【ウマ娘】小さなトレーナーと白い奇跡【みどりのマキバオー 】
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14: ◆Nsqe9nXw7g
2021/08/07(土) 23:35:27.71 ID:H/R4DuwY0
 翌朝、鳥の鳴き声でネズミは目覚めた。
 
「ふぁ〜あ、よく寝たぜ」

 昨日出会った少女が倒れた場所の近くにあった一本の老木。そこの根元付近に出来た樹洞の中に落ち葉を敷き詰めた簡易的なベッドだったが、なかなかに寝心地は良かった。何よりも春先の寒さを和らげてくれたのは毛布の代わりに包まっていた緑色のリボン。結局あの後少女は老紳士が呼んだ多勢の人間に運ばれて行き、誰もこのリボンには目もくれなかったのだ。仕方なくネズミが預かり、今に至っている。

「これからどうするかねぇ。つっても、何をするにしても記憶がねえってんじゃまるでお話に……」

 独り言を遮ったのは大きな腹の音。もちろん、捕食者や外敵のものではない。自分自身のものだ。そこでようやく自分が昨日から何も食べていないことに気づいた。

「俺はあくまでこいつを返しに行くだけだ。その過程であわよくば食い物を、なんてやましい考えなんてこれっぽっちもだな……」

 ネズミは徐に立ち上がり体に付着した落ち葉や土を払い落とすと、昨日足を運んだ大きな屋敷の方角へ向かって歩き始めた。


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