2:URAAKA[sage saga]
2024/11/14(木) 19:18:23.00 ID:wnkKP7FO0
常連客は少しだけ黙り込んだ。カップを置き、外の雨音に耳を澄ませる。
「でもさ、変わり続けることって、怖くない?」常連客はふとそんな言葉を漏らした。「変わってしまったら、もう戻れなくなる気がして。それが、なんだか怖いんだよ。」
マスターは穏やかな目をして、その言葉を受け止める。彼はゆっくりと腕を組んでから、少しだけ視線を外に向けた。
3:URAAKA[sage saga]
2024/11/14(木) 19:21:30.48 ID:wnkKP7FO0
今日も店内にはほとんど客がいなかった。常連客は、いつもの席に腰を下ろすと、いつも通りの静かな雰囲気の中でマスターの顔を見上げた。
「ねぇ、マスター」と、常連客が突然話しかける。
「どうした?」マスターは、珈琲の香りを漂わせながら目を上げる。
4:URAAKA[sage saga]
2024/11/14(木) 19:22:30.55 ID:wnkKP7FO0
>>3 「もしも、時間が逆行したら」
5:URAAKA[sage saga]
2024/11/14(木) 23:18:47.12 ID:wnkKP7FO0
3
僕は、人を笑わせることが得意だった。みんなの前で、何かしら面白いことを言ったり、やったりすれば、すぐに笑顔が見られた。最初はその笑顔が嬉しくて、もっともっと面白いことをしようと思った。笑わせて、みんなが喜んでくれる。それが僕の役割で、僕の取り柄だった。
でも、時間が経つにつれて、同じことじゃ飽きられてしまうのがわかってきた。だから、もっと過激に、もっと衝撃的に。段々と、それがエスカレートしていった。最初はちょっとした冗談だった。それが、段々と許される範囲を越えていって、最後には本当に取り返しのつかないところまで行ってしまった。
6:URAAKA[sage saga]
2024/11/14(木) 23:20:51.59 ID:wnkKP7FO0
4
「人は同じ場所に戻りたくなるものだ。」
その言葉が胸に突き刺さった。戻りたくなるのは、何もかもが最初からうまくいっていたと思いたいから。でも、僕が戻りたい場所にはもう誰もいない。みんながいたと思っていたその場所は、実は僕が作り上げた幻想だったのかもしれない。
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