1: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/07/15(木) 20:47:11.25 ID:z2yJUgP30
アイドルマスターミリオンライブ!のSSです。
地の文があります。
徳川まつりの妹についてオリジナル設定を含みますのでご注意ください。
SSWiki : ss.vip2ch.com
2: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/07/15(木) 20:48:48.93 ID:z2yJUgP30
「徳川ひなたって何」
「ぶふぉ」
徳川まつりのフワフワぷりてぃーなお口からプリンセス汁が噴出した。
3: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/07/15(木) 20:49:23.74 ID:z2yJUgP30
「あーもう汚い。最悪」
「ささささささくらちゃん。見てたの?」
徳川まつりの妹、徳川さくらはローテーブルに盛大に紅茶を撒き散らした姉に対して、容赦のない軽蔑の眼差しを向けた。
4: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/07/15(木) 20:50:10.33 ID:z2yJUgP30
その番組の中で、チームを組んでいた木下ひなたに対し、共演したお笑い芸人が「ひなたちゃんって、まつりちゃんの妹みたいだね」とコメントしたのが事の発端だった。
まつりは「ひなたちゃんが妹なら大歓迎なのです!」と答えたが、そのやり取りのスピード感について行き切れていなかった木下ひなたが若干混乱した様子で、
「徳川ひなただよぉ!」
5: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/07/15(木) 20:50:44.97 ID:z2yJUgP30
自分が出演した番組が放送されるということで、寝支度を終えて配信サイトを見てみようとPCを開いた徳川まつりだったが、アカウント数制限がかかり見ることが出来なかったのだ。徳川家はベーシックプランだった。
その時は、妹が別の番組を見ているのだろうと思い、きっとプロデューサーが録画しているだろうから良いかと気にしていなかった。しかし、よく考えてみると妹がPCを開くには少し遅い時間だった。
「さくらちゃん。お姉ちゃんの妹はさくらちゃんだけだよ」
6: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/07/15(木) 20:51:16.56 ID:z2yJUgP30
―――
「というわけで、さくらちゃんが拗ねちゃったのです」
「ありゃあ、それは悪いことしたねぇ」
7: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/07/15(木) 20:52:05.73 ID:z2yJUgP30
「あたしに何かお手伝い出来ることがあれば、なんでもするからね」
「うーん。姫はどうすれば良いか分からないのです……」
「あたし、弟がいるんだけど、あたしがテストで良い点を取ってお母さんに褒められたら、拗ねちゃったことがあったねぇ」
「その時はどうしたのです?」
8: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/07/15(木) 20:52:39.73 ID:z2yJUgP30
―――
「さくらちゃーん」
「げっ」
9: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/07/15(木) 20:53:11.85 ID:z2yJUgP30
「まつりさんと喧嘩したのかい?」
「あのバカ……」
「お姉さんのことバカとか言っちゃダメだよぉ」
「で? なんでひなたが出てくるのよ。仲良くしろとか言うわけ?」
10: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/07/15(木) 20:54:48.73 ID:z2yJUgP30
「あたし、今日さくらちゃん家に泊まるから」
「は!?」
「だってあたしは、『徳川ひなた』だからねぇ」
11: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/07/15(木) 20:55:22.64 ID:z2yJUgP30
「いや、意味わかんないんだけど」
「まつりさんにお願いして、御両親の許可はもらってるよぉ」
「アタシの許可は!?」
「今もらうべさ、えへへ」
12: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/07/15(木) 20:56:01.84 ID:z2yJUgP30
「う。……ま、まぁ勝手にすれば」
「えへへ、ありがとうねぇ。今日はさくらちゃん部活だよね? あたしは先におうちにお邪魔してるからね」
再びパッと花が咲くように笑顔になり、そのまま軽い足取りで教室を後にする木下ひなた。
13: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/07/15(木) 20:56:49.19 ID:z2yJUgP30
―――
バレー部の練習を終えて家に着くころには、すっかり日が暮れていた。
夕飯が恋しくて、急いで家の鍵を捻ろうとしたところで、ふと手を止める。
14: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/07/15(木) 20:57:36.04 ID:z2yJUgP30
何故か姫モードの姉をスルーして現況を確認する。
台所で皿を洗っている母。リビングのソファーに座ってテレビを見ている姉と木下ひなた。二人ともパジャマ姿で寛いでいる。なんで。
父はまだ帰っていない。食卓の上に私の分であろう夕食。
15: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/07/15(木) 20:58:52.96 ID:z2yJUgP30
姉にピッタリ並んでソファに座る木下ひなた。
平均的な女性と比べて身体が大きい姉と、同級生と比べても明らかに身体が小さい木下ひなた。
素晴らしい納まりだった。素晴らしい納まりだったんだけど。
何故か手をつないでいた。
16: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/07/15(木) 20:59:58.09 ID:z2yJUgP30
ひなたに対しては罵倒の言葉が思い浮かばなかった。
とにかくペースを握らせてはならない。話の流れを切るために大げさに溜息をついて、一心不乱に夕食を掻っ込むことにした。
この夕食さえ食べてしまえば、後は自室に篭れば良いのだ。いつもより大きな口を開けて、いつもより素早く箸を動かした。姉とひなたが時々こちらをチラチラと見てきたが、無視して顎を動かした。
17: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/07/15(木) 21:00:31.64 ID:z2yJUgP30
―――
「ひなた、部屋いこ」
18: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/07/15(木) 21:01:38.55 ID:z2yJUgP30
「ふぁ……」
「明日も早いのかい?」
「土曜日だから午前練。ひなたは?」
「朝からまつりさんと一緒にレッスンだよぉ」
19: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/07/15(木) 21:02:12.58 ID:z2yJUgP30
「はーっ」
ベッドに身体を投げ出して天井を眺める。このまま目を瞑れば気持ちよく寝てしまいそうだ。
ひなたも敷き終えた布団にちょこんと座っていた。
20: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/07/15(木) 21:02:45.54 ID:z2yJUgP30
「お姉ちゃんのこと、嫌いかい?」
「嫌い。あの年で姫とか、恥ずかしいし」
「そっか」
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