底辺映画監督唯一の名作 〜そしてそれに連なる窮屈で退屈な続編達〜
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4:名無しNIPPER[saga]
2021/05/03(月) 21:09:17.50 ID:U1gqLcRo0


 だが、黒澤は止まることを知らなかった。飽くなき探求心で、己の映画がどうすればよい映画となるのかを模索し続けた。観客など知らぬ、売れ行きなど知らぬ、ただ一人でいい。俺の作る物語で、心の針を飛ばしてやると。 

 黒澤は、性根がねじ曲がり、何をするにも不器用で、ただ前に進むしかないと宣いつつ右斜め後方に這いずるような男であるが、ただ一点だけ人より秀でていることがあった。それは、女運の良さである。
以下略 AAS



5:名無しNIPPER[saga]
2021/05/03(月) 21:09:45.03 ID:U1gqLcRo0

 その女は、黒澤がよく通う弁当屋の娘であった。整った顔立ちながら、能面のように表情が変わらず、また心内も静かで穏やかな女であった。二人が夜を交わすようになるまで、そう長い時間はかからなかった。何の劇的な展開もなく、ただ淡々と二人の関係は深まっていき、いつからか同じ部屋で寝泊まりするようになっていた。

 ある日、女がその能面にいつになく影を落とし不安そうな表情を見せた。黒澤が問いかけると、女は子ができたことを告げた。黒澤は、あれだけやればさもあらんと落ち着いたものであった。

以下略 AAS



6:名無しNIPPER[saga]
2021/05/03(月) 21:10:12.01 ID:U1gqLcRo0



 黒澤は、大病を患い50を前にして死んだ。

以下略 AAS



7:名無しNIPPER[sage]
2021/05/03(月) 21:20:31.93 ID:C5Gvlm6eO

凄く良い話なんだけど毎回同じ展開なんだよなぁ…って作家のことを思い出した


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