何度でも戻ってくる場所
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5:URAAKA[sage saga]
2024/11/14(木) 23:18:47.12 ID:wnkKP7FO0
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僕は、人を笑わせることが得意だった。みんなの前で、何かしら面白いことを言ったり、やったりすれば、すぐに笑顔が見られた。最初はその笑顔が嬉しくて、もっともっと面白いことをしようと思った。笑わせて、みんなが喜んでくれる。それが僕の役割で、僕の取り柄だった。

でも、時間が経つにつれて、同じことじゃ飽きられてしまうのがわかってきた。だから、もっと過激に、もっと衝撃的に。段々と、それがエスカレートしていった。最初はちょっとした冗談だった。それが、段々と許される範囲を越えていって、最後には本当に取り返しのつかないところまで行ってしまった。

あの時、僕は何をしていたんだろう。みんなが笑うのを見て、嬉しいと思っていた。でも、いつの間にかそれが義務みたいになってしまって、みんなの期待に応えなければいけないというプレッシャーがどんどん強くなっていった。

そして、僕は気づいた。どんなに頑張っても、みんなとの距離は縮まらないどころか、むしろ遠くなっていくばかりだってことに。僕のネタはもはや「笑いのため」ではなくなっていた。みんなの前で笑わせるために、自分を犠牲にしているだけだった。

でも、それをやめられなかった。それが僕の「取り柄」だから。何度も、自分を無理にでも奮い立たせて、笑わせることで、みんなの目を楽しませて、そんな自分に満足しようとした。けれど、空虚な笑顔が僕を取り巻いていくばかりで、その場所にはもう意味がなくなっていた。

結局、あの場所は僕にとって「戻りたい場所」だった。それだけしか残らなかった。それが、僕にとっての全てだった。

「人は同じ場所に戻りたくなるものだ。」


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