底辺映画監督唯一の名作 〜そしてそれに連なる窮屈で退屈な続編達〜
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1: ◆CItYBDS.l2[sage]
2021/05/03(月) 21:07:13.26 ID:U1gqLcRo0
 とある男の脳内で『第一回 黒澤最強決定戦』が行われたのは、男が中学生の頃であった。出場選手は、世に知られた黒澤の名字を持つ者達。その知名度や、持ちうる能力を発揮し勝ち残り形式で戦うのだ。

 無精髭にニット帽を被った俳優、身体を張ることを厭わないトリオの女芸人、大会開催に寄与した漫画の主人公。現実と空想の垣根を超え集まった数多の強者達を抑え、優勝の座を勝ち取ったのは某映画監督であった。

 なぜ男は、そのような大会を開催したのか。それは、男の名もまた『黒澤』であったからだ。訪れたモラトリアムに際し、自身の起源を血筋ではなく同じ苗字を持つ誰かに託したかった。ただそれだけのことだった。

 そうして男は、最強の黒澤である某映画監督に憧憬を抱くようになった。

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2:名無しNIPPER[saga]
2021/05/03(月) 21:08:16.52 ID:U1gqLcRo0

 それから時が流れ、男は、いや黒澤は映画監督となった。実のところ、映画監督になるのに大した苦労はなかった。高校では映画同好会、大学では映画サークルを経て、卒業後は自主製作映画に取り組み、そうして映画監督を自称するようになっただけだから。

 しかし、問題なのは自称次代の黒澤には良い映画が作れないという一点にあった。

以下略 AAS



3:名無しNIPPER[saga]
2021/05/03(月) 21:08:46.52 ID:U1gqLcRo0

 その心の振れるベクトルに関係なく、ただただその振れ幅の絶対値のみを黒澤は追い求めた。結果、黒澤の作る映画はまるでジェットコースターのように展開が空転し、歪でチグハグなものとなってしまうのである。

 黒澤は、映画の続編が嫌いであった。それは、そもそも続編ありきで撮られた作品ではなく、人気の出た作品で後々に続編が作られるといった類のものだ。『2』はまだいい。だが『3』はダメだ。

以下略 AAS



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