クラスの変わり者が揉め事を起こして始まる一次創作
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48:名無しNIPPER[saga]
2023/11/14(火) 00:28:29.51 ID:tXlGNfuHO
「本当に有栖川のお姉さんみたいですよね」
「それマジで脳汁出るから。もっと言って」
「怒った顔とか、笑った顔がそっくりです」

キッと路肩に停まる。なんだろうと伺うと。

「……お嬢、滅多に笑わないだろ?」
「ですね。だからこそ貴重なんです」
「お嬢が小さい頃に奥様が亡くなってな。それからあまり笑わなくなった。でも今は昔みたいに笑うようになった。お前のおかげだ」

そう言って深々と僕に向かって頭をさげた。

「ありがとな、田中ちゃん。いや……本当にありがとうございます田中様。カヤはこのご恩に報いるべく今後誠心誠意、尽力します」

ハザードの音が響く。返答は、間違えない。

「有栖川のために、よろしくお願いします」

見透かすような瞳を見据えると逸らされた。

「あの告白……正直あたしもドキッとした」
「ふふ。そう言われると照れちゃいます。ていうか有栖川もそうですけど、カヤさんも意外とああいうのが好きなんですね。いやそもそもあのシチュエーションやムードがカヤさんの発案なら実は意外でもないのかも……」
「っ……へ、減らず口閉じないと舌噛むぜ」

急発進で誤魔化すカヤさんは真っ赤だった。
疼くのか額の傷をゴシゴシとこすっている。
横目で伺っていると「田中ちゃんに色目使われたってお嬢に言いつけてやる」と言われたので慌てて前を向いた。破局するのは嫌だ。

「そう言えばカヤさんって苗字なんですね」
「ああ、そうだよ。苗字が茅葺だからカヤ」

僕の周りには、苗字を名乗る人が多すぎる。


【結局、僕は使用人の下の名前を知らない】


FIN


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