クラスの変わり者が揉め事を起こして始まる一次創作
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46:名無しNIPPER[saga]
2023/11/14(火) 00:22:53.64 ID:tXlGNfuHO
「有栖川、僕は有栖川のことが……!」
「失礼します。お茶とお菓子をお持ちしました。田中様はミルクと砂糖が必要ですか?」
「あ、欲しいです……」

完璧なシチュエーション。完璧なムード。そして完璧なタイミングで邪魔をされた。怒りよりも虚しい。有栖川が代わりに激怒する。

「カヤ! どうして邪魔をするんだ!?」
「お嬢様、一旦冷静になられてください。このカヤが考案したシチュエーションとムードは我ながら完璧だったと自負しております。しかしながらたった一度きりの愛の告白。ありきたりな台詞でよろしいのでしょうか?」
「はっ……なるほど、たしかに一理あるな」

我に返る有栖川。僕としても耳が痛い指摘だ。たしかに僕はさっきありきたりな告白をしようとした。それは相応しくないだろう。

「カヤさん! どうか、僕にご助言を……!」
「甘えてんじゃねー!」
「ぐはぁーっ!?」
「田中ー!? カヤ、どういうつもりだ!?」

ワンインチパンチで吹っ飛ばされた僕に駆け寄る有栖川。そのまま僕を庇うように立ち向かう、有栖川の後ろ姿に悔し涙が出る。庇われるだけ自分はあまりにも情けない。立つんだ。立ち向かうんだ。有栖川を押し除けて。

「カヤさん。少しだけわかった気がします」
「ほう? ならば見せてみろ。愛の告白を!」

言われなくとも。有栖川の肩に手を置いて。

「有栖川。僕は君を恋人にする。いいね?」
「……いいよ。あたしを田中の恋人にして」

誰かに選ばれるんじゃない。僕が君を選ぶ。

「おめでとうございますお嬢様、若旦那!」

こうして、僕たちは晴れて、恋人となった。


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