【ウマ娘】小さなトレーナーと白い奇跡【みどりのマキバオー 】
1- 20
12:名無しNIPPER
2021/08/07(土) 23:33:30.77 ID:H/R4DuwY0
>>10
解決しました、ありがとうございます。


13: ◆Nsqe9nXw7g
2021/08/07(土) 23:34:35.27 ID:H/R4DuwY0
 緑色のリボンを咥えたネズミは、再度老紳士のいた屋敷の方へと向かって走った。

「おぉ! これはもしやお嬢様の……」

ネズミは老紳士の前でヒラヒラと少女のリボンを振って見せた。予想通り、物に関しては認識出来るようだ。これ幸いとネズミはリボンを咥えたまま再び少女の元へと向かって走る。老紳士の目には、まるでリボンが風に吹かれて飛ばされているように映っているのだろう。ネズミの思惑通り、老紳士はリボンを追って付いて来た。老紳士が倒れた少女を見つけたのは、それから数分後の事だった。


14: ◆Nsqe9nXw7g
2021/08/07(土) 23:35:27.71 ID:H/R4DuwY0
 翌朝、鳥の鳴き声でネズミは目覚めた。
 
「ふぁ〜あ、よく寝たぜ」

 昨日出会った少女が倒れた場所の近くにあった一本の老木。そこの根元付近に出来た樹洞の中に落ち葉を敷き詰めた簡易的なベッドだったが、なかなかに寝心地は良かった。何よりも春先の寒さを和らげてくれたのは毛布の代わりに包まっていた緑色のリボン。結局あの後少女は老紳士が呼んだ多勢の人間に運ばれて行き、誰もこのリボンには目もくれなかったのだ。仕方なくネズミが預かり、今に至っている。
以下略 AAS



15: ◆Nsqe9nXw7g
2021/08/07(土) 23:36:20.55 ID:H/R4DuwY0
 木漏れ日の差し込む窓辺。吹き込んだ風がカーテンを優しく揺らしている。キャンバスを前に座っている少女の芦毛の髪と尻尾もまた同様にそよいでいた。

「せめて気を紛らわせるために筆を執ってはみたものの、やっぱり慣れませんわね。早く慣れないといけませんのに……」

 呟いた独り言さえうるさく感じてしまうほど静かな朝。頭の上にある少女の耳は、小鳥の囀りを捉えてぴこぴこと動いていた。この療養所では学園のような喧騒は聞こえない。友の笑い声も、蹄鉄が大地を蹴る音も。少女は何気なく自分の右耳をそっと右手で触れた。
以下略 AAS



16: ◆Nsqe9nXw7g
2021/08/07(土) 23:37:58.97 ID:H/R4DuwY0
「なんて顔してやがるんだよ、イイ女が台無しじゃねぇか」

「だっ、誰ですの?!」

 不意に聞こえた声に少女は驚いて顔を上げる。すると、半分開いた窓に小さい何かが立っていた。少女は、メジロマックイーンはその何かに見覚えがあった。
以下略 AAS



17: ◆Nsqe9nXw7g
2021/08/07(土) 23:38:49.72 ID:H/R4DuwY0
「えぇ、構いませんわ。あなたには昨日の御恩もありますから」

 快諾を得たネズミはキャンバスから一足飛びでテーブルへと移動すると、自分の体より大きなリンゴをひょいと持ち上げた。

「へへっ、ありがとよ。そういや、昨日はなんであんなところに一人で歩いて来たんだ? 見たところ足を怪我しているみてぇじゃねぇか。昨日も左足庇いながら歩いていたよな?」
以下略 AAS



18: ◆Nsqe9nXw7g
2021/08/07(土) 23:39:37.34 ID:H/R4DuwY0
 ぽたり、ぽたり。
 少女の瞳から大粒の雫が零れ落ちた。

「その普通の生き方が……死ぬよりも辛いんです……」

以下略 AAS



19: ◆Nsqe9nXw7g
2021/08/07(土) 23:43:11.65 ID:H/R4DuwY0
>>18
声をころすように、がの部分にNGが入っているみたいですね……


20: ◆Nsqe9nXw7g
2021/08/07(土) 23:44:30.95 ID:H/R4DuwY0
「走りてーのか?」

「えっ?」

「本当に走りたいのかって聞いてんだよ。未来を蹴ってまで今を走る覚悟があんたにはあるのか?」
以下略 AAS



21: ◆Nsqe9nXw7g
2021/08/07(土) 23:45:52.92 ID:H/R4DuwY0
 翌日、マックイーンは療養所から久しぶりにトレセン学園へと戻った。理由は二つある。一つは学生としての本分を全うするため。もう一つは、二度と叶わないと諦めかけていた夢への再起を図るため。学園以外での生活では、常に使用人たちの監視の目がある。隠れてトレーニングなどして見つかった日には、メジロ家の当主たる厳格な祖母からどんな叱責を受けるかわかったものではない。その為、マックイーンは祖母や使用人には「これからは勉学に励む」と嘘を吐いてきた。

 しかし、学園関係者たちにもマックイーンを走らせてはならない≠ニメジロ家のからの通達が来ているはずである。それはおそらく、トレーナーやチームメイトにも。

 だからこそ、マックイーンは強い覚悟を持って学園へと戻ってきた。今日からは誰とも関わらない。ただ一人で、誰にも知られることなく自己研鑽を積むこと。ここからは孤独な戦いが始まる。相手は足の痛みと自分自身。そして、その先に待つ彼女との約束のために。


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