浜田まりん「と、友達の話だけど……」
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1:名無しNIPPER[sage saga]
2021/06/26(土) 21:26:55.50 ID:SOVw+v6uO
浜田まりん。
なんて冗談みたいな自分の名前が正直あまり好きでは無かったけれど、親友から『はまりん』と呼ばれてみるとそう悪くなかった。

平和台高校の文芸部において部長を務める私の元には日夜部員が描いたり書いたりした作品が届き、それに目を通してアドバイスをすることが、存在意義であり存在理由だ。

ちなみに私はとっくの昔に筆を折っており、もっぱら読み専で、将来は編集者にでもなれたら良いなと思っているけど、いかんせん学力が足りず、高学歴を求められる編集者への道のりは遠い。

作家の先生方には高学歴が多く、そんな人たちに指図をするならばある程度の教養は身につけておくべきだということは理解出来るけれど、勉強は小説と違って終わりがなく、ひと休みと思って小説を読むと項をめくる手が止まらなくなり、結局最後まで読み終えた読了感に浸りながら安眠して、勉強を再開することはなかった。

ある有名なアニメ監督はこう語る。
映画は不幸な人のためのものだと。
それは小説にも当て嵌まると思う。

「と、友達の話だけど……」

顔面を真っ赤にしながら、私は親友の恋人である東司朗に相談するべく口火を切った。

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2:名無しNIPPER[sage saga]
2021/06/26(土) 21:29:12.53 ID:SOVw+v6uO
「また友達の話か」
「な、なんか文句ある!?」

うんざりした様子の東に対して喧嘩腰で吠えて見せると、彼は肩を竦めて続きを促した。

以下略 AAS



3:名無しNIPPER[sage saga]
2021/06/26(土) 21:31:47.04 ID:SOVw+v6uO
「ん? 何故部長が泣き崩れるんだ?」
「わ、私にもいろいろあるのよ!?」

鈍い東はそのはしたない女が私であると気づいておらず、キョトンと首を傾げつつも。

以下略 AAS



4:名無しNIPPER[sage saga]
2021/06/26(土) 21:33:42.87 ID:SOVw+v6uO
「先に言っておくが、身体を求められたからといって自信がつくとは限らんし、それで自信を持つことは健全とは言えないぞ」
「……はい」

それでもわかりやすい何かが欲しいのだ。
口では可愛いと言っても、そういう対象ではないのは寂しい。そう、私は寂しいのだ。
以下略 AAS



5:名無しNIPPER[sage saga]
2021/06/26(土) 21:35:56.13 ID:SOVw+v6uO
「で、でも、ベタベタして嫌じゃないかな」
「さてな。嫌がるようならやめればいい。ともかく行動あるのみだ。でなければ、一向に距離は縮まらないからな」

クイッと眼鏡を押し上げながら、東はもっともらしくそう結論づけた。大した奴だよ。
そこでふと、私は本物の親友とその恋人である東との関係性について気になり、尋ねた。
以下略 AAS



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