結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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704: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/01(土) 11:47:31.24 ID:31eSI50lo


佐久「そうだ。俺たち『ブロック』へ、正確に言うなら他の暗部組織にもか。座標移動の捕獲任務が下ったのは昨日の朝だった」

佐久「だが俺たちはその前からこうなることを想定して、シナリオを作り、動いていた。いずれこうなることはわかっていたからだ」

佐久「だからお前が情報を手に入れられるように、お前に関係する一部の研究機関へ情報を横流ししたし、AIMジャマーのメンテナンスも俺たちが手を回して遅らさせた」

佐久「こうすればお前はノコノコとここに現れると容易に予測できた。あとはお前が来るのをここでゆっくり待っていればいいっつう話よ」


 今までの行動が、自分が選んできた選択肢が、ここまで辿り着こうと努力した意思が。
 全てヤツの仕組んだことだったのか。全てヤツらの手の内で踊らさせられたことだったのか。


結標「…………」


 結標は膝から崩れ落ちる。
 身体には脱力感のようなものが、心には空虚感のようなものが、ずっしりとのしかかってくるような気がした。


手塩「……さて、話は、もういいか?」


 黙って話を聞いていた手塩が切り出す。


手塩「これから、私たちと共に、来てもらうわ。そちらが、暴れない限り、こちらも、手荒な真似を、するつもりはない」


 手塩が「おい」と倒れている部下の男たちに声をかける。
 男たちは急ぐように立ち上がった。結標の金属矢は致命傷とはなっていなかったようだ。
 手塩は部下の男から拘束具のようなものを受け取る。
 空間移動能力者専用の拘束具。見た目は普通の拘束具と変わらないが、空間移動能力者の演算を阻害する特殊な振動波が常に発せられている。
 あれを付けられたテレポーターは自分自身の転移はもちろん、物質の転移すら行えなくなるという物だ。


手塩「大人しく、捕まってもらえると、こちらとしても助かる」


 拘束具を持った手塩がゆっくりと跪いた少女に向かって歩いていく。
 それを呆然と見ながら、結標は考えていた。

 あれに捕まったらもう自分はお終いだろう。
 一生上層部の使い走りにされるか、実験動物と変わりない扱いを受けるか、いずれにしろロクな人生を歩まない。
 もし自分がいなくなったら、今無期限で捕まっている仲間たちはどうなるのだろう。
 自分という存在がいなくなることで、元の平穏な日常へと帰らせてくれるのだろうか。否。
 同じくくそったれのような反吐みたいな生活を送らされ、使い捨てられるに決まっている。



 駄目だ。それだけは駄目だ。絶対に許さない。






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