過去ログ - 【叫ぶような声も】能力者スレ【無痛になっていく】
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◆S6ROLCWdjI
[sage saga]
2018/08/29(水) 00:08:06.23 ID:b6wepNv30
>>485
【「……裏通り使って行きます」。不機嫌を隠すことなく、振り返るもせずすたすた歩いて、「家」に辿り着いたなら】
【曰く奥のほうにある部屋は自室だから入らないでほしい。他のところなら別に構わない、とか言って】
【さっさとシャワールームに籠ってしまうんだった。「……夕月さんの部屋は、そっちです」。去り際に言い残す】
【大きく分けて二部屋。リビングに付随する形で佳月の部屋があって、もう一部屋が「あの子」がかつて使っていたもの】
【そういう間取り、何もせず待っていたいならリビングでいいだろうけど。何かしら気になるなら――部屋を探索したっていい】
【入るなら、おそらく佳月の手でとりあえず整頓された――けれど殺しきれないあの子の香りがほのかに残っている、】
【そんな感じの、女の子の部屋としてはありふれた内装。表向き片付けられてはいるけど、抽斗とか、机の上とか】
【クローゼットとか。そういう細かいところには手が付けられていないようだった。……それも勝手に見てしまうなら、】
【恐らくゲーセンで取ったと思わしきぬいぐるみがベッドに転がっているとか。机上に日付の古い雑誌が置きっぱなしとか】
【クローゼットの中には一回使ったきりっぽい水着とか、浴衣とか――安っぽいやつ。そういう遊びに行くための衣服があったりとか】
【――――なんにせよ、あの子が「ありふれた少女」であったことの一端が。残滓が。探そうと思えばいくらでも見つかるんだった】
【(それがどうして今の形に歪んでしまったんだか。わかりやしないけれど、)】
…………、……何か面白いものは見つかりましたか?
【10分そこらでシャワーの音は止んだ。恐らく本当に浴びた血を洗い流しただけで終わって、佳月はすぐに戻って来た】
【ドライヤーのかけ方が雑なのはあの子と同じで、白い髪は微妙に湿っていた。でもわりかしさらさらしているのは、地がいいからか】
【「なんであたしばっかりこんなクセっ毛なんだろうなー」。そんな声が今にも聞こえてきそうな雰囲気を纏って】
ほんと遠慮ないんですね。別に、いいですけど……。…………、
……夕月さん、元気ですか? ごはんとか食べてますか。あの人放っておいたら野菜一切食べませんよね。
ちゃんと食べさせてますか? なんだかあなた、甘やかしてそうで心配。…………、こういうのは、今はいいのか。
【「聞きたいこと」――もっと他にいろいろあるだろうに。「組織」の詳細情報とか、彼と夕月の関係性とか】
【なのに結局はそういうことを一番最初に訊いてしまうんだった。結局のところ心配で心配で仕方ないんだった】
【ひとりっきり、この家で待ち続けるのはずっと不安なんだった、単純に。「……お茶飲みますか?」】
【「カップ、夕月さんが使ってたやつしかないんですけど」。振り払うみたいにそういうどうでもいいことを言って、】
【くれって言われたんなら冷蔵庫からペットボトルのものを取ってくるんだろう。2リットルのやつ。ひとりしかいないのに】
【それでも、いつ帰ってきてくれてもいいようにって思って。しきたりを何も変えていなかった、二人で一緒に買った食器も、引っ張り出して】
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