男の人の涙って初めて見た……」
美嘉「……アタシも」
楓「正確には“ある”じゃなく“あった”のでしょうね。
理由はわからないけれど突然ナムコプロが消えてしまい、
プロデューサーが必死に捜したけれど見つからず――」
アーニャ「結果、諦めたんですね」
凛「……」
莉嘉「でもさ、なんでナムコプロ消えちゃったの?
会社潰れちゃったってこと?」
楓「それならなにかしらの倒産情報が必ず出てくるはず。
ナムコプロが法人登記されている企業ならばだけど」
蘭子「ふむ……」
蘭子(ほーじんとーきってなんだろう。後で調べなきゃ)
杏「重要なのはナムコプロという企業じゃなく、
そこで活動していたアイドルたちなんじゃないかな」
杏「ナムコプロがどの程度の規模なのかはわからないけど、
最低でも3人のアイドルが在籍していて、
その担当をしていたと思われるプロデューサーが、
彼女たちの個人情報、住所を知らないはずがない」
杏「にも関わらず捜し当てることができなかった。誰一人として。
これってどういうことだと思う?」
幸子「ど、どういうことなんですか……」ゴクリ
341 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/31(土) 18:56:47.66 ID:VwwaHNdc0
杏「プロデューサー、もしかしたらパラレルワールドから来た人かもしれない」
「…………」
342 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/31(土) 18:58:04.55 ID:VwwaHNdc0
杏「そんな痛い子を見るような目で杏を見ないでよ」
アーニャ「蘭子の目は輝いていますよ」
蘭子「並行宇宙……!」キラキラ
美嘉「パラレルワールドってよくSF映画とかでやってる
別の世界がどうとかーとかいうアレ?」
杏「それ」
愛梨「つまり、CGプロが存在する世界とナムコプロが存在する世界があって、
今私たちと一緒にいるプロデューサーさんはナムコプロの世界から来たってこと?」
杏「そう!」
楓「じゃぁ、CGプロの、私たちの本当のプロデューサーは別にいて、
彼は今ナムコプロの世界にいるということ?」
杏「そゆこと!」
凛・まゆ「マンガの見過ぎ」
杏「いうと思ったー!」
杏「でもそうとしか考えられないよ。
これがプロデューサーの妄想じゃないっていうなら」
杏「ナムコプロの人たちがある日突然消えたこと。
プロデューサー以外誰もその存在を知らないこと。
そしてプロデューサーがCGプロのことをなにも知らなかったこと」
杏「これ全部パラレルワールドくらいのぶっ飛び理論じゃなきゃ辻褄合わないでしょ」
凛・まゆ「……」
343 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/31(土) 18:59:11.36 ID:VwwaHNdc0
杏「で、ほんとのところはどうなの、志希ちゃん」
志希「……えへ、なんであたしに聞くの」
杏「さっきの口ぶりからして本当は気づいてたんじゃないの。
ナムコプロがあるってこと」
凛「……!」
杏「ずっと前から気になってた。
志希ちゃん、プロデューサーの記憶障害の話題になると
口数少なくなるし、敢えて避けてるように見えた」
杏「LiPPSへの参加をやめたのもそれと関係してんじゃないの」
美嘉「そうなの?」
志希「……」
志希「あたしはただ……、プロデューサーを信じただけ」
344 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/31(土) 19:01:06.54 ID:VwwaHNdc0
志希「彼が現代科学では証明できない、
特殊な状況下に置かれていることに関してはあたしも同意」
志希「ただ、本当のところはあたしにもわからない。
こういうのあたしの専門じゃないし、なんの科学的根拠も示せない」
志希「だから今からいうことは、単なる憶測でしかないけれど……」
志希「おそらく、変わったのはプロデューサーではなく、あたしたちの方」
志希「プロデューサーが……便宜上、記憶障害というけど、
それになったと思われる5月の朝もしくは前日の夜、
ナムコプロはCGプロに造り変わった。プロデューサーだけを残して」
アーニャ「造り変わった……」
未央「それって杏ちゃんのいうパラレルワールドとは違うの?」
志希「二人のプロデューサーが互いの世界を入れ替えっこしたんじゃなくて、
一つの世界がプロデューサーだけをそのままに他の全てを造り変えたの」
志希「つまり5月以前の世界にあたしたちは存在してなくて、
それ以降にあたしたちが誕生したってこと」
美嘉「ま、待って。それパラレルワールドよりもありえなくない?
アタシ5月前の記憶ちゃんとあるよ?
ずっと昔の小っちゃかった頃の記憶だって」
志希「過去の記憶があるからとそれが過去の証明とはならない。
なぜなら5月前の記憶があるように造り変えられたかもしれないから」
美嘉「そんな……」
蘭子「世界五分前説……!」ハッ
345 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/31(土) 19:01:57.36 ID:VwwaHNdc0
凛「じゃぁ、なに、今までの私の人生なにもかもが嘘だったってこと?
私の気持ちも? すべて?」
志希「そんな深刻に捉えないでよ。いったでしょ、憶測だって。
それを観測する手段がないから、否定することも証明することもできない」
卯月「……どちらの説が正しいのか私にはわかりませんが、
二人の話を聞いてようやく腑に落ちたような気がします」
卯月「プロデューサーさんが記憶を諦めた時どうして簡単に受け入れることができたのか、
二度と過去を共有できなくなるのにどうして悲しくなかったのか」
卯月「きっと心の奥底では気づいていたんですね。
プロデューサーさんが、私たちのプロデューサーさんではないことに」
凛「……」
346 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/31(土) 19:02:39.72 ID:VwwaHNdc0
卯月「私、プロデューサーさんをナムコプロの人たちに会わせてあげたいです」
杏「どうやって?」
卯月「それは、わかりませんけど……、でもきっとなにか方法が」
美嘉「待って。もし志希ちゃんのいってることが正しければ、
プロデューサーとナムコプロを引き合わせるには
世界を元に戻さないといけないってことでしょ?」
美嘉「それってつまり、アタシたち消えるってことじゃ……」
未央「……!」ハッ
卯月「それでもやります。たとえ私が消えることになって、
プロデューサーさんと二度と会えなくなっても、
泣いている人がいたら、私は手をさし伸べてあげたい」
347 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/31(土) 19:04:13.29 ID:VwwaHNdc0
未央「わかった。私、協力する。一緒にナムコプロ捜そ!」
卯月「未央ちゃん……!」
愛梨「私も協力する。あんな泣いてる姿見せられたら、
なにがなんでも助けてあげたくなっちゃうよ」
アーニャ「あの泣き顔はずるいです」
莉嘉「アタシもやる!
Pくんとナムコプロの人たちを会わせてアタシも消えないように頑張る!」
美嘉「頑張るって……、ま、やってみないことにはどうなるかわかんないか。
それじゃぁ、アタシも消えないように頑張ってみよっかな」
幸子「そうですね、ボクたちなら絶対に消えることはありませんよ!
根拠はないですけど!」
蘭子「ククク、面白い。ならば我も力を貸そう。
どのような終局を迎えるか、この眼でしかと見届けさせてもらう!」バーン
杏「杏もやるよ。なにをどうすればいいのかさっぱりだけど、
プロデューサーのためなら、たまにはやる気出す」
楓「それなら私もやるわ。杏ちゃんが自発的にやる気を出すなんて
天地がひっくり返るよりありえないことが起きているんだから、
きっとナムコプロは見つかるわ」
杏「あぁ、そういわれるとそんな気がしてきた。見つかるわ、ナムコプロ」
アハハ
348 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/31(土) 19:05:26.48 ID:VwwaHNdc0
凛「ち、ちょっと待ってよ、みんな本気?
本気ででそんな話信じるわけ? 現実的に考えてありえないでしょ」
杏「じゃぁ他に説明つく? ナムコプロが見つからない理由」
凛「だから! なんでナムコプロがあるって信じられるの?
見つからないのはプロデューサーの妄想だからでしょ!」
卯月「私は信じます、ナムコプロのこと。ハルカちゃんはきっといます」
凛「……ばかばかしい、話にならない。
頭おかしくなってんの卯月の方なんじゃないの」
卯月「……!」
未央「しぶりん!」
凛「……とにかく、私は信じないし、協力もしない。
ナムコプロ捜したければ勝手に捜せば?」スッ
まゆ「ごめんなさい、まゆもみなさんのいっていることが信じられない。
たとえそれが本当だったとしても、協力できません」
まゆ「まゆは、プロデューサーさんと離れたくない」
まゆ「ナムコプロに、
まゆのプロデューサーさんを返してあげないんだから……!」スッ
美嘉「あ……」
ガチャッ バタン――
志希「……」
349 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/31(土) 19:06:15.01 ID:VwwaHNdc0
未央「なんなのしぶりん、あのいいかた! ひどくない!?」プンスカ
卯月「未央ちゃん、私は気にしてませんから」
杏「まぁ、そう怒らさんな。
杏だって正直、まだ半信半疑なところあるもん。
二人の信じられない気持ちも理解できる」
楓「いいえ、“信じられない”のではなく“信じたくない”のよ。
まゆちゃんのいっていたことがすべてだわ」
アーニャ「プロデューサーと離れたくない」
美嘉「そりゃ、アタシだって……」
幸子「でも離れるとまだ決まったわけじゃないですよね?
もしかしたら杏さんの説が正しいのかもしれませんし」
愛梨「うん、やってみないことにはわからないよ」
志希(……)
350 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/31(土) 19:07:23.75 ID:VwwaHNdc0
莉嘉「じゃぁ、これからどうする? 作戦会議?」
卯月「あの……」
卯月「私、凛ちゃんとまゆちゃんにも一緒にやってもらいたいです。
私たち13人の力を合わせないと……」
卯月「そうしないと、いけない気がするんです」
愛梨「私も全員揃ってやった方がいいと思う。
こういう時こそ全員が納得して全員で協力しないと」
未央「そうはいっても、愛の重いツートップだしなぁ」
美嘉「あの二人を説得するのはかなり……」
楓「骨が折れるわね」
杏「複雑骨折するよ。バッキバキに」
アーニャ「なら、みんなで骨折しましょう。
骨折して繋ぎ合わせれば前より強度が増します。
そう、私たちの絆も」
幸子(いいこといってるようなそうでもないような……)
蘭子「ではオペレーション“ボーン・ブレイク”を直ちに発動せよ!」ババーン
志希・莉嘉「ラジャー!」
…………………
………………
…………
……
351 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/31(土) 19:08:12.28 ID:VwwaHNdc0
凛「は?」ギロリ
352 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/31(土) 19:09:08.91 ID:VwwaHNdc0
まゆ「……」プイ
353 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/31(土) 19:10:16.74 ID:VwwaHNdc0
未央「もうやだ! マジ無理! 私は死んだ!
今のしぶりん狂犬だよ! あんなの説得できるわけない!」ウワーン!
杏「諦めるの早すぎでしょ」
卯月「まゆちゃんの方はどうでしたか」
美嘉「こっちも似たようなもん。聞く耳すら持ってくれない」ハァ
幸子「まぁ、昨日の今日ですし、少し冷静になる時間が必要かもしれませんね」
蘭子「しかし『鉄は熱いうちに打ち滅ぼせ!』ともいう」
杏「滅ぼしちゃいかんでしょ」
愛梨「そういえばプロデューサーさんって今どんな様子かな。誰か会った人いる?」
莉嘉「アタシ会ったよ。けっこーふつーだった。
あと昨日はカッコ悪いとこ見せてゴメンって」
美嘉「莉嘉、プロデューサーにナムコプロのことは……」
莉嘉「大丈夫、聞いてない」
杏「……根気だ、根気。粘り強く二人と話そう。二人ならきっとわかってくれるよ」
楓「よもや、杏ちゃんから“根気”なんて言葉を聞ける日がくるなんて……」
志希「感慨深いわぁ」
アーニャ「生きていてよかったです」
杏「ねぇ、一周回って杏のことバカにしてない?」
…………………
………………
…………
……
354 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/10/31(土) 19:11:51.00 ID:VwwaHNdc0
た
し
あ
は
き
づ
つ
↑
355 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/31(土) 19:20:58.70 ID:TaxOhPWDO
うわぁ……伝家の宝刀を抜いちゃったよ
さよりなパラレルならともかく、転生したら剣でしたのアレみたいで収拾はつくのかしら?
356 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/31(土) 23:36:43.26 ID:je1kQGtvo
乙
さてどうなることやら
二人の仮説が正しいとも限らないしな
357 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/01(日) 08:45:11.22 ID:iOnpmmBpo
あきえもん助けて
358 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/01(日) 11:09:52.70 ID:f+TQKMdP0
――パシャッ パシャッ
「いいよー、まゆちゃん。ノッてきたねぇ。
もう何パターンか続けて撮ってみようか」
P「……」
359 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/01(日) 11:10:39.96 ID:f+TQKMdP0
まゆ「あ、プロデューサーさん、おいでになられていたんですね」
P「お疲れ。どうだ、久しぶりのファッションモデルは」
まゆ「楽しいです。まるで昔に戻ったみたい――」ハッ
志希『つまり5月以前の世界にあたしたちは存在してなくて、
それ以降にあたしたちが誕生したってこと』
P「どうした」
まゆ「い、いえ、なんでも」
「まゆちゃん、そろそろ続き始めようか」
まゆ「は、はい」
P「まゆ、撮影終わったら一緒に帰ろう」
まゆ「……」コクッ
360 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/01(日) 11:11:13.57 ID:f+TQKMdP0
まゆ「プロデューサーさん、お待たせしました」
P「じゃあ、行こうか」
361 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/01(日) 11:12:18.71 ID:f+TQKMdP0
ブウウゥゥン……
P「まだ昼とってないだろ。どこかで食事してから帰るか」
まゆ「でしたらまゆおススメのお店があります」
愛梨『つまり、CGプロが存在する世界とナムコプロが存在する世界があって、
今私たちと一緒にいるプロデューサーさんはナムコプロの世界から来たってこと?』
まゆ(……この人が別人なわけない)
まゆ(ずっと見てきたのよ。この人のことならなんでも知ってる。
私が好きな人を間違えるはず――)
志希『過去の記憶があるからとそれが過去の証明とはならない。
なぜなら5月前の記憶があるように作り変えられたかもしれないから』
まゆ(……)
P「そうだ。食事の前に少し寄り道していいか」
まゆ「いいですけど、どこへ行かれるのですか」
……
…
362 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/01(日) 11:12:55.28 ID:f+TQKMdP0
まゆ「ここって……」
P「ゲームセンターだな」
まゆ「……」
P「さあ、入ろう」
363 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/01(日) 11:14:40.59 ID:f+TQKMdP0
まゆ「少し意外です。プロデューサーさんはゲームがお好きだったんですか」
P「まあ、人並みに。学生時代はよく友人と遊んでたよ。今はからきしだけど」
まゆ「では、なにをされに」
P「これだな」
まゆ「プリクラ……」
P「前に一緒に撮った時のことを覚えているか。
あの時、ぎこちない笑顔で上手く笑えてなかったから、
いつかまた撮り直したかったんだ」
まゆ「……」
P「一緒に撮ってくれるか」
まゆ「……ごめんなさい、今度は私が上手く笑えそうにありません……」
P「……」
P「この前のことを気にしてるなら謝るよ。すまなかった、取り乱して。
まゆたちはなにも気にすることはないから」
まゆ「……わからないんです。
ずっと貴方を見てきてなんでも知っているはずなのに、
もし貴方が私の知っているプロデューサーさんではなかったなら」
まゆ「私が抱いているこの想いは、この気持ちは一体なに?」
364 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/01(日) 11:16:01.00 ID:f+TQKMdP0
P「……俺は」
P「まゆの知っているプロデューサーじゃない」
P「おそらく5月以前の“俺”がまゆの知っている本物の“俺”だ。
過去と現在の俺は容姿も性格もほぼ一緒みたいだから、
まゆが間違えても仕方がなかったんだと思う」
まゆ「仕方なくなんかない。
結局それを見抜くことができなかったんだから、
私の気持ちなんて所詮その程度……」
まゆ「それとも、志希さんのいっていることが正しいのかしら」
P「志希?」
まゆ「志希さん曰く、変わってしまったのは貴方ではなく私たちの方。
貴方だけを残し、他の全てが造り変わってしまった」
まゆ「私たちが誕生したのは5月以降で、5月前の記憶があるのは
そのような記憶があるように作られたから、らしいです」
P「……」
365 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/01(日) 11:17:53.82 ID:f+TQKMdP0
まゆ「貴方が決めてくれませんか」
P「……?」
まゆ「もう私にはなにが本当でどれが嘘なのかわかりません。
結ばれたリボンの先に誰がいるのか。
この想いに名前をつけてほしい。そうしたら私は……」
P「それはまゆが自分で決めることだ。自分の想いを他人に委ねてはいけない」
P「自分で考え、行動し、決断するんだ。そうして俺はまゆたちを選んだよ」
まゆ「え……」
P「765プロではなく、CGプロを選んだ……はずだった」
P「ずっと忘れていたはずなのに、
あいつらの面影がふとした瞬間に重なって……」
P「忘れろ、765プロは俺の妄想なんだ、って必死に思い込もうとしたよ。
未練がましい自分が嫌になった」
P「けど、それでようやく本当の自分の気持ちに気づいた」
P「俺はあいつらに会いたい。なにがなんでもだ。
必ず、765プロのみんなを見つけ出す」
まゆ「……」
P「そして、まゆたちのプロデュースも続ける」
まゆ「……え」
P「俺はまゆやCGプロのみんなが好きだ。
765プロのアイドルに負けない情熱と個性の塊のような面々。
みんなのプロデュースが楽しくて仕方がなかった。
それこそ765プロを忘れてしまうほどに。
その気持ちもまた本当なんだ」
P「だからもし、まゆたちの本物の“俺”がいたとしても、
今さらそいつにみんなを返すつもりはない。
こんな面白いやつらをみすみす手離してたまるか」
P「俺がこの手で必ずみんなをトップアイドルにしてみせる」
まゆ「……」
366 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/01(日) 11:19:24.39 ID:f+TQKMdP0
まゆ「それってつまり、
ナムコプロのアイドルの方々をCGプロに引き抜くということですか。
それとも私たちがナムコプロへ?」
P「え……、あ、いや、それは多分無理だろうから、
俺が独立してフリーになるしかないか……?」
まゆ「それにもし本物のプロデューサーさんがいたとして、
私たちがそちらの元へ戻りたいといったらどうするんですか。
私たちの意見は無視ですか」
P「えっ! そ、それは……、や、やっぱり戻りたいか?」
まゆ「…………ぷっ」
まゆ「あははははっ!」
P「え、ま、まゆ?」
まゆ「はぁ……、
なんだか真剣に悩んでいたのがバカらしくなっちゃいました」
P「そんな風に笑えるんだな」
まゆ「そうですね、私もこんな風に笑うのは初めてかも」
まゆ「……プリクラ、撮りましょうか」
P「ああ。今なら飛び切りの笑顔で撮れる」
まゆ「ふふ……」
まゆ(……)
………
……
…
367 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/01(日) 11:19:58.04 ID:f+TQKMdP0
卯月「――まゆちゃんが?」
美嘉「協力してくれるってさ」
未央「マジ!?」
杏「ほーれ、ちゃんと話せばわかるっていったじゃん」
美嘉「アタシはなにも話してないよ」
杏「へ?」
美嘉「なにがあって心境を変えたのかわからない。
ただちょっと寂しそうだったかな」
卯月「……」
杏「まぁ、とりあえずは『よし』としようよ」
未央「残るは……」
368 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/01(日) 11:21:43.76 ID:f+TQKMdP0
未央「しぶりん!」
凛「……」チラッ
未央「うっ……え、えーと、き、今日は大変お日柄もよく……」
凛「……」
未央「……」ダラダラ
卯月「凛ちゃん、お願いです。一緒に協力してくれまんせか。
プロデューサーさんをナムコプロの人たちに会わせ――」
凛「いやだ」
凛「やりたければアンタたちだけでやってって前にもいったよね」
美嘉「ねぇ、凛だって今この状況のままでいいとは思ってないでしょ。
ナムコプロを信じられない気持ちもわかるけど、とりあえず協力してくれない?
なにか解決の糸口が掴めるかもしれないじゃん」
凛「解決って……、それ誰がなにに対しての解決?
私の解決はプロデューサーをナムコプロって妄想から解放することなんだけど」
卯月「どうして妄想って決めつけるんですか。
凛ちゃんはプロデューサーさんの涙を見てなにも感じなかったんですか」
凛「……っ」
卯月「大切な人と離れ離れになるのがどれだけ辛いことか、
今の私たちならわかるはずです!」
凛「涙を流したからなんだっていうの!?
それがナムコプロの存在証明にはならないでしょ!」
卯月「〜〜っ! どうして! 凛ちゃんは! いつも!
いつも自分の気持ちばかり優先して!」
卯月「その頑な態度がプロデューサーさんを苦しめてるって
どうしてわからないんですか!」
未央「し、しまむー……らさん?」
卯月「凛ちゃんだって本当は気づいてるんじゃないですか!?
ナムコプロが本当はあるって! 私たちが――」
凛「やめてよ!!」
凛「やめて……。ナムコプロなんて知らない。
お願いだから私を巻き込まないで……!」ダッ
美嘉「あ、凛!」
………
……
…
369 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/01(日) 11:22:38.49 ID:f+TQKMdP0
卯月「ごめんなさい……。
私のせいで凛ちゃんをさらに意固地にさせたかもしれません……」
未央「いえ……、島村さんの怒りはごもっともかと思われます」
卯月「み、未央ちゃん、いつもみたいに『しまむー』でいいですからね?」
美嘉「ってゆーか、どーする?
あの様子じゃもうまともに聞き入れてくれないんじゃない」
卯月「……まゆちゃんに話してもらうのはどうでしょうか。
自分の心境の変化を語ってもらえれば……」
370 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/01(日) 11:23:17.42 ID:f+TQKMdP0
まゆ「――いえ、まゆでは凛ちゃんの気持ちを変えることはできないと思います」
まゆ「自分で考え、行動しなければ、自分の気持ちを変えることはできません」
未央「ううむ……、どうします? 島村さん」
卯月「……未央ちゃん、『しまむー』でお願いします」
まゆ「もっとも、そういうまゆは結局、
プロデューサーさんの言葉に心を動かされましたけど」
未央「うぇ?」
まゆ「少し、待ちませんか」
まゆ「凛ちゃんの心を動かせるとしたらやはり……」
…………………
………………
…………
……
371 :
◆nx90flyJCa6p
[sage saga]:2020/11/01(日) 11:24:14.93 ID:f+TQKMdP0
かーっ! 続きは夜たい!
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