1: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:03:03.81 ID:FpkFq5Eu0
注意事項
・リメイク前の旧作(アルクGoodEnd + シエル先輩残留)を基準に書いています
ただし話の本筋には関係ない小ネタでリメイクのネタが出てきます
・リメイク版のみプレイした人でも大丈夫な内容(コメディ)になっています
・資料を確認しながら書きましたが、新旧月姫の知識がごちゃ混ぜになっている状態です
間違い等がありましたら申し訳ありません
「シエル。あなたはなぜ学校に通っているの?」
ほのかに漂う甘い香りと、鼻をつくスパイスの匂い。
口で味わう前に自然と鼻で味わってしまいながら、スプーンですくったカレーを口元に運んでいる時だった。
そんな白い服でカレーを食べて大丈夫なのかという心配を「“任せて!”」と意気込んで答えたはいいものの、薬品の調合をしているかのような慎重と緊張でスプーンを操り、恐る恐る一口ずつルーを食べていたアルクェイドから飛び出た質問である。
「――――――――――」
本当に意外だったのだろう。
目をパチクリと見開いた先輩は、その驚きを口にしようとして――自らの口がカレーでいっぱいな事を思い出す。
答える前に先輩は急いで口の中の物を咀嚼《そしゃく》し始めた。
その仕草は上品ではなかったけれど愛嬌があり、リスみたいだと言ってしまえば怒られるだろうか。
咀嚼を終えて呑み込んだ先輩は気を静めるように冷水を一口含み、ついで額《ひたい》に浮かんだ汗をハンカチを拭った。
そりゃあ汗もかくだろう。かくいう俺も汗をかいている。汗は汗でも冷や汗だが。
視線を少し下げればテーブルに並んだ食事が目に映る。
ここはカレーショップ“メシアン”。
このテーブルに居並ぶは先輩とアルクェイド、そして俺の三人。
この三人でこの店に入ることになろうとは……!
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2: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:04:43.77 ID:FpkFq5Eu0
――事の発端は30分前。
日差しで暖かくなり始めた午前10時頃に、駅前でフラフラと彼女らしくない様子で歩く先輩を見かけたところから始まった。
心配になって声をかけてみれば――
「これはこれは、恥ずかしいところを見られてしまいました。
3: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:05:28.77 ID:FpkFq5Eu0
「ん? あっちの方を歩いていたら志貴の声が聞こえてきたから」
その黄金に輝く髪で俺の頬をくすぐりながら、アルクェイドが指さしたのは六車線道路の向かい側。
はて?
4: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:06:28.84 ID:FpkFq5Eu0
「人はカレーと聞いて何を想像するか。一般的なところだと玉ねぎと人参にジャガイモ、そして牛肉でしょう。ではナスやオクラを想像するのは間違いでしょうか? いいえ、夏に食べるナスカレーやオクラカレーも暑さに弱った体に活力を与えてくれます。もちろんトマト、キノコ、ズッキーニ。カレーに合う野菜はまだまだあります。
そしてカレーのトッピングで選べるのは野菜だけではありません。エビ、イカ、ホタテ等を加えたシーフードカレー。キウイ、バナナ、パイナップル等によるフルーツカレー。いやそもそも、肉を牛肉にこだわる必要すらありません。鳥でも豚でも、なんなら鹿や猪でも構いません。
トッピング次第でいくらでも必要な栄養素を接種できる。それも、カレー味で!
好き嫌いの多い小さなお子さんでもカレーなら食べられるというケースもあり、全国――いな、全世界のお母さんの味方と言っても過言ではありません!
さらにさらに! ここまで自由自在なカレーですが、彼《カレー》は自らだけでなくその相方も変幻自在。ある時はライス、ある時はナン、ある時はうどん、ある時はラーメン、ある時はパン。人類の主食である穀物との圧倒的、調和力《シンフォニー》!!!
5: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:07:12.54 ID:FpkFq5Eu0
「先輩の言う通りだよアルクェイド。カレーは日本三大国民食の一つにして、インド人十四億による魂の息吹。この世で最も至高の頂《いただ》きに近い完全栄養食なんだ」
「なんとぉ!?」
俺は草食動物。荒れ狂うルーの大波に逆らう事などできない。
6: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:08:05.85 ID:FpkFq5Eu0
※ ※ ※
「へえ〜、ふ〜ん。なんだかシエルっぽい雰囲気のお店ね」
7: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:08:46.19 ID:FpkFq5Eu0
いや、大丈夫なのか!?
先輩ではなく俺たちが大丈夫なのか!?
そういうのを食べ慣れている先輩は大丈夫なんだろうけど、手を伸ばせば届く距離にそんな劇物に鎮座されて、俺たちの目と鼻は大丈夫なのか!?
あ、でもアルクェイドは3000℃の高熱にも耐えられるから辛いのもいけ――いや、あいつニンニク駄目だった!
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