キョン「どうやら俺は、お前のことが大好きだ」佐々木「……やれやれだね」
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1:名無しNIPPER[sage saga]
2021/12/26(日) 20:19:13.03 ID:Pq65kueIO
「なあ、佐々木」
「ん? どうしたの、キョン」
「どうやら俺は、お前のことが好きらしい」

唐突であるが中学時代の一幕を回想しよう。
あれはクリスマスから一夜明けた12月26日で日曜日。その日の塾帰りに俺は、自分なりに導き出した結論を佐々木に伝えた。すると。

「好きというのはつまり、恋愛感情かい?」
「ああ」
「随分と自信があるようだけど、どうしてキミはそれを恋愛感情と断言出来るのかな?」

佐々木という奴はご覧の通り面倒臭い性格をしていて、この世で起こる全ての出来事には理由があり、何らかの法則に従った結果として収束するのだと信望しているようだった。

「断言はしてない。好きらしいってだけだ」
「その言い方だとまるで外部の何者かの客観的意見を参考にしているようにも取れるね」

さすがに察しがいい。佐々木は頭が良いので突発的な俺の妄言の中に含まれる深層心理を見抜いて、無自覚な矛盾点を掘り下げる。

「キョン。感情とは流動的で、刻一刻と変化するものだ。その中でも好意は特殊で自分から相手に向ける感情ではあるが、自分の中で生み出されるその瞬間だけは、外部の影響を受けるべきではない。発生してからゆらゆら揺れ動くのは仕方ないが、発生だけは人工的ではなく自然なものなければ僕は認めない」

好意を自覚する際に外部に頼ることは何らおかしくないとは思う。それを認めない、認めたくないのは佐々木の個人的な矜持だろう。

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2:名無しNIPPER[sage saga]
2021/12/26(日) 20:22:14.88 ID:Pq65kueIO
「矜持などではなく、単に僕は狭量なのさ」

くくっと、皮肉げに口の端を曲げて自嘲する佐々木の仕草に胸を締め付けられるのは俺だけの感情であると、それだけは断言できる。

「やっぱり俺は、お前のことが好きだ」
以下略 AAS



3:名無しNIPPER[sage saga]
2021/12/26(日) 20:25:04.98 ID:Pq65kueIO
「お前の言ってることを、俺は否定しない」
「だろうね。否定なんて出来やしない。何故ならキミは僕のことなんて理解していないからだ。僕はこんなにキョンのことを理解しようと努めているのに、キミはそれをしない」

佐々木のことは誰よりも知ってるつもりだ。
一人称を僕にしているのは恋愛と距離を置きたいのだとわかっているし、好意を伝えてから一度も目を合わせない理由もわかってる。
以下略 AAS



4:名無しNIPPER[sage saga]
2021/12/26(日) 20:27:59.84 ID:Pq65kueIO
「さて、キョン」
「落ち着いたか?」
「ああ。キミに頭を撫でられたり、抱きしめられたりしなくても、僕はこの通り平気さ」

頭を撫でても良いのはイケメンだけであり、抱きしめていいのもイケメンだけである。
以下略 AAS



5:名無しNIPPER[sage saga]
2021/12/26(日) 20:31:23.21 ID:Pq65kueIO
「なあ、佐々木。もう泣くなよ」
「だって、僕は……」
「実はさっき、緊張して少し漏らしたんだ」

務めて明るく朗らかに。親友に打ち明けた。
以下略 AAS



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