何度でも戻ってくる場所
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6:URAAKA[sage saga]
2024/11/14(木) 23:20:51.59 ID:wnkKP7FO0
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「人は同じ場所に戻りたくなるものだ。」

その言葉が胸に突き刺さった。戻りたくなるのは、何もかもが最初からうまくいっていたと思いたいから。でも、僕が戻りたい場所にはもう誰もいない。みんながいたと思っていたその場所は、実は僕が作り上げた幻想だったのかもしれない。

今、ここに来て気づいた。どれだけ戻りたくても、もうそこには何も残っていない。やり直すべきは、過去の選択でもなく、あの場所に戻ることでもない。ただ、自分を許し、前に進むことなんだ。過去の自分を認めることで、初めて新しい場所に進むことができるんだと。

そこで、店主の言葉が頭に響く。

「君が悔いているのは、過去の選択だけじゃない。君はその時、自分自身を見捨てたんだ。でも――今ここで、もう一度自分を選び直すことだってできるんだよ。」

ああ、そうだ。僕は、あの場所に戻ることが正しいと思っていた。でも、もう戻る必要はない。過去を背負いながら、前に進むために今、ここにいるんだ。

「ありがとう。」

その一言で、心が少し軽くなった気がした。

店主は静かに微笑んで、何も言わなかった。それだけで、全てが伝わってくる気がした。過去はもう取り戻せないけれど、今、ここからやり直すことはできる。僕が進むべき道が、きっと見つかると信じて。

店を出るとき、ふと気づいた。あの場所は、もう僕のものではない。でも、それを受け入れることで、きっと新しい場所が見えてくるのだろう。


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