クラスの変わり者が揉め事を起こして始まる一次創作
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43:名無しNIPPER[saga]
2023/11/14(火) 00:14:30.22 ID:tXlGNfuHO
「はぁー楽しかった。ありがとうカヤさん」
「気に入って頂けたなら幸いです。そろそろお屋敷に到着します。ようこそ有栖川邸へ」
閑静な住宅地の丘の上に僕らの暮らす街を見下ろすように有栖川のおうちが建っていた。
立派な門を潜り敷地内に入ってもまだ建屋には辿り着かない。広い庭園が迷路のようだ。
44:名無しNIPPER[saga]
2023/11/14(火) 00:17:31.86 ID:tXlGNfuHO
「あー……カヤちゃん、ちょっとちょっと」
「はい、旦那様。如何なされましたか?」
「あの子がうちの子の彼氏? かれぴっぴ?」
「はい。田中様がお嬢様のかれぴっぴです」
「なんかイメージと違うんだけど……?」
45:名無しNIPPER[saga]
2023/11/14(火) 00:19:40.84 ID:tXlGNfuHO
「有栖川、僕だよ」
ノックして訪ねる。すると内側から開いた。
「お、おかえりなさいませ……だんにゃ様」
46:名無しNIPPER[saga]
2023/11/14(火) 00:22:53.64 ID:tXlGNfuHO
「有栖川、僕は有栖川のことが……!」
「失礼します。お茶とお菓子をお持ちしました。田中様はミルクと砂糖が必要ですか?」
「あ、欲しいです……」
完璧なシチュエーション。完璧なムード。そして完璧なタイミングで邪魔をされた。怒りよりも虚しい。有栖川が代わりに激怒する。
47:名無しNIPPER[saga]
2023/11/14(火) 00:25:27.86 ID:tXlGNfuHO
「んじゃ、車に乗りな。帰んぞー」
「あ、はい。よろしくお願いします」
あの後、祝賀会だと言われて豪勢な晩餐を頂いて、有栖川のお父さんの手酌をなんとか躱しながら、テーブルの下で有栖川と手を繋いだりなんかしてイチャついて、夜9時くらいに僕の恋人がおねむとなったのでお暇した。
48:名無しNIPPER[saga]
2023/11/14(火) 00:28:29.51 ID:tXlGNfuHO
「本当に有栖川のお姉さんみたいですよね」
「それマジで脳汁出るから。もっと言って」
「怒った顔とか、笑った顔がそっくりです」
キッと路肩に停まる。なんだろうと伺うと。
49:名無しNIPPER[saga]
2023/11/15(水) 00:02:15.17 ID:zxU3s34mO
「あーもう! こんな筈じゃなかったのに!」
放課後、佐竹が頭を抱えて何やら叫んでいる。学校一の美少女の乱心をひと目見ようとよそのクラスや違う学年からも野次馬が集まり、ちょっとしたお祭り騒ぎとなっていた。
「山田。佐竹どうしたの? まるで"FXで有金全部溶かした人"みたいになってるけど……」
50:名無しNIPPER[saga]
2023/11/15(水) 00:04:21.50 ID:zxU3s34mO
「んで、なんだよ相談って?」
最近知ったことだけど、山田はパフェを食べている時に無意識に微笑んでいる。あたしもあまり笑わないほうだけど、山田もほとんど笑顔を見せないので、微妙な表情の変化がより映える。スマホで写真を撮ると怒られた。
「帰る」
51:名無しNIPPER[saga]
2023/11/15(水) 00:07:41.38 ID:zxU3s34mO
「その友達には実の姉のように慕っている人がいる。小さい頃から仲良しで大切な人だ。だから友達は恋の悩みを打ち明けた。するとその人は「依存するのは良くない」と咎めた。なのである程度距離を保ちつつ、交際することにした。しかし付き合ってみると恋人と過ごす時間が少なく感じて寂しい。なんなら姉のように慕っている人のほうが家庭教師という名目で恋人と頻繁に逢瀬を重ねている。それを聞いたあたしはこれはもう浮気なんじゃないだろうかと思った。どう思う?」
これは実話だ。あたし自身のエピソードだ。
せっかく田中と恋人同士になれたのに毎日毎日勉強勉強。今日だって放課後になったらいつの間にか田中の姿がなく、校門からカヤの愛車のRX-7が走り去るのが見えた。前にあたしと彼氏しか乗せないって言ってたのに。
52:名無しNIPPER[saga]
2023/11/15(水) 00:09:45.19 ID:zxU3s34mO
「ちなみに、山田ならそんな時どうする?」
「あたしならとりあえずブチギレる。浮気相手を徹底的にボコして恋人は捨てる。以上」
山田は凄まじい。だけど参考にならないな。
53:名無しNIPPER[saga]
2023/11/15(水) 00:11:38.15 ID:zxU3s34mO
「ねえ、山田。そっちに行っていい?」
思えばこれまで悩みを打ち明ける相手はカヤしかいなかった。もちろん田中も恋人なので相談出来るけど当事者たちに今回のような悩みを相談することは出来ない。だから山田は貴重な存在だ。もっと仲良くなりたかった。
「は? 普通に嫌なんだけど」
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