16: ◆ivbWs9E0to[saga]
2021/07/15(木) 20:59:58.09 ID:z2yJUgP30
ひなたに対しては罵倒の言葉が思い浮かばなかった。
とにかくペースを握らせてはならない。話の流れを切るために大げさに溜息をついて、一心不乱に夕食を掻っ込むことにした。
この夕食さえ食べてしまえば、後は自室に篭れば良いのだ。いつもより大きな口を開けて、いつもより素早く箸を動かした。姉とひなたが時々こちらをチラチラと見てきたが、無視して顎を動かした。
「ご馳走様。じゃ、アタシは部屋に戻るから」
「さくらちゃん。ひなたちゃんの分のお布団は部屋の前に出しておいたのです」
「は? アンタの部屋に泊まるんじゃないの?」
「姫の部屋は妖精さんでいっぱいなのです」
「……」
キレそう。
ひなたに目線を向けると申し訳なさそうに手を合わせている。キレられない。
ひなたも姉に振り回されているのだろうか、可愛そうに。憐みの目線を向けるが気付かれることは無かった。
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