1:wenppy ◆28goFgfuuI[sage saga]
2021/11/23(火) 20:05:41.31 ID:Rr9Z2Vx8O
こちらでは初投稿です。よろしくお願いいたします。
SSWiki : ss.vip2ch.com
2:名無しNIPPER[sage saga]
2021/11/23(火) 20:08:44.42 ID:Rr9Z2Vx8O
「ねぇねぇ、プロデューサーは方舟って見たことある?」
とある日の昼下がりの午後のこと。
プロデューサーとめぐるは事務所で小休憩を取っていた。
「ノアの方舟のことか? 内容は知っているが、本や映画を観たことはないな」
プロデューサーは陶器のマグカップに口付け、唇を湿らせる。
3:wenppy ◇28goFgfuuI[sage saga]
2021/11/23(火) 20:09:25.15 ID:Rr9Z2Vx8O
「実物? いや、ないな????」
プロデューサーはカップを前眼のローテーブルに置いた。
ゆらゆらと漂う湯気が、室内の温かな空気に溶けてゆく。
記憶を辿るもそれらしいものを見た経験は無かった。
「この間インターネットで見つけたんだけど、方舟って、名前の通り本当に四角い船なんだって!」
4:wenppy ◇28goFgfuuI[sage saga]
2021/11/23(火) 20:11:39.22 ID:Rr9Z2Vx8O
「めぐる、近い近い。??でも、どうしてまた?」
彼女が動いたことでソファーがふわふわと揺れる。
すぐ側に感じる彼女の温かな体温と蜂蜜のように甘い香り。
プロデューサーは揺れを抑えるように、ソファーのクッション材に手を押しつけて身体を引いた。
「えっと、大した理由じゃないんだけどね?????」
5:wenppy ◇28goFgfuuI[sage saga]
2021/11/23(火) 20:13:39.56 ID:Rr9Z2Vx8O
「??人類選別の船だったか?」
世界滅亡の日、神様が選んだ者だけがノアの方舟に乗ることができ、助かったという話だった気がする。
「うーん、ちょっと違うかも?」
うろ覚えの知識を口にすると、めぐるが首を傾げた。
「あれ、そうだったか?」
6:wenppy ◇28goFgfuuI[sage saga]
2021/11/23(火) 20:16:59.57 ID:Rr9Z2Vx8O
「けど、やっぱり船っていうと、こっちの形の方がしっくりくるな」
プロデューサーはめぐるの前に置かれたミルクレープを指す。
円から鋭角で切り取った形。どちらかというとそちらの方が一般的な船のイメージに近い。
「確かに……! こっちの方が船っぽいかも?」
「紙も刺さってるし、ヨットに見えなくもないな」
7:wenppy ◇28goFgfuuI[sage saga]
2021/11/23(火) 20:28:53.55 ID:Rr9Z2Vx8O
すいません、文字化け等発生してしまったので、修正して投稿させて頂きます。
8:wenppy ◇28goFgfuuI[sage saga]
2021/11/23(火) 20:34:17.04 ID:Rr9Z2Vx8O
「ねぇねぇ、プロデューサーは方舟って見たことある?」
とある日の昼下がりの午後のこと。
プロデューサーとめぐるは事務所で小休憩を取っていた。
9:wenppy ◇28goFgfuuI[sage saga]
2021/11/23(火) 20:36:22.03 ID:Rr9Z2Vx8O
「実物? いや、ないな…………」
プロデューサーはカップを前眼のローテーブルに置いた。
ゆらゆらと漂う湯気が、室内の温かな空気に溶けてゆく。
10:wenppy ◇28goFgfuuI [sage saga]
2021/11/23(火) 20:37:24.73 ID:Rr9Z2Vx8O
「めぐる、近い近い。……でも、どうしてまた?」
彼女が動いたことでソファーがふわふわと揺れる。
すぐ側に感じる彼女の温かな体温と蜂蜜のように甘い香り。
11:wenppy ◇28goFgfuuI[sage saga]
2021/11/23(火) 20:38:36.93 ID:Rr9Z2Vx8O
「……人類選別の船だったか?」
世界滅亡の日、神様が選んだ者だけがノアの方舟に乗ることができ、助かったという話だった気がする。
「うーん、ちょっと違うかも?」
12:wenppy ◇28goFgfuuI[sage saga]
2021/11/23(火) 20:39:44.60 ID:Rr9Z2Vx8O
「けど、やっぱり船っていうと、こっちの形の方がしっくりくるな」
プロデューサーはめぐるの前に置かれたミルクレープを指す。
円から鋭角で切り取った形。どちらかというとそちらの方が一般的な船のイメージに近い。
13:wenppy ◇28goFgfuuI[sage saga]
2021/11/23(火) 20:41:01.85 ID:Rr9Z2Vx8O
「まあ、ケーキの構造や色合いは似てないけどな」
肩をすくめて冗談めかす。
ミルクレープは黄色いクレープ生地を幾重にも重ねて作られたもので、当然ながら船の構造とは異なる。
14:wenppy ◇28goFgfuuI[sage saga]
2021/11/23(火) 20:42:23.17 ID:Rr9Z2Vx8O
「……そうだな。半分ずつでシェアするか。ナイフ持ってくるよ」
蜂蜜のように濃厚で甘美な香りにくらくらと酔いしれるも、何とか『食べさせ合い』はしないと予防線を張る。
一段低い気温に身を晒そうと、キッチンへと避難しようと立ち上がる。
15:wenppy ◇28goFgfuuI[sage saga]
2021/11/23(火) 20:43:31.00 ID:Rr9Z2Vx8O
「取ってきたぞ」
「ありがとう、プロデューサー!」
プロデューサーは違和感がない程度に、先ほど座っていた位置より端側に腰を降ろす。
16:wenppy ◇28goFgfuuI[sage saga]
2021/11/23(火) 20:44:35.82 ID:Rr9Z2Vx8O
「……どうしたの?」
硬直したのが不審に思われたらしく、めぐるが問いかけてくる。
「……いや、何でもないよ」
17:wenppy ◇28goFgfuuI[sage saga]
2021/11/23(火) 20:45:24.60 ID:Rr9Z2Vx8O
「──っ!」
めぐるがパッと顔を上げる。驚いた表情。
「……この方舟は乗った人を救うんじゃない。食べた人を救うんだ。『美味しい』って幸せな気分にしてな」
18:wenppy ◇28goFgfuuI[sage saga]
2021/11/23(火) 20:47:48.07 ID:Rr9Z2Vx8O
「……食べさせて欲しいな…………?」
めぐるは暫しの沈黙の後、表を上げて口を開いた。
囁くような声量の、甘えた声が耳元で木霊する。
19:wenppy ◇28goFgfuuI[sage saga]
2021/11/23(火) 20:48:48.17 ID:Rr9Z2Vx8O
「…………」
「…………えへへ。……ありがとう!」
表しようもない気恥ずかしさに沈黙していると、めぐるも同じ気持ちだったのか、頬を染めて照れ臭そうに微笑んだ。
20:wenppy ◇28goFgfuuI[sage saga]
2021/11/23(火) 20:49:58.70 ID:Rr9Z2Vx8O
以上になります。
ありがとうございました。
22Res/16.12 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20